教員採用は少子化の影響もあって、現在なお厳しい状況にありますが、このたび合格された皆さんに集まって頂き、教員を目指す三年生が、採用試験への準備や勉強法などを尋ねてみました。質問には懇切丁寧に答えて頂きましたが、紙面の都合上、その内容を抄録してお伝えします。
座談会に出席した教員採用試験合格者(所属学部学年、合格県校種):
石橋敦さん(学教小4、広島市小)
小原陽子さん(教教国4、宮崎県高国)
田村郁代さん(教教家4、愛知県高家)
有田悠子さん(学教小4、高知県小)
栄大輔さん(理研数M2、兵庫県高数)
西村友典さん(教研自然M2、愛媛県高理)
インタビュー:
市位和生さん(学教3)
尾上大悟さん(同)
『問われる一人ひとりの教師の力量』
広島県立教育センター 所長
内田 信正
(1966年 教育学部卒)
広島県立教育センターは、教職員研修の中核的な役割を担っています。今年度、指定研修の拡大に伴う希望研修講座の縮小にもかかわらず、その受講希望者数は、顕著な伸びを示しています。この背景・要因の分析は、今教師に時代が何を求めているかの証しの一つになると思います。
その一つは、前学習指導要領に始まる新しい学力観に基づく教育の進展が、旧来の教育観・指導観に基づく教育内容・方法から、新しいものへ教師自身の変容を強く求めていること。二つ目は、教育にもアカウンタビリティの原理が導入され、教育界における戦後の護送船団方式から、教師一人ひとりにも「説明」と「結果」の責任が問われるようになってきたこと。三つ目は、3年間の異例の文部省是正指導の中で、教師の自主的研修意欲が恢復してきたことがあげられます。
今、広島県の教育界が求めているものは、新たな「教育県ひろしま」の創造を担う人材です。従前の教育観に基づいて学んできた世代の者にとって、新しい教育観・指導観に基づく教育を身に付けることは喫緊必須のことになります。また、不登校・中退・問題行動多発に見られる本県の学校を取りまく厳しい状況の中で、どこまでも子どもが好きで、教育に限りない情熱を注ぐことのできる人を求めています。
私たちは、是正指導後の新たな「教育県ひろしま」の創造のために、21世紀の日本の教育の方向を示している新学習指導要領等法規にきちんと基づいた教育の実践を行う教師一人ひとりの力量に期待しています。