文・田邊 誠
( TANABE, Makoto) 大学院法務研究科長 |
広島大学法科大学院は全国六十八校の法科大学院の一つとして、本年四月、二年コース十四名、三年コース四十七名の入学者を迎えました。教員たちは、ソクラティック・メソッド(問答方式)という、これまで経験のない教育方法に戸惑いつつも、教員相互の研修会や授業の相互参観など様々な方法を活用して、法律家に必要な分析力・思考力を養うことができる教育の実現をめざして日々努力を重ねています。また、学生たちは、質疑応答を通じて積極的に講義に参加するほか、自習室や自宅において、朝早くから夜遅くまで講義の予習・復習あるいは自習に、寸暇を惜しんで頑張っています。来年には、一般市民を対象とする法律相談を中心とするリーガル・クリニックや、弁護士事務所や裁判所などで法律実務の実際を体験するエクスターンシップなど実践的な授業も実施されます。 これまで、法律家の感覚あるいは常識は、一般人のそれとは異なるものであるといった批判を受けることがありました。広島大学法科大学院は、一般人の感覚を忘れることなく、人々が身近に感じて気軽に相談できる弁護士、人々から信頼され、頼りにされる裁判官・検察官、一言でいえば「良き隣人たる法律家」を養成することを目標にします。 正式名称は、「大学院法務研究科」ですが、通称として「法科大学院」という名称を用いていく予定です。 |