文・倉田 英子
(KURATA Hideko)
附属図書館
情報サービス課専門員

図書館電子化の現況
 電子化された情報に対するニーズの高まりに答えるべく平成十年三月「広島大学附属図書館の電子情報化構想」
http://www.lib.hiroshima-u.ac.jp/denshi/denshi.html
を策定し、既存の図書館が担ってきた機能・役割に加えて、所蔵資料やサービスの電子情報化を通じて新たに「電子図書館」的機能や役割を明示しました。
 その後、雑誌の「電子ジャーナル」化が急増し、商業出版社による寡占化が進んだ結果、価格高騰問題が生じ、購読雑誌タイトル数が激減しました。それ等を補うべく平成十三年七月「電子図書館化の推進に向けて」
http://www.lib.hiroshima-u.ac.jp/denshika/suishin4.htm
が提言されました。
 図書館は、この構想に基づき外部資金の獲得、他の図書館との共同購入システムを構築し、従来の発想の枠を超えた努力を行いサービス向上に努めてきました。例えば本学で利用できる電子ジャーナルは当初二百一タイトル(平成十一年)でしたが、現在は四千二百四十九タイトル(平成十五年・無料分含)に拡大し、二次資料ではWeb of Knowledge(平成十四年)・SciFinder(平成十四年)等が導入されました。特に原爆・被ばく関連資料は、世界初の原爆関係データベースであるため、研究者や学校関係者から期待されています。

〈図書館作成データベース一覧〉
・「教科書コレクション(文部省電子図書館化推進経費)(平成十三年)」
・「中国五県土地租税資料文庫(科研費・地域貢献特別事業費)(平成十四年〜)」
・「加計隅屋文庫・松落葉、篁山竹林寺縁起、厳島縁起(地域貢献特別事業費)(平成十四年)」
・「原爆・被ばく関連資料(科研費)(開発中)」等

 これらは、図書館ホームページ(http://www.lib.hiroshima-u.ac.jp/)で、24時間アクセス可能です。

今後の計画 さらなる電子図書館的機能へ!
○Webを使用しての利用者サービスの拡大
 レファレンス・文献複写申込・購入希望図書申込・図書貸出予約等、図書館に直接出かけなくても利用可能サービスを拡大します。(図書館ホームページのWebリクエストで)

○電子ジャーナル及び二次情報データベースの導入整備
 IT環境の進歩・普及で、情報利用環境の変革の影響が最も大きく速い分野で、本学では学術基盤整備の核として、どの端末からも二十四時間アクセス可能な体制を確立していますが、情報のデータ量の増大と資料の高騰に対応するための予算的措置(今年度については、大部分を学内の共通経費による)と、大学コンソーシアムが今後も必要です。

○シラバスとの連携
 シラバスに掲載されている参考図書・参考文献を基に教育に必要とされる資料の紹介・入手を手助けして、授業の向上に貢献(オンディマンド・コースリザーヴ)します。

○学術データベース整備
 購入資料(図書・雑誌)の書誌情報・所蔵情報のデータベース化、昭和四十七年以前に所蔵していた図書約百二十八万冊のデータベース化(遡及入力)を継続し、OPAC(広島大学蔵書目録検索)で簡易に利用可能にします。

○資料の電子化促進
 学内紀要・学位論文・科研報告書等研究成果によって生成される学術資料および広島大学のみに所蔵する貴重資料等のデータベース化により、広く国内外に向けての情報発信を目指します。
 電子図書館として資料のデータ化を進めて行くだけでなく、利用者にとってアクセスしやすいWeb環境を作り、学外や国外へとリンクすることで、利用者の利便性の向上も目指します。

学外、海外へのリンク例
CiNii(NII引用文献情報ナビゲータ) 〈試験公開〉http://ci.nii.ac.jp/
検索した論文の引用文献情報表示と本文へのリンク
*データを追加しました。詳しくは「CiNii(サイニイについて)」をご覧ください。(2003/06/03)

http://ci.nii.ac.jp/outline-j.html

研究紀要ポータル http://kiyo.nii.ac.jp/
日本の大学・研究機関が発行する学術雑誌の論文検索・(一部)本文表示
*新たにサービスを開始しました。(2003/03/17)

http://www.nii.ac.jp/kiyo-portal/kiyo_start.html


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