学生リポーター通信・第7回
大学と市民との交流窓口
 〜薬用植物園〜


各地から集められた薬用植物(トウキ)


講座参加者が持ち寄った田舎料理
 多くの人が耳にしたことのある「杜仲茶」。広大でこのお茶の原料となるトチュウが栽培されていることをご存知ですか?実は霞キャンパスに、このトチュウをはじめさまざまな薬用植物を集めた植物園があるのです。
 およそ二千平方メートルの土地に千種に及ぶ植物が集められ、広島市中心部の霞キャンパスにありながら、緑あふれる医学部附属薬用植物園。既に治療や医薬品の原料に利用されている薬用植物をはじめ、現在研究段階のものや、薬用とは言えないが、人、動物、社会、環境などに対して効果のある、有用資源植物と呼ばれるものも多数植えられています。中でも目を引くのは、植物園の神田博史助教授によって世界や日本の各地から収集された同一種類の植物群です。これは、同じ名前の植物でも生育場所や原産地によって違いがあるため、各地から集めたものを比較して利用に最も適した種を探し当てる研究用だそうです。私も実際にシナモンの葉を四種類比べてみたのですが、形や大きさといった外見だけでなく、香りやその強さに違いを感じて驚きました。
 取材の中で、薬用植物園の意外な一面を見つけました。普段は薬学科の授業や研究に利用されている植物園が、日曜日には公開市民講座の開催により、講義や野外実習に訪れる多くの市民で賑わっているのです。「薬草や体によいものを学び、料理などで実践することで仲間との話が弾む」と笑顔の参加者。薬用植物について知りたい、貴重な大学施設を一般開放して欲しい、という市民の要望に応え、約十年前にこの講座はスタートしました。現在では講座の事務や除草作業などが、長年の参加者によるボランティアスタッフに支えられており、薬用植物園はまさに大学と一般市民との交流最先端と言えるでしょう。

学生リポーター 岩本 優子(歯学部一年)
*このコーナーでは、学生が小耳にはさんだ話題を学生の視点でお伝えします。



広大フォーラム2003年12月号 目次に戻る