Student Project

「自分を変えたい」
 ―私を変えた「議員インターンシップ」―

 せっかくの休み、大学生でしかできないことをしたい、何かやりたい、と思っても何をしたらいいか分からない、と感じたことはありませんか?
 こうした思いを抱え、夏休みに何か変わった体験をしようと、今年の夏、議員と活動を共にし、政治家の姿を間近で見ることのできる議員インターンシップに、広島大学の学生が17名参加しました。
 議員インターンシップに参加した皆さんは、どのような体験をしたのでしょうか。インターンシップで自分がちょっとだけ変わった、そんなお話を聞いてきました。

政治を見つめたい
ただがむしゃらに成長したい

■議員インターンシップをはじめたきっかけ
高橋 この夏には今までとは全く違う新しい環境に一人で飛び込み、自分を少し変えたかったんです。議員インターンシップでは多くの人との出会いがあるということだったので、たくさんの出会いが私を変えるような気がしました。

矢野 私が今回議員インターンシップをやろう思ったのは、政治の現場が見たいとか、老人介護を知りたいといった理由です。でも今考えると、それ以上に、ただがむしゃらに成長したいという気持ちがあったように思います。だからインターンシップ中はなんでもいいからやりたいと思っていました。

井上 僕は前から政治に興味を持っていました。しかし、実際に議員さんがどのような活動をしていらっしゃるかは、マスコミを通してしか知りませんでした。マスコミからではなく、政治家の考え方や行動から、政治を見つめたいと思い、議員インターンシップに参加しました。

■議員インターンシップの活動内容
佐々木 私は呉の県議会議員さんのところでインターンシップをしたのですが、呉市議会や広島県議会の傍聴、党派の勉強会を見学したり、川掃除などの地域行事に参加しました。議員さんと意見交換することもありましたよ。他には、ドットジェイピー*主催のイベントで、国会議事堂を見学しました。

井上 僕は衆議院議員さんの下でインターンシップをしました。郵送物の整理(パーティーの招待状、支援者の方への葉書等)、入党申込書の整理、あと老人福祉施設を訪問しましたね。選挙活動は、ポスター貼り、後援会新聞などのポスティング、支援者の方を訪問、秘書の方と教育や福祉に関する論文作成をしたりもしました。


人との出会いはやっぱりすばらしい
■議員インターンシップを体験して、変わったこと
高橋 一時はどうしていいか分からず事務所に行くことが苦痛な日もありました。だけど、事務所の人に相談に乗っていただき、何とか一ヶ月間を乗り越えることができました。これは私にとって大きな自信となりました。人との出会いはやっぱりすばらしい。もっともっといろんな人に出会いたいと、思えるようになりました。大学生活で、久しぶりに充実感を感じました。
 少しだけ、自分が変わった気がします。今感じるこの新鮮な気持ちを忘れずに、残り少ない大学生活で、いろいろなことを吸収したいと思います。

高木 ひとつひとつの仕事に関しては、きちんと処理することができたように思います。でも、それはあくまでも与えられた仕事であって、自ら何かに取り組むという積極性に欠けていたように思います。これからは様々なチャンスを生かすことができるように、失敗を恐れることなく取り組んでいきたいです。

矢野 今まで地方の問題にあまり関心がありませんでしたが、知らないことをお会いした方々に教えていただけたことで、ローカルな出来事や広島に興味を持つようになりました。これは私にとって大きな変化だと思います。
 また、今までは政府や第三者の立場から地方に関する政策を考えていましたが、今回のインターンシップで広島の状況を知るにつれて、地方からの視点で政治や経済を考えることが少しできるようになった気がします。
 今後は、ゼミで広島と海外の経済的結びつきについて発表しようと計画しています。失敗をばねにして前進していきたいです。


自分たちの代表は、自分たちで選ばなくては

井上 政治家とカネの問題が連日報道され、政治家なんてこんなものなんだなというイメージがありましたが、一方で政治とは決して捨てたものではない、という思いも抱いていました。実際に事務所に通うようになってみてその作業の地道さに驚きました。そして、その地道な作業を通じていかに自分の政策、考えを有権者に伝えようとしているか、それを支える秘書さんたちの苦労を間近に見てやはり僕が政治に抱いていた期待のほうが大きいのだと改めて実感することができました。

出町 議員インターンシップをしてみて、議員は思ったより私達と近い位置にいるということを強く感じ、実際の仕事をイメージできるようになりました。当たり前といえば当たり前のことだけど、すごく地域の人たちとの繋がりの中で成り立っているのだなあと実感しました。議員の人柄や政策など議員を応援する人たちの代表として議員は、市議会で役所に対して質問をしたり、日々行動しているんです。選挙には行かなければならないと、自然に思えるようになりました。自分たちの代表は、自分たちで選ばなくては。

   *   *   *

 今回ご紹介した参加者は、議員インターンシップの経験を通して物の見方や意識を変え、自分を成長させることができたようです。私自身も二年前議員インターンシップに参加し、今までと違った世界、社会を体験し、様々な人と出会うことによって、多くの考え方に触れることができました。もちろん、自分の勉強している専門や興味のある分野と引き付けて活動したり、自分の将来を考えていく上でも、貴重な体験になると思います。

 「何か変わったことがしてみたい、自分を高めたい」そうした思いから、ちょっとだけ勇気を出して、議員インターンシップに参加してみませんか?

記事 藤本 梓(文学部三年)

ある日の一日(文学部3年 佐々木礼さん)

7:30
 出発。バスに乗って、県庁へ。
9:00
 県庁着。控え室で、議員とその日の議会の議題について、前もって勉強。同じ事務所のインターンシップ参加者との話も盛り上がる。
10:30
 議会傍聴。不勉強な部分があって、分からないこともあったけど、白熱した議会はすごかった。
12:30
 議会終了。昼食。議会事務の方とお話するのも楽しみ。
13:00
 議員さんに市町村合併のお話を伺った。自分の街がなくなっちゃうことは本当に寂しいけど、メリットもいっぱいある。難しい問題だ。
15:00
 今日の議会の資料に、もう一度目を通しておさらい。
17:00
 今日のインターンシップは終了。帰宅。明日もばりばり頑張るぞ!
県庁前で。ほう・れん・そう(報告・連絡・相談)に携帯は必需品。「スーツ姿に気合いが入ります!」
環境・防災に関する委員会の前に、議員さんから渡された資料、新聞記事に目を通す。
支援者の方へ配る後援会新聞を整理する。 地図おとし。支援者の方のお宅の位置を地図に書き込む。地道な作業。

取材に協力してくれたインターンシップ参加者

  井 上   挙(経済学部 2年)
  佐々木   礼(文学部 3年)
  高 木 泰 伸(文学部 3年)
  高 橋 佳 子(総合科学部 3年)
  出 町 育 子(教育学部 3年)
  矢 野 裕 美(総合科学部 3年)

広島、岡山の議員インターンシップ参加者30人に聞きました。
Q.
平均(夏休みの2ヶ月間)のインターンシップ日数は?
A.


約15日
  中には40日近く参加した人もいます。

Q.
インターンシップ中どんな活動をしましたか?
A.




1位 議会・委員会傍聴
2位 パソコンによる軽作業
3位 電話対応
   勉強会・部会などへの出席

Q.
一番勉強になった活動は?
A.






1位 個別訪問
   →様々な人に多くの意見を聞くことができて、物の見方を考えさせられた。
2位 勉強会・部会などへの出席
   →自分の住んでいる地域の問題を知り、学ぶことができた。
3位 議会・委員会傍聴
   →議員の役割について考えさせられた。また、議会開始前の役所の人との話し合いで、どのように質問が作成されていくのかを見ることができてよかった。

 ドットジェイピー(.jp)は、議員インターンシップを運営しているNPO法人です。来春の2・3月にも、第10回目の議員インターンシップを開催します。興味のある方は、下記のメール宛てにお問い合わせください。
 E-mail:chugoku@dot-jp.or.jp
 URL:http://dot-jp.or.jp
 携帯サイト:http://www.dot-jp.or.jp/mobile.htm

 「広大フォーラム」では、企画・編集への学生参加をすすめています。

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