太田 茂
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PROFILE | |
1981年 | 東京大学大学院薬学研究科修了 | |
1983年 | 同薬学部助手 | |
1993年 | 同医学部助教授 | |
1996年 | 同薬学部助教授 | |
1997年 | 広島大学医学部教授 | |
2002年 | 同大学院医歯薬学総合研究科教授 | |
専門分野: 神経化学、衛生薬学 |
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開 | か | れ | た |
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学 | 問 | (97) |
カリブ諸島にみられる 風土病の原因究明 |
文・太田 茂 (OHTA, Shigeru) 大学院医歯薬学総合研究科 病態探求医科学講座教授 |
風土病の原因は果物の摂取 グアデロープで発生した病気の原因について、現地で神経内科の研究者の方々が検討したところによると、熱帯地方で採れるバンレイン科の果物であるサワーソップを食べることによるものではないかという考察をしていました。私たちの研究室では従来からパーキンソン病を発症させる原因物質に関する研究をしておりましたので、この報告には大変興味を持ちました。その果物の中に私たちが提唱している原因物質(図1)が含まれているかもしれないと考え、早速その神経内科の研究者に連絡を取り、現地を訪ねました。研究者の方々の協力を得て調査した結果、患者さん達は発症した直後に果物の摂取を止めると回復する場合もあることも知ることが出来ました。これは果物が発症原因であることを強く示唆する事実であると思いました。また発症した患者さんたちは果物を食べているだけでなく、サワーソップの木の葉をお茶のように飲んだり、ラム酒に漬けて飲んだりする習慣があることも判ってきました。私は現地でこの果物と葉を採取して、成分研究を行いました。その結果、私たちが提唱している原因物質と良く似た化合物群が見いだされました(図2)。また果肉部分より葉の抽出物の方が問題の化合物が多く含まれていることも明らかにしました。次に果物や葉からの粗抽出物や私たちが単離した化合物を用いて毒性試験を行うと、神経細胞に対して毒性を持っていることも確認できました。これらの結果から、現地の患者さんたちはサワーソップを食べたことで図2に示した化合物による毒性が発現し、それによってパーキンソン病様症状が出たのではないかと考えました。 遺伝的因子も発症には重要
果物を摂取している他地域は大丈夫か これまでの研究から、グアデロープにおけるパーキンソン病様症状に対する対策のきっかけは築けたのではないかと感じています。それではサワーソップを食べているほかの地域での実態はどうなのでしょうか。グアム島で同様の症状が出現していることは報告されていますし、サワーソップを食べていることも明らかです。ただし残念ながらそれらの相関までは検討されていません。また他の地域でのこのような報告は現在のところ存在しません。 私たちは今後グアム島やそれ以外の地域でサワーソップを採集し、その成分を検討したり、症状の発現が認められているかなどについて検討していきたいと考えています。これらの検討を通じてこの症状の治療法、治療薬の開発、また熱帯地域における予防策について貢献することが、私たちの夢です。 パーキンソン病解明にむけて また本症状はパーキンソン病そのものとは異なるものですが、環境因子と遺伝因子の重なりによって発症するらしいことなど、かなり類似性があることも確かなようです。本症状の徹底的な検討がパーキンソン病の解明にも繋がるのであれば、パーキンソン病で苦しんでいる多くの方々のためにも貢献できると考えています。 |
太田 茂
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PROFILE | |
1981年 | 東京大学大学院薬学研究科修了 | |
1983年 | 同薬学部助手 | |
1993年 | 同医学部助教授 | |
1996年 | 同薬学部助教授 | |
1997年 | 広島大学医学部教授 | |
2002年 | 同大学院医歯薬学総合研究科教授 | |
専門分野: 神経化学、衛生薬学 |