PHOTO ESSAY - 59 -
鉱物ウォッチング

水晶 - その1 -
Rock Crystal



山入水晶(ファントムクォーツ)
(ブラジル)

マツタケ水晶(セプタークォーツ)
(ブラジル)

草入水晶(金紅石(ルチル)入り)
(ブラジル)

黄水晶(シトリン)
(ブラジル)

鉄石英
(ロシア)

紫水晶(アメジスト)の産状
(アルゼンチン)



文・写真北川隆司・地下まゆみ
(Kitagawa, Ryuji・Jige, Mayumi)
大学院理学研究科地球惑星システム学専攻


 お待たせしました? 三回目の登場です。今回は皆さんおなじみの水晶です
 水晶は、鉱物名では石英と呼ばれます。石英が何も邪魔されない空間の内で成長すると、水晶ができあがります。その透明な美しい形から、かつて、氷の化石と考えられていた時代もあります。石英は、地球上の様々な岩石を構成する最も広範囲に産する鉱物です。昔は広島でも山に行くと、水晶はたくさん採集できましたが、最近ではなかなか見つけることができなくなりました。
 皆さん、ご存知でしょうか? 水晶というと、無色透明を思い浮かべると思いますが、実際には様々な色をしたものがあります。黒い水晶(煙水晶)、同じ黒でも真っ黒で不透明なものから薄い黒色を示し透明なものまで様々に変化します。また、ここに示す写真に見られますように、宝石店で売られている紫色の水晶、いわゆるアメジストは最もなじみのある宝石です。その他に黄水晶(シトリン)は、トパーズの代理品として使われており、その場合トパーズは、インペリアルトパーズと呼ばれます。美しいピンク色の水晶(ローズクォーツ)は、アクセサリーに使われています。珍しいところでは、水晶の内に他の鉱物を取り込んで成長したものもあります。例えば、針状の金色の鉱物である金紅石(ルチル)や前回のシリーズで紹介しました電気石(トルマリン)が結晶の内に入り込んだものは草入水晶と呼ばれます。いったんできた水晶が再び成長したため、内部に水晶がいくつも入れ子になっているものがあり、これが山入水晶(ファントムクォーツあるいはゴーストクォーツ)です。入れ子の水晶の表面に緑色の鉱物である緑泥石ができ、全体として緑色を示すものもあります。さらに、鉄分が多いために、赤色から茶色の色を示す水晶、いわゆる鉄石英というのもあります。極まれには、一個の水晶の頂部にそれより大きく発達した結晶が成長し、キノコに似た形を示す水晶があります。このようなものを、セプタークォーツ、和名ではその形の通りマツタケ水晶あるいはキノコ形水晶と呼ばれます。
 それでは、皆さん様々な水晶をご鑑賞下さい。

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