オリキャンの過去・現在・未来

★オリキャンの歴史

各班思い思いの格好に扮して、宮島に降り立つ
参加者(写真:「平成4年度新入生オリエンテー
ションキャンプ」アルバム(文書館所蔵)より)
 初めて広島大学でオリエンテーションキャンプ(通称オリキャン)が行われたのは昭和48(1973)年です。学生紛争によって対立していた学生と教官との交流と相互理解を図るとともに、新入生の一部が入学後に陥りやすい孤独感や虚無感を解消するため、大久野島にて全学規模で開催されました。その後、宮島の包ヶ浦キャンプ場に会場を移し、全学的な支援のもと、体育会に所属する学生を中心にして構成された総局と呼ばれるキャンプ実施本部が中心となっておよそ一年間をかけて準備し、四月下旬に最大で三千名近くの参加者による大規模なキャンプが開催されていました。このオリキャンを楽しみに入学してきた学生も多く、各班思い思いに仮装して他の班と比べ合っていました。また、広大のシンボル「不死鳥」を模した火の玉から点火される「ファイヤーストーム」や包ヶ浦の桟橋を離れるときに応援団によって行われる「※ハイズカ」コールなど新入生に感動を与える企画も実施されていました。しかし、この大規模なキャンプを実施するために総局に所属する学生に一年間にも及ぶ過大な負担がかかることや、教官と学生との意思の疎通が稀薄になったことに加えて、キャンパス移転などが絡み、平成四年をもって二十回続いた全学オリキャンを廃止し、学部単位でそれに代替する行事を行うことが学生委員会によって決定されました。

※ハイズカ・・・日本全国で、キャンプの時などにレクリエーションの一環として歌われる振り付けつきの歌。

★現在のオリキャン
 平成五年以降、学部ごとに行われているオリキャンは、各学部の二年生が中心となって運営しています。彼らを「フェロー」や「サブフェ(サブフェロー)」、「スタッフ」と呼ぶ学部が多いようです。運営基盤が各学部によって異なるため、これらの名前の使い分けも学部によって異なります。法学部では「フェロー」の代わりに「ナビ」が使われています。文学部ではスタッフの補佐をする「フリーサブ」、教育学部では本番キャンプに参加できないけれども準備に携わっている「サブスタ」というスタッフもいます。また、文学部では三年生以上のスタッフを「スーパーサブ」と呼び、教育学部では三年生の中でフェローの手助けをするスタッフを「FF(Fellow's Fellow:エフエフ)」と呼んでいるようです。各学部では、オリキャン当日に班ごとに小物を準備するなど、全学オリキャンの名残らしき習慣がみられます。

★オリキャンのあり方…
 今年度から法学部オリキャンを学部行事として実施しないことが教授会で決定されました。これは、教官と学生との交流が少ないことや事前の班活動(班活)が一連のオリキャンの活動のメインとなっていることに対して、教官側に批判的な意見があるためのようです。学生側は、新入生同士および新入生と先輩の交流という観点からオリキャンの必要性を訴え、学生主催で昼間コースのオリキャンを開催することになりました。今回は、事前の班活に規制を設けることや初めて三年生以上に補佐として残ってもらうなど、来年度以降学部行事として再開できるように努力しています。これらのことは、法学部だけの問題ではなく、全学部にとってもこれからのオリキャンのあり方について考えるよい機会となるのではないでしょうか?
学生リポーター 松川真由美(経済学部三年)

*このコーナーでは、学生が小耳にはさんだ話題を学生の視点でお伝えします。


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