風の谷



3月の終わりにヘール・ボップ彗星を見た。
北西の澄んだ夜空に美しく光っていた。
4500年ほど前にも地球に接近したらしい。
再び見ることができるのは3000年ほど後になるそうだ。
時間とは何だろう。
現代人は日々の雑務に追われ、確かな時をつかめない。
宇宙が誕生して150億年だといわれてもそれを悟る感覚を持たない。
はるか太古から遠く未来に流れる時間、
その中に消えていくもの、残るもの、
流れ去るもの、動かぬもの。
絵を描くとき、そのときそのときの断片的なかすかな記憶がよみがえる。

(作品提供および解説 附属福山中・高等学校 高地秀明)



広大フォーラム29期1号 目次に戻る