特集 II 企業から見た広島大学
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産学協同プロジェクトにおける経験と広島大学への期待
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文・粟屋 信義
( AWAYA, Nobuyoshi )シャープ株式会社IC事業本部プロセス開発センター |
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オリジナリティーと実用性の高い研究を期待
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文・田中 敏嗣
( TANAKA, Satoshi )太平洋セメント株式会社中央研究所 |
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以上のように、これまでは民間企業から大学に共同研究をお願いすることが一般的だったと思います。一方、最近大学発のベンチャー等が叫ばれていますが、国立大学法人化等により今後は、大学が自らの研究成果や特許を活用し、大学から仕掛けることが一層増えてくるのではないかと思います。いずれにしても、優れた研究成果は、新たな技術・製品を生み出し、企業や産業界の活力・発展につながると考えます。今後とも、広島大学が共同研究や技術開発のパートナーとなるよう、広島大学の伝統や個性を活かし、専門分野におけるオリジナリティーのある優れた研究成果のみならず、民間企業のニーズにマッチする実用性の高い研究も期待しております。 |
地元企業と広島大学のつながり
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文・橋本 邦彦
( HASHIMOTO, Kunihiko )西川ゴム工業株式会社 |
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このため広島大学とのつながりは強く、これまでもネック技術の解決のための相談や、新規開発テーマの入手、産官学交流などで、大いにお世話になっています。広島大学との産学共同研究も、工学部を中心にここ数年、年間四〜五件を実施しています。 広島大学が中四国地区で中核的な高等教育・研究機関であることは、自明のことです。今後、国立大学法人化やトップ30などの環境変化があろうとも、現在の位置づけは不変と考えられます。その中で、人材の供給も全国区、あるいはグローバル化を考慮すれば世界的に広く行われるべきで、研究成果も世界的に注目されるものが輩出するものと期待されます。しかしながら地元企業の視点でみれば、人材の供給を地元に継続的に行って戴き、それとセットで研究成果も地元に還元して戴けることを望んでいます。 広島大学と地元企業を結びつけるものとして、「広島大学地域共同研究センター」、「研究成果活用プラザ広島」、大型プロジェクトや知的クラスターの受け入れ機関としての「(財)広島県産業技術振興機構」などが、大学周辺に整備されています。確かに、中四国地区は重厚長大産業に偏重しており、バイオテクノロジーなどの先端的なテーマにおいては、産学共同に対する地元企業の姿勢に不十分な面もあるかも知れません。しかしこの地方を元気にし、将来に渡って活力を維持するために、前述の機関を大いに活用させて戴き、新規事業が雨後の竹の子のように生まれてくることを期待しています。 |
研究都市の中核として
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文・三井 直子
( MITSUI, Naoko )東和科学株式会社 |
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当社は、広島に本社をもち、環境分析・調査設計を主たる業務とする会社ですが、近年はバイオ技術を応用した環境関連事業の展開にも力を注いでおり、この部門の研究施設は東広島のサイエンスパーク内に集結しています。このような新規事業を推進する当社にとって、長年にわたる研究の蓄積と先端技術を保有する総合大学が身近にあることは幸運なことであり、非常に心強い味方と言えます。また、東広島市は、サイエンスパークをはじめ数々の研究施設の充実とともに、研究都市としての発展が目覚ましく、広島大学には、知の発信基地として、その中核を担うことが期待されています。 国立大学法人化の動きが進む中で、産学連携が求められる時代となってきましたが、広島大学と企業との共同研究や、これらの研究活動に基づいたベンチャー企業の創立など、地域に根ざした連携を通して、国内のみならず、世界に情報発信できる可能性を大いに感じます。 一方で、共同研究を通じて感じることは、企業と大学との役割分担を明確にする必要があるということです。企業が大学に対し過度に干渉したり、あるいは大学が企業化すれば、大学本来の学術研究の領域を制限してしまうことになりかねず、長い目で見れば、基礎研究が衰退する事態にもなりかねません。このような事態は、大学にとっても、企業にとっても、大きな損失になります。 純然たる学術研究と、産業へつながる応用研究とのバランスを保つための仕組みを産学間で確立することが、今、求められているのではないでしょうか。 |