Ice Painting
広島大学サタケメモリアルホール所蔵作品
サタケモメリアルホール
2階ロビーには計29点の
Ice Painting作品が所蔵さ
れています。
作品はいずれも無題で、
1996〜2003年に制作さ
れました。
各76×31cm

広島国際大学助教授
 
原田 雅嗣
Visual Artist
Pianist
Percussionist
Dancer
URL:http://www.masashiharada.com
E-mail: m-harada@hw.hirokoku-u.ac.jp
1962年広島県生まれ
広島大学附属東雲小・中学校卒
ニューイングランドコンサーバトリー
サードストリーム科卒
同大学院ジャズ作曲科卒
1993年より同校講師(即興演奏)
1998年より現職・音楽家/美術家
ボストン・ニューヨークで個展多数
ロンドン・ニューヨークより自らの
グループを率いてのCD発売多数
― アイスペインティング ―
 氷の表面という、反流動的な材質性を利用し、その表面に各種顔料を付着させることによって、顔料と氷その双方の材質性に作者の肉体性を融合させる契機を見出しました。氷の上における顔料の動きは、表面温度、気温及びテクスチャー等に左右され、作者の石は常に攪乱され、顔料で作られた氷表面上の形態は予測不可能です。現前する形態に対し、断続的に特定形態の作成意志を修正しながら、新たな色彩や形態を加えていくというフィールドバック・メカニズムによって形態をまた色彩を増殖させてゆきます。予測不可能な細部の顔料の動きや、テクスチャーを肉体の基本的幾何学的運動や反復を利用し、個人的かつ普遍的形態のまとまりを試みます。しかし、氷の性質上時間による表面の変化にともない顔料に託された意志は定着を拒み、材質性そのものの意志によって変化し続けます。それを長方形という伝統的枠、構図法という条件づけをともなった作者の視点によって切り取る写真というメディアで作品化しました。




広大フォーラム2003年10月号 目次に戻る