就職センター長より 
情報収集をするセンター利用者
『厳しい就職戦線と就職活動の心構え』

学生就職センター長
松水 征夫

企業と学生との接触開始時期を定めていた就職協定が平成八年に廃止されてから、企業の採用活動が前倒しで年々早くなっています。インターネットを利用した採用活動が主流になり、職種別採用や通年採用に見られるように企業の採用方法が多様化し、就職戦線が様変わりしています。また長引く不況の影響で企業の新卒採用が減少し、公務員・教員についても行政改革・少子化等の関係で採用が少なくなる中で、厳選採用となっています。
 激変する企業環境の中で企業は、問題解決能力、論理的思考能力、コミュニケーション能力などを学生に求めています。このため、エントリーシート(志望理由書)や面接で、大学時代に打ち込んで取り組んだことを積極的にPRすることや入社志望動機を明確にすることが不可欠になっています。したがって厳しい就職戦線を勝ち抜くためには、自分に適した将来の進路を早期に決めて、目的意識を持って大学生活を送る必要があります。
 就職特集の本誌には、このような就職戦線の中で内定を獲得した四年生諸君の就職活動の貴重な体験談が多く紹介されていますが、是非とも参考にして欲しいと思います。
 学生就職センターでは、専任教授による職業意識啓発のための講義「職業選択と自己実現」(教養的教育・総合科目)を開講するとともに、学年別にきめの細かい就職指導を実施しています。また、各種の就職ガイダンスだけでなく、ホームページにより就職活動に役立つ各種情報を提供するとともに、企業の人事担当経験者に委嘱して就職相談も実施しています。就職活動の流れに応じて、学生就職センターの各種サービスを上手に利用して、悔いの残らない就職活動をして下さい。
写真:情報収集をするセンター利用者
http://home.hiroshima-u.ac.jp/job/

 学長より 
『氷河期の後に』

広島大学長
牟田 泰三

 マンモスは氷河期に生きたけれども、氷河期が終わって間氷期にはいると絶滅してしまいました。人類は氷河期を生き抜き、間氷期を迎えて繁栄しています。人類のように、氷河期を越えて間氷期まで生き抜く生物は、環境変化に柔軟に対応する能力を備えていたのです。
 氷河期後の間氷期の世界は、氷河期前とは一変しています。氷河期や氷河期前に栄えた生物が氷河期後の世界で強いとは限りません。氷河期後には、また新しい生物たちにとっての新しい世界が開けているのです。
 さて、現代社会に目を移してみますと、バブル崩壊後、いっこうに経済的な立ち直りの兆候が見えません。学生の就職に関しても、氷河期と言われて久しいところです。確かに、学生諸君の就職状況は、さっぱり好転の兆しが見えてきません。まさに氷河期です。
 でも、氷河期だから駄目なんだと諦めるのはどうでしょうか。むしろ、氷河期だからこそ、次の間氷期に向けて準備するチャンスだと考えられないでしょうか。氷河期から間氷期に向けて、うまく乗り越える柔軟性を持った人が、新しい時代を切り開くのだと思います。学生諸君は、時代の変化に対応する柔軟性を鍛えているでしょうか。大学で、単に知識を身につけるだけでなく、大学生活を通して、物事に対する柔軟な思考方法を学んでほしいと思います。そして、氷河期の後に来る新しい世界で、新しい仕事を切り開いてほしいと思います。その際に最も大切なことは創造性です。これまでの既成概念に囚われることなく、既成概念を越えたところに新しい発見があります。広島大学は、そのような創造性豊かな学生諸君を世に送り出したいと思います。

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