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電子図書館ってなに!

附属図書館


 今年の教養ゼミによる図書館利用案内で、新入生に「電子図書館って聞いたことがありますか?」と聞いてみますと、ほとんどの学生は首を傾げてしまいました。「電子図書館」という言葉の他にも、「ディジタル・ライブラリー」、「ヴァーチャル・ライブラリー」等があり、判ったような判らないような漠然としたイメージを抱かれている人が多いのではないでしょうか。

 そもそも電子図書館とはなんでしょうか。図書館情報学ハンドブック第二版(一九九九年)には、電子図書館は、「電子的情報資料を収集・作成・整理・保存しネットワークを介して提供するとともに、外部の情報資源へのアクセスを可能とする機能を持つもの」で、「これにより、利用者は基本的に図書館へ出向くことなく、的確・迅速且つ時間に制約されずにサービスを受けることができる」と定義されています。また、「地球上に広く分散して個々に収集・蓄積されている知的情報源を、ネットワークを通じて空間的・時間的制約を超えて利用可能とするもの」とも言われています。つまり、時間と距離(場所)の制約を受けないで、いつでも、どこでも、だれでもが自由に情報提供のサービスを享受する事ができるということです。電子図書館の本質的な特長は、インターネットを通じた、Accessibility(資料の識別と所在の認識)とAvailability(資料の入手・利用)の一致にあると言ってもいいでしょう。

 広島大学附属図書館の電子図書館化は、一九七五年末に全国に先駆けて電子計算機を導入したことから始まります。さまざまな事情により停滞した時期もありましたが、この一、二年の様々な取組みにより徐々に電子図書館的機能を充実させてきました。特に、この一年は、学内のご協力・ご理解を得て、貴重資料の電子化や多くの電子ジャーナル及び二次情報データベースの導入を図り、学内における教育・研究の支援機関としての基盤を整備することが出来ました。

 ここで、広島大学附属図書館の現在の電子図書館化の推進状況を説明しておきます。本学図書館では、次の二本柱で電子図書館化を進めています。

一.情報の生成・発信機能の充実・高度化
  1. 各種目録情報の電子化:図書、雑誌の書誌・所在情報のデータベース化(OPACで提供中)、斯波文庫目録等
  2. 学内所蔵資料の電子化:教科書画像データベース、森戸辰男文書画像データベース等
  3. 学内生成資料の電子化:広島大学紀要目次データベース

二.情報配信機能の充実・高度化
  1. 電子ジャーナルの導入:
    Academic Press社等の電子ジャーナル 約三千タイトル
  2. 二次情報データベースの導入:
    Web of Science,Current Contents Connect等
  3. 学術情報資源へのゲートウエイとしての役割提供:図書館ホームページ

 現状では、本学の教育・研究・学習の支援機関としての役割を果たすには、まだまだ不十分で、海外はもとより国内の先進大学と比較しても発展途上の段階であると認めざるを得ません。さらなる電子図書館化には、学内の環境整備、技術開発等まだまだ難題が山積しています。ヒト・モノ・カネへの全学の協力・支援等抜本的な改革が必要です。それなくして本学の電子図書館的機能の充実・高度化は困難です。

 二〇〇一年七月に、広島大学附属図書館図書館電子情報化専門委員会は、現状の打破及び今後の学内協力体制の確立に向けて『電子図書館化の推進に向けて"二十四時間情報提供体制の確立"』をまとめ、学内へ配付すると同時に図書館ホームページ上に公開しました。是非、一読していただきたいと思います。

(附属図書館ホームページ http://www.lib.hiroshima-u.ac.jp/ をご覧ください)


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