合同演奏会終了後,拍手に包まれて

練習風景
 指揮棒がとまった瞬間、客席から沸き起こった大きな拍手。舞台に立っている演奏者の顔には、安堵の表情が浮かび充実感があふれていました。合同演奏「大地讃頌」は、会場全体を感動で包み込み終了したのです。

新たな挑戦
 年に一度、音楽協議会に所属する全サークルの参加により開かれるフェニックスコンサート。合同演奏は、各団体の演奏後、サークルごとの垣根を越え、ジャンルの異なる人が演奏に加わり、コンサートの取りを飾りました。
 しかし、実はこの試みは今回はじめて行われたものだったのです。音楽協議会の代表者で持たれた合宿で、フェニックスコンサートで何か新しいことに挑戦しようということになり生まれた企画でした。しかし、初の合同演奏に対する期待も大きい分、本番までの課題は尽きませんでした。まず生じた課題は曲目選びでした。合同演奏の楽譜入手はとても困難でしたが、教科書にも載っているこの曲ならば、お客さんにも口ずさんでもらい、全体で共有できる空間作りができるのではないか、との考えから、最終的には「大地讃頌」に決定しました。合同練習の機会もあまり取れない上に、合奏と合唱、それぞれの表現法や音質の違いから、タイミングや音量の調節、ハーモニーの掛け合わせ方など、技術面での課題も多数挙がりましたが、音楽そのものが持つ魅力や、初の試みを何とか成功させようという熱い思いから、練習には自然と力が入りました。

期待と緊張の中で
 コンサート前日。本番で使用する、サタケメモリアルホールでリハーサルが行われました。メンバー全員で曲を一度通し、歌詞や音の響きを確認後、練習が行われました。指揮棒が振り下ろされる直前など、幾分残っているリラックスした表情の中からも、目前に迫るコンサートへの緊張感が伝わってきます。客席では、全体のチェックのため見守る人もいて、曲の合間には指揮者との意見交換がなされ、これまでの練習場とホールとの勝手の違いから生じる問題が改善されていきました。また、舞台袖では、コンサートの企画を担当する演奏会企画局の学生が段取りなどについて、打ち合わせをしていました。翌日に向けての準備は着々と進んでいたのです。「そろそろ時間なので」という、スタッフの声に、慌てて曲の最後の確認をし、リハーサルは終了しました。指揮者の方は、「完璧ではないけれど、明日が楽しみです」と目を輝かせながら話してくれ、本番を明日に控えた興奮が伝わってきました。

更なる期待
コンサートを終えてほっとした表情をみせる出演者たち
 コンサート当日は学生のみならず、地域の方も含め、例年の倍のお客さんが会場に足を運びました。お客さんからは「合同演奏に感動した。来年も続けてほしい」という声が聞かれ、演奏者の方も「合同演奏を通して、これまで交流がなかったサークルの人たちと知り合うことができてよかった」「合同演奏がフェニックスコンサートの伝統になれば…」と話してくれました。
 今回、フェニックスコンサートを通して、音楽に必死に取り組む人たちの姿を取材することができました。ジャンルは異なっていても、音楽という共通する夢に対する強い思いが、その表情や行動に表れていたように思えます。来年もまた、その音楽への熱い気持ちやすばらしい演奏で私たちを感動させてくれることでしょう。

取材
 筒 井 志 歩(総合科学部二年)
 丸 一 真 実(総合科学部一年)

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