文・西嶋 渉
(NISHIJIMA, Wataru)
部局長会議
安全衛生管理対応準備ワーキング座長
中央廃液処理施設助教授
 従来国立大学職員の保健及び安全保持に関しては国家公務員法、人事院規則等が適用されてきましたが、平成十六年度からの国立大学法人への移行に伴い、労働安全衛生法、労働基準法等が適用されることになります。これに対応するため、昨年十月に連絡調整会議の下に労働安全衛生法対応ワーキングが設置されました。ワーキングでは今後実施すべき事項が整理され、その結果が本年一月の連絡調整会議に報告されました。本年二月には、部局長会議の下に安全衛生管理対応準備ワーキングが設置され、労働安全衛生法対応ワーキングで整理された事項を実施すべく精力的に活動が行われています。
 安全衛生管理対応準備ワーキングは、労働安全衛生法及びその関連法令の他、これまでも適用を受けてきましたが、必ずしも十分な対応がとられていなかった消防法、高圧ガス保安法等への対応も含めて、法令遵守の実態把握を行い、適切な対応を行うことを目的としています。現在の大学の実情に労働安全衛生法を適用した場合どのような問題点があるかを把握するために、本年三月から七月にかけて全学部で労働衛生コンサルタントによる調査を行いました。その結果を受け、十六台の局所排気装置(ドラフトチャンバー)の新設、洗眼設備の設置、避難扉の確保等の対策が進められています。化学物質の管理については、消防法の定める指定数量を超える化学物質が研究室に貯留されている実態が明らかになっています。薬品保管庫の有効活用も含めて対策を検討していますが、化学物質の管理を徹底するにはどこにどのような化学物質がどれだけ存在するかを正確に把握することが必要であり、薬品管理システムの導入についても検討しています。高圧ガスボンベの管理については、理学研究科、工学研究科で大量のボンベが使用されている実態がありますが、高圧ガス保安法に基づいた管理ができておらず、管理方法の改善を検討しています。
 労働安全衛生法では、事業場単位で法律が適用されますが、広島大学は地域性、業態から七事業所に分割されることになりそうです。各事業場では衛生管理者、産業医、作業主任者等の選任、衛生委員会の設置等安全衛生管理体制の整備が義務付けられています。現在必要な資格の取得を進めると同時に管理体制について検討しています。さらに、法令を遵守し、業務に関する安全衛生を徹底するためのガイドラインの策定及び安全衛生教育の実施方法を検討しています。


広大フォーラム2003年10月号 目次に戻る