特集 新入生の皆さんへ
学生生活




大学にもある破壊的・反社会的カルトの勧誘活動 −魅力的な言葉には注意!

文・上 眞一
(Uye, Shin-ichi)
学生生活委員会委員長
大学院生物圏科学研究科教授


 宗教の自由は日本国憲法で認められていますが、宗教団体の名を語って破壊的活動あるいは反社会的活動を行う集団(カルト)が存在することは、皆さんもご存知と思います。彼らの活動はなかなか表には出ることはありませんが、実は、広島大学のキャンパス内外で、破壊的・反社会的カルトと判断される幾つかの団体による勧誘活動が行われています。魅力的な言葉の裏には必ず何かあることを疑ってください。
 彼らの誘いは巧妙です。知的に見えて、好感が持てそうで、優しそうな勧誘者(異性であることも多い)が、「心配事を解決してあげましょう」、「幸せになり、宇宙の真理や人間の本質がわかります」、「あなたのために祈らせてほしい」などと声を掛けてきます。彼らはカルトの名前を全く出しませんから、勧誘を受けた人は親切な人だと感じて、ついつい安心してしまいがちです。その時、もしあなたが氏名や電話番号を明かすと、そのうちアパートに電話がかかったり、直接訪問されることもあります。勧誘を断ると相手がかわいそうだからとそれを何回も受け入れていると、次第に深みにはまり込んでゆきます。カルトからの脱会は容易ではありません。
 人の心の弱さをつくことを勧誘者は心得ています。ですからあなたが悩んでいる時に勧誘を受けると、つい勧誘者の言葉を受け入れてしまいがちです。他人の魅力的な言葉の裏には、カルト勧誘の目的を持った邪悪な意図が隠されていることを思い起こしてください。しかし、日頃の付き合いを通して親友同士になった人の心をこのように疑うのは禁物です。大学時代に、お互いが助け―助けられる関係の真の親友を作ってください。一生の友人となります。



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