五十年史編集室だより(21)

広大卒業生は「平和の戦士」〜卒業式の五十年〜



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50回目の卒業式
 今年もまた、卒業生・修了生を送る季節が巡ってきました。今年の卒業生の多くは、創立50周年にあたる1999(平成11)年に入学した方たちであり、広島大学卒業証書授与式(1992年より学位記授与式。以下、卒業式と略記)も50回目を数えます。

第一回卒業式
 第一回卒業式は、1953(昭和28)年3月25日午前十時から教育学部附属東千田小学校講堂で行われました。式次第は、「一、開式の辞 二、証書授与 三、学長告辞 四、来賓祝辞(文部大臣・県知事・県下大学長代表) 五、在学生送辞 六、卒業生答辞 七、閉式の辞」。この時、森戸辰男初代学長は714名の卒業生に対して、「私は業を終え社会に出られる諸君を送るには、あたかも戦士の門出を送るがようが如き心持をもっておるのでございます。それは武器を持った兵士を戦場に送るのではなくて、平和の戦士を生活の場に送るのでございます」と述べました。この年以降も、「自由で平和な一つの大学」の実現を目指した森戸学長の告辞には、「平和」の言葉がたびたび登場します。


卒業式の変遷
 卒業式の会場は、その後広島市公会堂、広島県立体育館、広島郵便貯金会館ホール、広島県立体育館、広島サンブラザホールと場所を変え、1994年からは東広島運動公園体育館で開催されています。1968年から三年間は、大学紛争のため全学統一の卒業式が開催できず、学部や研究室ごとに分散卒業式が開かれました。1981年からは、大学院学位記授与式も卒業式と合同で行われるようになりました。
 式次第の面でも、国歌奏楽・演奏(1959・60・2000年〜)や国歌斉唱(1961〜?年)が行われる、大学歌奏楽(1958〜60年)・大学歌斉唱(1961年〜)が行われる、来賓祝辞が無くなる、といった変化が見られます。国歌斉唱・来賓祝辞が行われなくなった年次については、関係文書が廃棄されてしまっているため確定することが困難ですが、大学紛争期以降には行われていません。また、紛争期以降は、学生服姿の卒業生は見られなくなり、振袖・袴姿の女子学生も多くなりました。

第五十期「平和の戦士」 
 原田康夫前学長は第50期生の入学に際して、「広島は21世紀になりましても世界の平和の原点です。皆さんは原爆の廃墟から今日の姿へ50年かけて発展してきた広島大学で勉強するのです。いかに世界平和が人類のため、世界のため、地球のために必要かを学習していただきたいと思います」というメッセージを送りました。3月23日、業を卒え、広島大学の理念である「平和を希求する精神」を身につけた「平和の戦士」たちが、広島大学を巣立っていきます。      

(菅 真城)



- NEWS -
 ■編集作業■
◇『広島大学50年史』資料編の原稿を入稿(10/31)。

 ■調査・研究活動■
◇国立教育政策研究所で資料調査(11/25)。◇大学アーカイヴズに関する研究会(京都大学大学文書館)に出席(12/7)。◇京都大学基礎物理学研究所で理論物理学研究所に関する資料調査(12/10)。

 ■資料の受入■
◇黒田信二氏(文学研究科院生)より「北川建次先生退官記念」関係資料を受贈(11/12)。◇岡本敏一氏(生)より学生委員会議事録等を受贈(11/26)。

 ■レファレンス■
◇教員経験者の数(10/28)。◇ 大学院設置審査(10/28)。◇広島高等師範学校(11/8)。◇東千田地区のメタセコイア(11/25)。


<連絡先>広島大学文書館設置準備室 電話 0824(24)6050 FAX 0824(24)6049


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