教員
 教員採用は少子化の影響もあって、現在なお厳しい状況にありますが、このたび合格された皆さんに集まって頂き、教員を目指す三年生が、採用試験への準備や勉強法などを尋ねてみました。質問には懇切丁寧に答えて頂きましたが、紙面の都合上、その内容を抄録してお伝えします。
座談会の出席者
司会(広報委員):これより、本年、教員採用試験に合格された先輩の皆様にお話を伺いたいと思います。

 −いつ頃から採用試験へ向けた勉強を始められましたか。

A:今年の六月位かな。今年の三月から六月位までは情報集めで、何かを覚えたりする本格的な勉強はそれからでした。(石)
A:試験を意識して勉強を始めたのは今年の四月半ばから五月位です。(小)
A:今年の春休みに就職活動も軽くやって、本格的には春休みの後半からです。(田)
A:勉強というほどではないんですが、去年の今頃から寝る前に教育法規などパラパラと見るようなことをしていて、本格的に始めたのは今年の五月位です。(有)
A:今年四月の半ば位だったと思います。(栄)

 −どのようなことに重点をおいて勉強されましたか。

A:やはり情報集めかな。それで友達とも話して、試験に出る出ないを自分で判断して勉強ということですかね。教員採用試験関連の本も買いましたが、読んでない本も山のようにあるんですよ。出ると判断したらとことんやる、結局、学習指導要領は解説も含めて一字一句全て覚えました。(石)
A:最初、五月位から教職から始め、覚えることは一通り覚え、後は過去問を何年分か解いて傾向がつかめたので、そこを集中的にやりました。友達と講義内容や教育問題の会話を通して自分なりに意見を言えるようになったこともあるし、同じ県を受ける友達とも交流し情報交換もしました。(小)
A:同じように傾向を探って自分に必要な所をやるということと、息抜きも欲しかったので、昼に勉強し夜はしないというメリハリをつけました。(田)
A:自分の受ける県の情報を集めることがまず大切だと思います。(有)
A:論作文がでたのですが、いじめとかの教育問題が今まで身の周りになかったので、それにどう対処しようかなと考えながら勉強したことと、一般教養は覚えることはしっかり覚えたことですかね。(栄)

 −勉強の仕方で特に工夫されたことはありますか。

A:自分はこう思う、自分ならどう考えるだろうと考えながらする、ということですかね。(小)
A:着実に一字一句覚えるということ、あいまいだと書けなかったりするので。それと面接や小論文の準備として研究室でテーマを決めて話し合ったことです。(田)
A:これをやったら受かるというものはないので、自分に最も合った勉強でということです。(有)
A:自分はこう思うということが大切ですが、それに県の教育方針も加えることにも気を付けました。(石)

 −これをやっていてよかったということがあれば教えて下さい。

A:新聞を読んだりして今起こっている時事問題や教育問題を知り、自分の考えを持つようにしたことです。そのまま試験で書けたということもありますので。(石)
A:教科専門のことですが、教育実習で教えるため集中的に勉強したことです。(小)
A:何でもいろんな経験を積んでいたこと。聞かれたとき何でも言えるほうがいいし、信憑性があります。(田)
A:大学の授業のテストなどで頑張って覚えたことが後ですごく役だったことです。(有)
A:テレビコマーシャルから問題が出ていてテレビを見ていてよかったなと(笑)。(栄)

 −これから採用試験に臨む後輩にエールをお願いします。

A:勉強は効率よく深くということです。現役だからこそ斬新な発想ができると信じて試験に望んで下さい。(石)
A:自分で勉強するのも大切ですが、他の人から聞いたり、情報をもらったりすることも大切です。試験の時は、笑顔が一番です。(小)
A:いろんな経験を積んで、いろんなものの見方を身につけて下さい。自分で自分を励ましながら、自分なりに楽しみながら勉強すればいいと思います。(田)
A:県は違うけれど一緒に頑張れる仲間がいるのは強いなということと、たかだか二、三ヶ月、死ぬ気になって試験勉強したほうがよいと思います。(有)
A:試験、試験といってやるよりは、柔らかく物事を考えたほうがいいと思います。あとはその日の運も・・(笑)。(栄)
A:試験に関係のないことでも沢山やって自分の体験・経験として持っておくことが大切です。経験をもとに話すと重みが出て、面接の時に強いです。あとは、自分を好きになり、自分の好きな所をアピールできればいいと思います。(西)

司会:本日はためになるお話をたくさん聞かせて頂きありがとうございました。

座談会に出席した教員採用試験合格者(所属学部学年、合格県校種):
石橋敦さん(学教小4、広島市小)
小原陽子さん(教教国4、宮崎県高国)
田村郁代さん(教教家4、愛知県高家)
有田悠子さん(学教小4、高知県小)
栄大輔さん(理研数M2、兵庫県高数)
西村友典さん(教研自然M2、愛媛県高理)
インタビュー:
市位和生さん(学教3)
尾上大悟さん(同)
『問われる一人ひとりの教師の力量』
広島県立教育センター 所長
内田 信正
(1966年 教育学部卒)

 広島県立教育センターは、教職員研修の中核的な役割を担っています。今年度、指定研修の拡大に伴う希望研修講座の縮小にもかかわらず、その受講希望者数は、顕著な伸びを示しています。この背景・要因の分析は、今教師に時代が何を求めているかの証しの一つになると思います。
 その一つは、前学習指導要領に始まる新しい学力観に基づく教育の進展が、旧来の教育観・指導観に基づく教育内容・方法から、新しいものへ教師自身の変容を強く求めていること。二つ目は、教育にもアカウンタビリティの原理が導入され、教育界における戦後の護送船団方式から、教師一人ひとりにも「説明」と「結果」の責任が問われるようになってきたこと。三つ目は、3年間の異例の文部省是正指導の中で、教師の自主的研修意欲が恢復してきたことがあげられます。
 今、広島県の教育界が求めているものは、新たな「教育県ひろしま」の創造を担う人材です。従前の教育観に基づいて学んできた世代の者にとって、新しい教育観・指導観に基づく教育を身に付けることは喫緊必須のことになります。また、不登校・中退・問題行動多発に見られる本県の学校を取りまく厳しい状況の中で、どこまでも子どもが好きで、教育に限りない情熱を注ぐことのできる人を求めています。
 私たちは、是正指導後の新たな「教育県ひろしま」の創造のために、21世紀の日本の教育の方向を示している新学習指導要領等法規にきちんと基づいた教育の実践を行う教師一人ひとりの力量に期待しています。



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