大学生活は、いろいろな履修ガイダンスから始まりますが、大学独特の言葉使いがあって、最初はなかなかわかりにくいものです。大学の使いこなしの第一歩でつまずかないように、昨年の一年生が理解困難だとアンケートに書いている言葉のうち、各学部に共通するものを、かみくだいて説明します。


 それぞれの専門分野での違いはありますが、すべてに共通して言える大学と高校の一番異なる点は、大学では何よりも自主性が尊重されることです。「生徒」から「学生」、「教諭」から「教授」へという言葉の変化がそれを端的に表しています。


 これを如実に反映しているのが、「授業をとる」とか「単位をとる」という言い方です。大学で開設される授業には、講義のほか、演習(少人数での報告・討論を中心とした学生参加型の授業形態。ゼミナール、略してゼミと呼ばれることも多い)や実習・実験などの種類がありますが、すべてに単位数が定められており、授業に参加し、課題をこなし(これが「履修」です)、試験を受けて合格すれば定められている単位が認定されます(学生側から見れば「修得した」)。そしてその単位数の合計が卒業に必要な数に達すれば、学位である「学士」の称号が授与されるのです。


 広大の授業時間は一回が九十分ですが、それは一時限四十五分を二時限連続して実施したものと計算しているのです。たとえば、十時五十分から十二時二十分までの九十分の授業は三・四時限の授業ですが、一般に「二コマ目」と呼ぶほうが多いようです。


 広大での標準的なパターンは、週一回一コマの授業を一学期間(広大は前期と後期の二学期制で、この半期のことを「セメスター」(略せば「セメ」)と呼びます。一年前期を一セメ、後期を二セメと通しで使っています)履修すれば、二単位修得できるというものです。一単位とは、大学設置基準第二十一条によると、「四十五時間の学修を必要とする内容」のことで、「講義及び演習については、十五時間から三十時間までの範囲で大学が定める時間の授業をもって一単位とする」ということです。つまり、四十五時間のうち、十五時間が大学での授業で、残りの三十時間は大学外での勉強時間(予習や復習などの自学自習)と見ることになるのです。だから、一時間ずつ半期十五週授業をすれば、一単位と見てよいことになり、週一回二時間(実際には九十分ですが)の半期の授業が二単位になるのです。一単位につき二時間として、二単位の授業一回につき四時間は自学自習をすることになっているので、履修登録できる単位数に上限があるのです。なお、大学での授業を重視する科目では、単位数が異なるものもあります。

講義 週1コマ 2単位
外国語
実習
週1コマ 1単位
実験 週1コマ 2/3単位


 とはいえ、履修登録の際には、このような計算のルールを知らなくても、その授業が何単位であるか、科目指定(必修、選択必修(複数科目から必ず一定数の科目を選択する。パッケージ科目はこれに相当)、[自由]選択など。「登録ミス 卒業まぎわに おおあわて」にならないように)やクラス指定があるかということに注意しておけばいいのです。同じ時間帯に開講される科目は、当然一つしか履修登録できませんので、自分で優先順位をつけることになります。その判断材料としてあらかじめ与えられているのが「シラバス」(講義概要)です。今では冊子だけではなく、インターネットで広大のホームページにアクセスすれば、全学の全科目のシラバスをいつでもどこからでも簡単に見ることができるようになりました。このようにして各学部で指定された条件を満たしながら各自が自分の時間割を作るということが「授業をとる」ということの意味なのです。登録は昨年後期からコンピュータ端末から行うことになりました。そのシステムが「もみじ」です。新入生のみなさんには、第一週目の教養ゼミの時間に実際に端末から登録してもらいます。


 大学の授業はそれこそ十人十色で、同じ名称の科目でも教官が違えば全然中味が異なるということもよくあります。教科書がない授業もあれば、教科書が指定されていてもほとんど授業中に見ないこともあります。昔の講義は、先生が一方的にしゃべり、学生はひたすらノートをとるだけで、先生は黒板にほとんど板書しない、板書しても単語だけというものが多かったようです。今でもこのスタイルの講義はありますが、レジュメ(レジメともいう。要約、概略を意味するフランス語
)を配布したり、最近ではコンピュータによるプレゼンテーション(パワーポイントなどの使用)を使う授業も増えてきました。先生の側もわかりやすくしよう、うまく伝えようといろいろ工夫や努力をしてくれますが、結局は、自分で学び取るという姿勢を早く身につけた者が、大学での勉学に早くなじめるようになり、新入生を脱皮して大学生に変身していきます。

(広報委員 平野 敏彦)


広大フォーラム2003年4月号 目次に戻る