文・高田 忠彦
( TAKATA, Tadahiko)
ベンチャー・ビジネス・
 ラボラトリー施設主任
 大学院工学研究科教授

理工系院生対象MOT教育の内容
平成16年度 対 象 講義数 備考
MOT-1 ベンチャー
起業論
理工系院生 夏期集中 平成16年8月
2日〜5日
MOT-2 技術戦略論 前期90分/
週(15回)
毎週火曜日
9,10時限
MOT-3 財務・会計 夏期集中 平成16年9月
27日〜30日
MOT-4 知的財産論 前期90分/
週(15回)
毎週火曜日
9,10時限
起業家養成講座 社会人・
院生
180分/2週
(13回)
VBL共同
セミナー
注)取得単位数:各教科とも2単位
 MOT(Management of Tech-nologyの略:技術経営)教育が注目されているのは、技術と経営のわかる人材を育成することによって、バブル経済崩壊後の長い不況を脱し、再び、日本の産業や経済を活性化させることが出来ると考えられているからです。
 研究者や技術者は、研究・技術そのものに目が向きがちであり、コスト、知的財産、競争力、市場など、事業や経営に一歩踏み込んだ視点からの進め方には乏しかったように思われます。
 これまで、ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー(VBL)は、ベンチャーマインドの育成を目的に、学部生や理工系院生を対象に、ベンチャービジネス関連講義を行ってきました。ベンチャーマインドの育成は、極めて重要ですが、これに経営のセンスが加われば、時代の要請に応えることができます。このような観点から、工学・理学・先端物質科学・生物圏科学研究科の理工系院生を対象にしたベンチャービジネス関連講義を改編し、平成十六年度からMOT教育として新たにスタートすることにしました。
 MOT教育は、米国に始まり、一九九〇年代の好況は、MOT教育の効果も大きいともいわれています。わが国のMOT教育は、まだ緒に付いたばかりです。各大学でいろいろ特長あるプログラムが組まれています。
 平成十六年度は表に示しましたように、四教科(八単位:MOT―1〜4)でスタートします。四教科すべて履修すると履修書が授与されます。各教科の内容は以下の通りです。
・MOT―1(ベンチャー起業論):起業家精神、起業戦略、技術移転、マーケティング戦略などを学ぶ。
・MOT―2(技術戦略論):経営戦略に影響を及ぼす技術戦略を学ぶ。
・MOT―3(財務・会計):財務諸表の読み方、資金調達など、会社経営に必要な財務・会計の基礎を学ぶ。
・MOT―4(知的財産論):特許、著作権など知的財産に関する基礎を学ぶ。

 なお、VBLでは東広島市と共催で社会人・院生を対象にした「起業家養成講座」も開講しています。この講座を含めて多くの理工系院生の履修を期待しています。


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