平成14年度定年退職者   

 本年度は教員26名、事務・技術系職員19名、計45名の方々が広島大学を退職されます。この度退職される皆様には、在職期間の長短にかかわらず、本学の教育・研究、また管理運営にご尽力下さり、ありがとうございました。そしてご苦労様でした。皆様は、それぞれのお立場で大学紛争、統合移転、さらに昨今の大学改革等本学の課題に立ち向かわれ、ご苦労いただいたことでしょう。ここでは、皆様お一人お一人から広島大学へのメッセージをいただきました。後に残る私達は、国立大学の法人化をひかえて厳しい状況におかれていますが、先輩諸氏からのメッセージを貴重な糧とし、本学の一層の充実・発展に努めたいと思います。
 45名の退職者の皆様のご健康とさらなるご活躍を心から祈念しております。


 孔子によれば「四十にして惑わず、五十にして天命を知る、六十にして耳順う」ということで、齢六十になれば、第一線を退いて若い者の言うことを素直に聞くのがいいとされています。孔子の時代に比べると、現代では長生きになっていますから、六十歳という年令設定が妥当かどうか分かりません。特に近年日本では平均寿命の延びは著しく、男性で七十八・〇七歳、女性で八十四・九三歳となっており、日本は世界でもダントツの長寿国です。実際、名誉教授の先生方は皆さんお元気で、各方面で活躍されている方が多いようにお見受けします。
 広島大学では教官の定年が六十三歳と定められており、事務官のそれは国家公務員法で六十歳となっていて、毎年春には、まだまだお元気な皆さんをお送りすることになります。随分前に定められたこの定年の規定が、現在の長寿国日本の実情に合ったものかどうかについては、議論の分かれるところです。単純に定年を延長するだけでは、若い人達の就職機会を減らすことになりますので、何らかの工夫が必要です。定年制の改善の可能性については、現在、評議会のもとにある人事部会で検討されているところです。
 いずれにせよ六十歳や六十三歳はまだまだ元気な盛りであり、引退して晴耕雨読というには早すぎます。また、それでは、我が国としても貴重な人材を無駄にすることになります。特に、若年人口が減少しつつある日本では、定年退官後の人材の有効活用が必要ではないでしょうか。高度の技能や知識を持った元気な高齢者が活躍できる職場を、もっと創り出すべきだと思います。日本がキャッチアップの時代に主力産業としてきたのは製造業でした。フロントランナーの時代となったいま、主力をサービス産業等に転換して、高齢者の雇用機会を増やすべきだと思います。また、高齢者の側でも、これまで培ってきた知識や技能だけに執着するのではなく、新しい知識の習得にも努めるべきでしょう。そのためには、広島大学にフェニックス入学制度や社会人入学制度があります。新しい学問に接するとともに、若い学生達と共に学んで、若返って下さい。
 この春ご退官の皆さん、長い間ご苦労様でした。広島大学は、皆さんのご努力の成果を土台として、これからも発展を続けます。今後は、外部から、広島大学を見守り応援して頂きたいと思います。



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