広島大学の社会連携
 〜地域の小学生との継続的な交流事業〜

大学情報サービス室


 広島大学はその豊富な知的資源を生かして、教育・研究面で大きな成果をあげていますが、社会連携でも重要な役割を果たしています。
 今回は、広島大学の学生と教員が、地域の小学生と年間を通じて交流するフレンドシップ事業「ゆかいな土曜日」についてご紹介します。

年間を通じた継続的なプロジェクト
 「ゆかいな土曜日」は、東広島市の小学生を対象として毎年5月から12月にかけてほぼ毎月一回土曜日に継続的に開催しています。夏休みには一泊二日の合宿も行います。
 平成九年度から本格的な事業を開始し、今年で6年目になります。平成14年度には500人近い応募者の中から抽選で選ばれた150人の小学生が参加しています。
 参加した小学生は、畑づくりや餅つきなどの体験のほか、原始・芸術・科学・伝統文化の4つのグループに分かれてのグループ活動を行います。
 また、昨年度からは、地域の方などを指導者に迎え、草笛・手編み手芸・凧・竹笛・けんだまなど、13のクラブにも所属して活動しています。

小学生と大学生・大学教員が交流

フレンドシップ農場にて,児童と学生,地域の方々が共同してサツマイモの苗を植える。
 この事業の特徴は、教育実践の資質を高めることをねらいとして、教職をめざす学生が大学院教育学研究科の教員の指導の下に多数参加していることです。本年度は、約百名の学生と18名の教員が参加しています。
 参加する学生は、大学の授業科目である「地域教育実践」の受講者や、前年までにこの授業を受講済でボランティアとして参加する学生です。この授業では、学生が活動の企画や実施に携わり、子どもたちとのふれあいを通じて得た体験を振り返って、教員として必要な知識と経験を身につけることをめざしています。
 事業の運営・実施は、教育学研究科教員がフレンドシップ事業運営委員会を組織し、学生の活動を支援しています。

地域の方々の参加と協力
 事業の実施に当たっては、東広島市教育委員会のほか、東広島市下見地区振興会や同女性会、JA広島中央など多くの地元の方々の協力をいただいています。地元の皆さんには、農地の借用を始めとして栽培生産活動や季節の文化活動の指導をいただくなど、大きなご支援をいただいています。

豊かな創造性や感性、人間関係能力
昔の生活の体験として,地域の方の指導でわらぞうりを作る。
 最近の子どもたちは、自分たちで遊びを考え作り出すことができないとか体験の機会が不足しているなどと言われています。
 「ゆかいな土曜日」では、そんな子どもたちに、子どもたち自身が工夫し体験する機会を提供することをめざしています。
 参加した子どもたちは、違う学校や学年の子どもたちとも仲良くなり、地域の方々や大学生とも気軽に話をしながら、いろいろな体験の中で、普段の生活の中ではできない多くの発見をしています。

保護者からも高い評価
 保護者の方々からも、核家族化・少子化の時代において、野外で友達同士で遊び体験する機会が少なくなっている中で、このようなプログラムに参加することで子どもの主体性が高まったとか、友達づくりが上手になった、自分に自信がついたようだ、自分で判断し行動するという面での成長をまぶしく感じるといった高い評価をいただいています。

大学入学前教育への大学の貢献
 大学は入学してきた学生に対する教育を本務としていますが、その豊かな人的資源や施設・設備を活用して、大学に入学してくる前の児童・生徒を対象とした教育への貢献もしています。現在、マツダ財団の支援を受けて、幼稚園から大学までの教員が一緒に集まり議論するという取り組みも行っています。
 広島大学では、教育・研究に加えて「社会連携」を重要な柱として位置付けており、今後、このような議論を踏まえて、地域の教育への貢献も進めていきたいと考えています。



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