交通事故を検証する


 入学式を終わって間もない一年生が、交通事故で亡くなった。これから希望に満ちた人生を歩もうとその一歩を踏み出した本人の無情さはもとより、娘を亡くされたご両親やエスコートしていた上級生の悲しみと衝撃は想像にあまりある。
 交通事故対策に万全はないが、少しでも事故への注意を喚起してもらいたく、この特集を企画した。



東広島市の都市物件

 広島県のほぼ中央部にあたる東広島市は、周辺の賀茂郡黒瀬町、 河内町、大和町、福富町、豊栄町を含めて標高二〇〇メートル前後の賀茂台地を 形成し、三原市へ流れる沼田川、呉市へ流れる黒瀬川、広島市へ流れる瀬野川、三 篠川などの遡源となっている。
 市街地の発展については、移転当時考えられていた古典的な都市発展とは全く異 なった状況を呈することになった。商店などは旧西条の繁華街を中心に求心的に発 達するのではなく、西条、八本松間の旧国道二号線の沿線、あるいは八本松西の国 道二号線と志和への分岐点近くといった地域の主要道路の沿線に、ドライブインの 各種量販店、食堂、書店、パチンコ店などが広い駐車場を有した店舗を構える。
 周辺の農家は、農作業用の自動車を含めて、一軒あたり二、三台の自動車を保有 しており、買い物にしても遊びにしても、駐車に不便な旧市街には入らずに、駐車 が便利な主要幹線道沿いのドライブインを利用するということになるのである。
 現在の東広島市は、賀茂学園都市の建設、広島中央テクノポリスの中核都市建設 で市内各地に点在する形で整備が進んでいる。このような開発に伴い、国道二号線 西条バイパスの建設、山陽自動車道の建設など、都市間の交通インフラは確かに整 備されてきた。これに伴い、賀茂圏域5町から東広島市への通勤圏の形成、即ち、 東広島市を中心とした東広島都市圏が形成されることになったのである。
 この結果、表で見るように、交通量はどの道路も増加していった。道路の整備も 、ブールバールの開通、二号線バイパスの卯之留とめから八本松までの 開通、三七五号バイパスの一部開通などが進んだが、交通量が緩和したとはいえな い状態である。東西方向の道路は、山陽自動車道も含めて幹線道路が整備されてい るが、南北方向は三七五号線しか機能していず、「広大通り」に迂回する車両が増 えている。
 「広大通り」ばかりでなく、キャンパス周辺道路はその容量を超えている。キャ ンパス内は車が溢れており、周辺道路もこのようであれば、キャンパス内及び周辺 で重大事故が起きても不思議はない状況となっている。


表 東広島市内の国道交通量の推移(平日、12時間交通量)

路線名

観測地点

昭和55年度

58年度

60年度

63年度

平成2年度

6年度

国道2号 東広島市西条町下三永 - - - 12802 13515 13976
国道2号 東広島市西条町御薗宇 - - - 3305 3432 9237
市道(旧国道2号) 東広島市西条町御薗宇 11167 11242 11635 12816 13459 9377
国道486号(旧国道2号) 東広島市西条町寺家 17134 18239 16783 17333 17659 16228
国道486号(旧国道2号) 東広島市八本松町飯田 18670 18920 18626 20266 20417 22771
国道2号 東広島市西条町寺家 - - - - - 14295
国道375号 東広島市西条町森近 5769 6264 6946 8338 9586 12462
国道375号 東広島市西条町御薗宇 8350 10416 11029 12452 14465 13593
国道375号 東広島市西条町御条町 11300 12150 11291 14394 14336 10771
国道375号 東広島市高屋町杵原 4330 5042 5099 6567 7561 8766
東広島市平均 10960 11753 11630 12030 12717 13048
学部の移転状況

工学部

(昭57.3)

生物生産学部

(昭63.3)

教育学部

(平元.9)

理(平3.9)

総科(平5.3)

文(平6.3)

学教(平7.3)

法経(平7.3


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