マスコミ・出版 
 さすがは憧れの職種。当初予定していたよりもたくさんの参加がありました。就職を決めた先輩たちが皆、自信に満ちて輝くような表情だったのが印象に残ります。そのパワーに押されて、座談会の会場にも、静かな熱気があふれていました。
座談会の風景
司会(広報委員):狭き門をくぐり抜けた四名の方に、今日は来ていただきました。後輩の皆さんはせっかくの機会ですから、これからの就職活動にとって参考になるような情報を、ぜひ先輩たちから聞き出して下さい。

 −最初からマスコミ・出版関係を志望して、色々準備していたんですか?

A:自分はメーカーなども色々受けました。テレビは、キー局は内定が早いですが、地方局は結構遅くて、他の会社と同じぐらいなんです。(向)
A:私は人と出会ったり何かを作りあげたりすることが好きなので、その観点で、色々な企業を受けました。(本)
A:自分が作ったものが目に見える形になって残るような仕事をしたいと思っていたので、システムアドミニストレータの資格をとってみたり、広告関係の専門誌を読んだりしていました。(長)
A:一年目は出版社なども受けてみたんですが、二年目は記者職に絞っての就職浪人を決意し、半年間休学して、アルバイトで現場に飛び込んだんです。これは得難い体験でした。単なる憧れではなく、厳しい仕事への覚悟のようなものができました。あとは友達と、題を決めて文章を書いて添削し合ったぐらいで、通信講座などは受けていませんでした。ただ、新聞は死ぬほど、全紙を読んでいましたよ。(与)

 −会社説明会などで、聞いておいた方がいい質問ってありますか?

A:パンフレットを見れば載っているような、基本的すぎることは聞いてはいけないですね。自分で調べないと。(本)
A:自分にとっては一次面接だという気持ちで、一番前の真ん中寄りに座ってよく説明を聞き、その場で質問を探すようにしていました。逆に自分から人事担当の人に「社長ってどんな人ですか?」と聞いて、上司との人間関係を見たり、自己アピールの作文を持って行ってコメントをもらったりしていました。会社によって返答やアドバイスが違っていて、人事担当の人を観察できるし、作文の方もだんだん手直ししていけるので、いい方法ですよ。(長)
A:大学で開かれる会社説明会は、向こうの方から関心を持って来てくれている点で、良い近道です。大いに活用してください。採用形態や職種などは、最初から営業だけ募集、男性だけ募集などという所もあるので、説明会でよく確認した方がいいですね。(向)

 −自分を目立たせるアピールの仕方って、どうやったらいいんですか?

A:面接は、退路を断った決意表明の気迫で行きました。それと普段から、同年代とだけではなく、年輩の人ともきちんと会話をする機会を、できるだけ持つようにして、慣れておくといいと思います。(与)
A:私は「姿勢正しく、元気な声、良い返事」を前面に出しました。自分の性格や行動の特徴をしっかり把握して、それを言葉だけでなく態度でも伝えることが大切です。(長)
A:僕は友人とバンドを組んで活動していたので、そのことを必ず話しました。伏し目がちになってしまわず、声を大きくはっきりと、態度をフランクに見せることは大切です。(向)
A:そうそう、私みたいに「餃子が上手に包めます。」でも、何でもいいんです。私は、面接の直前には、大好きな元気のいい音楽を聴いて、テンションを上げて行くようにしました。面接官の人たちは「あの子、勢いがあるな、何かやってくれそうだな。」と、私の気概を買ってくれたと思います。「前向きさ、開き直り、根拠のない自信」も大事です(一同爆笑)。(本)

司会:どれも皆いい話で、誌面の都合で全部載せられないのが残念です。後輩の皆さんも、力を発揮して激戦を乗り越えてくださいね。

座談会に出席した就職内定者からのメッセージ:
与倉康広さん(文4・新聞社)
 「周囲の噂に惑わされず、自分は自分だと思ってやって下さい。」
本田とも子さん(教4・放送)
 「就職は運と縁。一つが駄目でもくよくよせず、次へ進もうね。」
長谷川理絵さん(法4・広告出版)
 「リベンジも有り得るので、面接のときも最後まで諦めないで!」
向井寛達さん(法4・放送)
 「明るく元気よく、気持ちを前面に押し出していくことです。」
『求められる学生像』
中国新聞社 代表取締役社長
今中 亘
(1959年 文学部卒)

 マスコミ志望熱は一向に衰えません。世界が激動し、国の内外で事件・事故が多発して、これを果敢に報道する記者や特派員の姿が魅力的に映るのでしょうか。中国新聞の場合も、競争率は毎年20倍を超えています。
 社会の変化・変革のテンポが早く、日進月歩が秒進分歩という言葉に置き換えられる時代。それに価値観も多様化しています。
 学業をおろそかにする人は論外ですが、基本的には想像力と創造力のあるネアカなタイプが理想的。「指示待ち」の姿勢では何も生まれず、新世紀を切り開いて行くことはできませんね。
 近年、学校歴、つまり、どこの大学で学んだかはほとんど考慮に入れていません。何を学び、何を究めたかの学習歴と文章力、そして数次に及ぶ面接での人物評価が採否の決め手になります。「知識は豊富だけれど、常識やマナーに欠ける」という人は、まず受け入れられないと銘記しておいてください。これは新聞社に限らないことだと思いますが。

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