近年、環境問題が再び注目されてきています。工場排ガス中の微粒子の捕集装置としてサイクロンがありますが、従来のサイクロンでは粒子に作用する遠心力のみを利用しているため、捕集できる粒子径(分離径)を一μm以下にする場合には、入口速度を上昇させる必要があります。よってサイクロンの圧力損失が高くなる問題点がありました。 最近、筆者らが開発したサイクロンでは、乾式サイクロンにおいて粒子を正に帯電させておいて、サイクロン内部に負帯電した微小なミスト噴流を原料供給部と独立して供給できるようになっており、極めて粒子捕集効率を高くすることが可能です。
本提案のサイクロンは従来のハイドロサイクロンと異なり、粒子との親和力の強い界面活性剤をミスト噴流に用いているため、捕集粒子を含むスラリー排液の生成量が極めて少ないという特長があります。またサイクロン内部での洗浄捕集効果に加えて、イオナイザーによる正帯電した粒子とスルホン酸基(SO3-)を含む負帯電したミスト噴流により、ミストと粒子に強い静電気力が作用するため、粒子の捕集効果が極めて高くなります。 シリカ粒子(SiO2)を試験粉体として行った実験結果では従来法の効率が九十三%に対して、界面活性剤をミスト噴流として用いると粒子の捕集効率が九十九%と極めて高くなっており、その利用が期待されます。 |