留学生の眼(85)
カザフスタンの文化 知ってますか?
文・シャラピヤ・カキモヴァ
(Sharapia,Kakimova)
大学院国際協力研究科博士課程前期2年
(カザフスタン共和国コスタナイ州出身)
(Sharapia,Kakimova)
大学院国際協力研究科博士課程前期2年
(カザフスタン共和国コスタナイ州出身)
「サレマツスズバ」。これは、カザフ語で「こんにちは」という意味です。カザフスタン共和国(以下カザフ)は、ソ連邦崩壊後の一九九一年に分離独立した新しい国です。中央アジアに位置し、その面積は日本の約七・二倍、人口はたった一四九五万人ですが、百以上の民族で構成される多民族国家です。そのなかで一番多い民族はカザフ人で、宗教はイスラム教です。
まだ来日二年目の私ですが、日本での生活体験の中から日本とカザフの違いについて、今までに気づいたことを少しお話ししたいと思います。日本の皆さんにとって、あまり馴染みのないカザフの文化や習慣などを知っていただく機会になれば幸いです。
日本は伝統的なお祭りが多く、日本人は着物を着て、歌ったり踊ったりして楽しみますが、カザフには各民族が民族衣装を着るようなお祭りはほとんどありません。しかし、カザフ人が数人集まったら、みんなで歌を歌ったり踊ったりして大いに楽しみます。反対に日本人はお祭り以外では踊ることはないし、歌うのもカラオケだけだと気がつきました。
日本とカザフは、食文化も全く違います。カザフの主食はパンで、魚などの海産物は時折トラックで直売に来る川魚を除いて、ほとんど食べることはありません。その代わり、カザフ人はたくさんの肉を食べます。カザフには「狼の次にたくさんの肉を食べるのはカザフ人」ということわざもあるくらいです。
カザフにも四季がありますが、大陸性内陸気候なので、季節による寒暖の差が激しいです。カザフの夏は湿度が高くないので、気温が四十度に達してもあまり暑く感じません。しかし、冬はとても寒いです。最低気温はマイナス四十度まで下がることもあります。日本の皆さん、機会があれば、カザフでマイナス四十度の世界を味わってみてはいかがですか。
日本社会の伝統的慣習では、両親は長男と住みます。カザフでは、逆に両親は一番下の息子と住みます。カザフの親子関係に対する考え方は、日本の考え方とは全く違います。カザフでは年長の子供は成人すると、次々に社会に出て自立していくので、両親は年少の子どもの世話をします。そして最後の子どもが成人したら、最年少の息子が両親の面倒をみるようになります。
もう一つの違いに気づきました。それは、女性に対する男性の態度です。かつてのカザフは、日本と同様、男尊女卑の強い社会でした。今日のカザフ社会でも、男性が女性より有利な立場にあると感じることが無いわけではありません。しかし、「日本は今日でも、本当に男尊女卑の残っている社会だなぁ」と感じることがあります。この前もパーティの席で、次のような場面に遭遇しました。ある女性が一人でワインボトルを開けようとしましたが、結局女性一人の力では開けることができませんでした。しかし、まわりにいた男性はそれを見て、自分から手伝おうとしなかったのです。私は、この光景を目の当たりにしてびっくりしました。大変残念なことに、私は来日して以来このような場面にしばしば遭遇します。違う文化の中で育てられた私にとって、日本の男尊女卑の社会的慣習は今でもすごく馴染みにくいです。
五年前に初めて来日した時は、カザフと日本の文化の違いに戸惑いを感じていましたが、今では日本のことが大好きになりました。私は来日前は一度も海を見たことがありませんでしたが、関西空港に着いた時、本物の海を見ることができとても嬉しかったです。でも、一番印象的だったのは日本人の親切さです。日本人は外国人が困った時には、可能な限り助けてくれます。そんな日本人の優しさに、私は強く心を打たれました。そして、私は帰国後、また日本に行きたくなり、広島大学への留学を決意しました。
最後に、私のことをいつもお世話してくださる日本人の方々に、カザフ語で「ありがとう」の意味である「ラフメット」を記し、私の心からの感謝の気持ちを伝えます。
まだ来日二年目の私ですが、日本での生活体験の中から日本とカザフの違いについて、今までに気づいたことを少しお話ししたいと思います。日本の皆さんにとって、あまり馴染みのないカザフの文化や習慣などを知っていただく機会になれば幸いです。
日本は伝統的なお祭りが多く、日本人は着物を着て、歌ったり踊ったりして楽しみますが、カザフには各民族が民族衣装を着るようなお祭りはほとんどありません。しかし、カザフ人が数人集まったら、みんなで歌を歌ったり踊ったりして大いに楽しみます。反対に日本人はお祭り以外では踊ることはないし、歌うのもカラオケだけだと気がつきました。
日本とカザフは、食文化も全く違います。カザフの主食はパンで、魚などの海産物は時折トラックで直売に来る川魚を除いて、ほとんど食べることはありません。その代わり、カザフ人はたくさんの肉を食べます。カザフには「狼の次にたくさんの肉を食べるのはカザフ人」ということわざもあるくらいです。
カザフにも四季がありますが、大陸性内陸気候なので、季節による寒暖の差が激しいです。カザフの夏は湿度が高くないので、気温が四十度に達してもあまり暑く感じません。しかし、冬はとても寒いです。最低気温はマイナス四十度まで下がることもあります。日本の皆さん、機会があれば、カザフでマイナス四十度の世界を味わってみてはいかがですか。
日本社会の伝統的慣習では、両親は長男と住みます。カザフでは、逆に両親は一番下の息子と住みます。カザフの親子関係に対する考え方は、日本の考え方とは全く違います。カザフでは年長の子供は成人すると、次々に社会に出て自立していくので、両親は年少の子どもの世話をします。そして最後の子どもが成人したら、最年少の息子が両親の面倒をみるようになります。
もう一つの違いに気づきました。それは、女性に対する男性の態度です。かつてのカザフは、日本と同様、男尊女卑の強い社会でした。今日のカザフ社会でも、男性が女性より有利な立場にあると感じることが無いわけではありません。しかし、「日本は今日でも、本当に男尊女卑の残っている社会だなぁ」と感じることがあります。この前もパーティの席で、次のような場面に遭遇しました。ある女性が一人でワインボトルを開けようとしましたが、結局女性一人の力では開けることができませんでした。しかし、まわりにいた男性はそれを見て、自分から手伝おうとしなかったのです。私は、この光景を目の当たりにしてびっくりしました。大変残念なことに、私は来日して以来このような場面にしばしば遭遇します。違う文化の中で育てられた私にとって、日本の男尊女卑の社会的慣習は今でもすごく馴染みにくいです。
五年前に初めて来日した時は、カザフと日本の文化の違いに戸惑いを感じていましたが、今では日本のことが大好きになりました。私は来日前は一度も海を見たことがありませんでしたが、関西空港に着いた時、本物の海を見ることができとても嬉しかったです。でも、一番印象的だったのは日本人の親切さです。日本人は外国人が困った時には、可能な限り助けてくれます。そんな日本人の優しさに、私は強く心を打たれました。そして、私は帰国後、また日本に行きたくなり、広島大学への留学を決意しました。
最後に、私のことをいつもお世話してくださる日本人の方々に、カザフ語で「ありがとう」の意味である「ラフメット」を記し、私の心からの感謝の気持ちを伝えます。
(原文日本語)
広大フォーラム33期3号 目次に戻る