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 製造業関係への就職が内定した学生六名と、これから就職活動を始める学生三名の計九名の座談会を十月二十六日(金)に行いました。一時間ばかりの座談会でしたが、就職活動についての活発な議論がありましたので、その概要を紹介します。


活発な議論があった座談会 司会(広報委員):皆さん今日はお忙しいところありがとうございます。今年就職活動に携わって、製造業関係への就職が内定した学生と、これから就職活動を始めようとする学生の生の声をお聞きしたいと思います。自由に、かつ活発に討論していただきたいと思います。

 −就職活動の中で自分の就職先をどのように決めていったのでしょうか?

A1:まず業種を決めて、その業種の中から自分に相応しい企業を探しました。
A2:現在の研究を生かせる薬品業界の研究職に焦点を絞って探しました。
A3:食べ物が好きで、同じ働くなら好きな仕事と思い、食品会社に焦点を絞りました。
A4:説明会や面接等で自分に合わないと思った会社はやはり落ちました。自分に合った会社が残ってきて、最終的に内定を得ることができました。
A5:当初は自分の専門を生かした職種をと考えていましたが、就職活動をするうちに、自分の知恵を売ることができるのなら、専門外の職種でも面白いと考えました。
A6:自分の好きな職種をと考えていましたが、なかなか食べていけないと思い、関連のある別の職種を選択しました。

 −どのような手段で企業等の情報を得ましたか?

A1:手当たりしだい情報をつかみました。資料や、友達から、また、合同説明会等にも積極的に参加しました。興味ある企業には直接質問もしました。
A2:先輩等、実際その職場で働いている人達の生の声を聞くのも大事だと思います。

 −就職活動でどのようなことを心がけるべきでしょうか?

A1:自分がどういう人間か売り込む必要があります。単に、サークル、バイト、ボランティアというのではなく、その活動の中でどうやってきたのか、強烈に自分をアピールする必要があると思います。
A2:履歴書等の書類は何回も書き直しました。また、他人に見てもらうと良いと思います。自分では良いと思っても他人からみるとわかりにくいところが結構あります。
A3:就職活動のマニュアル本通りだとかえって良くないと思います。マニュアル本で、就職活動の最低限必要なことだけを理解すればいいと思います。
A4:面接等で文章を丸暗記したような応答はすぐわかってしまい、印象を悪くすると思います。
A5:面接等は、場数を踏むと上達します。従って、本命を初っぱなから受けない方がいいと思います。
A6:給料だけで判断しない方がいいと思います。給料が高い場合は当然仕事が過酷だと思います。福利厚生や、十年後のモデル収入等も参考にした方がいいと思います。
A7:インターンシップを経験しました。就職に対して、はっきりした意識が生まれるなど非常に勉強になりました。
A8:女性は就職に不利というのは現実で、嘆いていても仕方ないと思います。女性だからこそできる職種もあるので、前向きに考えた方がいいと思います。

司会:今日は、皆様には大変積極的にお話しいただき、生の声を興味深く聞けました。お忙しいところ本当にありがとうございました。

座談会に出席した就職内定者:
森末潤さん(工4、コンピュータ会社)
岡田真希子さん(生生4、食品会社)谷本香織さん(生生4、食品会社)
平田絵美さん(生生4、衛生検査会社)
岩原誠さん(工研M2、通信会社)
森田大輔さん(先端研M2、製薬会社)

インタビュー:
河内智彦さん(工3)
坂根彰さん(工研M1)
宮原克典さん(生物圏研M1)
『世界に通用する企業人』
三洋電機株式会社 常勤監査役
河中 昭秀
(1960年 政経学部卒)

 先般、学生就職センター長の松水教授が来社された時、当社の広島大学OB社員を調べると、約150名の卒業生が活躍をしていて、深く感謝する次第でございます。
 さて、現在の日本の製造業は、労務費が高コストである等の理由もあり、中国をはじめとするアジア諸国の猛烈な追い上げにあっています。これは何よりもこれら諸国の製造技術が向上し、品質も安定し、競争力がついたことが大きな要因であります。
 こうした中で日本の各企業は、高付加価値商品の開発と同時に、海外での事業展開の加速、グローバルな経営体制への変革、すなわちコーポレート・ガバナンスの確立、国際会計基準への対応に懸命に努力をしている現況であります。
 このような状況下、企業にとってどんな学生が求められるのでしょうか。
 第一に、企業のグローバル化の進展の中で、語学力、特に英語力やIT対応力、自分の意志や考え方を他人にアピールできるプレゼンテーション能力が必要であります。
 第二に、現在は従来の景気循環論がまったく通用しない先行き不透明な激変の時代であり、激変するスピードに対応できない企業や個人は淘汰されます。そのためには、情報を収集し、分析し、いち早く対応できる俊敏性が必要です。
 第三に、最も重要なことですが、大学生として恥ずかしくない人間性とバランス感覚を持った、基礎学力のある学生になってほしいと考えます。このベースの上に世間に通用する専門知識、能力を身に付け、自らのマーケットバリューを高めることが必要です。
 皆様はこれから仕事を通じ、自分の能力を最大限に実現して社会に貢献していく任務があります。
 ご健闘を祈ります。

『グローバル企業が期待する人材像』
株式会社 日立製作所
デジタルメディアグループ技師長
柴田 晃
(1968年 工学部卒)

 私は1996年から今日まで6年間に亘りOBとして広島大学から日立製作所への就職を希望される後輩の方々に就職のお世話をさせていただいてきた立場から企業が望む人材論を申し上げます。
 私のバックグラウンドの大半がR&D、製品開発ですので、特にこの分野に望まれる人材についての見解と捉えてください。
 過半数の企業が成長できた高度成長時代では「日本型チームワークが効果的であり、協調性やガンバリズムを持った人材」を企業が求めがちでしたが、これからの世界では数社/業界しか”勝ち組み”になれない時代ですので、企業が求める人材も以下のように変わってきています。
1.開拓者精神:これからの10年はこれまでの時代の延長線上には無いケースが多く、リスクを取って新事業に挑戦する気概を持つ人材が切望されます。
2.柔軟性:変化の時代であり、予定通りにならないことが大半です。予測出来ない事態に適応する頭のやわらかさとしぶとさは価値ある資質です。
3.戦略性:誰かがもうければ、誰かが損をし、トータルはゼロとなるゼロ・サム事業分野が多く、まさにこの企業間戦争を勝ち抜くには“孫子の兵法e等の戦略的思考力が大切です。
 尚、日立製作所が時代を超えて求める新人の姿は以下ですのでこれもご参考いただきたい。
・意見を求められそうな事項について、常に自分の意見を準備し、意見を聞かれたら臆せず論理的意見を述べる。
・自分の意見と反対の結論になっても、いったん決定されたことにはベストを尽くしてこれをやり遂げる。

『就職して実感したこと』
フマキラー株式会社 開発本部 研究員
石塚 朋子
(1999年 生物圏科学研究科 博士課程前期修了)

 私の働いている部署(開発)の環境は、比較的大学の研究室に近いと思いますが、就職して、あらためて実感したことが2点あります。
 仕事では、自分が何をしなければならないかを先へ先へ考える必要があります。一つの仕事にも、多くの人々が関わって、異なったいろいろな方向からのアプローチが求められます。そのため、仕事の内容が進むにつれて、自分に求められることが刻々と変わってきます。変わってもすぐ対応できるように、先のことを常に考えていなければなりません。
 また、何にでも興味を持って、自分からやることを見つけることが必要だと思います。一つの仕事をするのに、自分の知らない分野の事も多く関わってくるため、それらを身につけなければなりません。知識の幅を広げていくイメージです。だから、興味のアンテナをのばすことが必要だと思います。
 また、仕事の結果は、目に見えた形で返ってくることが、怖くもあり楽しいことでもあります。
 学生の時にじっくり考えて、納得のいく進路を決めて下さい。

『自分で考え自分で行動を』
株式会社 クボタ
機械営業本部 九州業務グループ 主事
梶野 周三
(1996年 経済学部卒)

 メーカーの営業職において求められるのは、慣習的な価値観に捕われない新しい創造性のある人材です。ただ単に上から与えられた仕事をこなすだけではダメで、自分で考え自分で行動できる「自分流」ともいうべき人間でなければなりません。
 就職活動については、次の3点を参考にしてください。
1.まず、自分はどんな人間なのか、そして、なぜ就職したいのかを真剣に考えてみてください。
2.民間企業就職志望ならエントリーシートの必要ない学内セミナーを最大限利用するのも手です。いろいろな会社の話を聞く中で自分の興味のポイントがわかります。また、思わぬ会社に興味を持つ場合もあります。
3.一見無駄なように思えても、精力的に会社を回った人が、結局納得いく「決断」ができているようです。
 就職活動において一番大切なことは、「自分がどんな仕事をしたいのか」という未来像を明確に描くことだと思います。



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