留学生の眼(88)


最初の印象


研究室にて
 何でも高い!日本に来ての最初の印象です。値段を見る度にすぐ頭の中でインドネシアの通貨でいくらになるか計算して、いつも「うわ〜高いな〜」と独りつぶやいていました。インドネシアでは、五百円で学食で五、六回お腹いっぱいになるまで食べられます。しかし、日本の生活に少しずつ慣れてきた私は、今では日本の物価が高いという現実を受け入れることができました。今回は日本の物価について気付いたことを書いてみたいと思います。

日本とインドネシア

 日本は経済大国とよく言われます。しかし、日本人の平均年収は高いものの、物価も高いので、生活は大変だと思います。日本では人件費が高いので、一般家庭にお手伝いさんはいませんが、インドネシアでは普通の家庭でも最低三人のお手伝いさんがいます。一人は運転手で、一人は料理と掃除担当、あと一人は庭の手入れをする仕事です。日本ではよほどのお金持ちの人でなければ、ありえないことだろうと思います。
 しかし、びっくりするのは、一般大学生が数ヶ月バイトするだけで海外旅行が出来ることです。海外旅行の話は、日本人にとって普通の話だと思いますが、インドネシアの大学生の中では海外旅行なんて、あまり話題になりません。インドネシアの大学生の場合は、四年間一生懸命バイトしても、飛行機チケットすらも買えないです。一番いいのは、日本の給与水準でインドネシアに暮らすことですね。
 日本の物価は高い高いと思いながら、信じられないこともあります。普段私はバイクで学校に通っています。私のバイクはいくらだと思いますか。いいえ、いくらでもありません!卒業した日本人の友達からただでもらいました。友達は「あのバイクは誰かにあげないと、高い処理料金がかかるので」と、私にくれました。こういうことは、インドネシアでは考えられないことです。バイクだけでなく、時にはゴミ置き場を見るとまだ使えそうな電気製品なども置いてあります。あれをインドネシアに持っていったら、高い値段で売れます。
 日本人は欲しい物があったら、簡単に手に入れることができるので、すぐ飽きると思います。インドネシア人は欲しい物があっても、そんなに簡単に手に入れられないので、手に入れたものをもっと大事にしていると思います。さらに、壊れてもすぐゴミ置き場に捨てず、どうしても直せなくなるまでずっと使います。インドネシア人の友達が「日本人が捨てたゴミはまだ使えるかもしれないけど、インドネシア人が捨てたゴミは絶対使えないよ」と笑いながら言いました。
 高い物価をものともせず、欲するままに次から次へと物を手に入れてしまう日本人。そして、それらを愛着がわくまで、使いこなせていない日本人。本当の意味での豊かさとは何なのか、ちょっと考えを変えると、ずいぶん人生をエンジョイできると思いますがどうでしょうか。

日本と他の先進国

 先進国の中でも、やはり日本の物価レベルは高くて、アメリカに比べても、日本の物価は高いです。この現実を見ると、なぜ日本で留学生がそんなに多くないのかわかると思います。もちろん、物価以外に日本語の問題などありますが、物価は間違いなく大きな理由ですね。アメリカや欧州のように日本も魅力ある留学先になってほしいです。私も文部科学省の奨学金がもらえていなかったら、日本で進学ということは、ありえなかったです。本当に夢のまた夢だったでしょう。

留学生へのメッセージ

 留学生の皆様に一つアドバイスをしたいと思います。こんな物価の高い国で上手に生活しようと思ったら、やはり戦略と自己訓練が必要だと思います。今私がやっている戦略は、まず自分で料理をすることです。どんなにまずくても、自分の料理であれば食べられるし、何回も料理をすることによって、おいしくなると思います。次の戦略はフリーマーケットやバザーやバーゲンセールなどに行くことです。よく良い物が手ごろな値段で売られているので、すごくお得です。何回もフリーマーケットに行った私はいくつか良い物を手に入れました。最後に国内で旅行しようと思ったら、新幹線の学割もあるし、青春18切符もあります。青春18切符を使うと、日本の電車の路線や時刻表など理解できるし、日本人は電車の中で何をするのか観察できます。もちろん、外の景色も見れます。お金や物を大事に使ったら、日本人以上に日本の生活をエンジョイできますよ!
(原文日本語)




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