工学部における国際学生交流活動

文 佐々木 博司(Sasaki, Hiroshi)
工学部第二類回路システム大講座
工学部国際学生交流委員会委員長



 工学部の国際学生交流委員会委員長として、工学部の学生交流の現状を簡単に報告したい。学生交流と称する以上相互交流が前提であるが、この面では工学部はいささか心許ない。外国への留学はきわめて少なく、留学生の受け入れがほとんどというのが現状である。授業が過密で、留学すると卒業が遅れる可能性が大きいこと、語学の得意な学生が少ないことなどが主な原因であろう。
 学生交流としては以下の形態がある。
一.交流協定の締結によるもの
二.国費または私費留学生の受け入れ
三.海外での学会発表のための短期渡航
四.観光旅行のための渡航
 前記委員会が関与するのは最初の三つまでである。まず、工学部が主体となっている協定大学は二十以上あるが、お互い学生の派遣は予算次第とあって、毎年定期的に相互派遣するという目標からはほど遠い。文部省予算の大幅増額に加えて、大学・学部自体の基金創設が絶対必要であるし、もっと重要なことは派遣学生の選定の公正さであろう。
 第二に、現在工学部・工学研究科にいる留学生数は一二八名、出身国は二十一か国に亘っているが、大半は中国、マレーシア、インドネシアを主としたアジア諸国からの留学生である。私費留学生の比率はほぼ五割で、全部の学生が奨学金を得るというわけにはいかない。広島県内の企業や、東広島地区の皆様方には留学生に対するお世話をいろいろして戴いており、大学サイドとして心から感謝したい。また、年末には地区のホストの方々をお招きして留学生との懇親パーティを開いている。
 日本は国際社会の一員としての比重を今後高めねばならず、広島大学として国際的に通用する研究者、技術者を養成したい。特に、博士後期課程の学生は国際学会に積極的に出かけ、論文発表(往々にして用意した原稿の棒読みが多い)だけでなく、質疑応答や討論ができるようにならねばならない。
 基本的には指導教官が会議の登録費や旅費の面倒を見ているようであるが、工学部後援会の援助を得て年間十数名の学生に旅費の一部補助を行っている。これまた拡充したいのは山々であるが、やはり予算がないことにはどうしようもないのが現状である。



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