広島大学の情報発信機能の充実に向けて


第3回広島大学懇談会

 
 十二月三日、第三回広島大学懇話会が事務局で開催された。
 この懇話会は、大学の自主性を基礎としつつ、必要に応じて学外の有識者から意見を求めて大学の運営に生かしていこうという趣旨で設けられたもの。
 今回のメインテーマは「広島大学の情報発信機能の充実に向けて」、副題が「地元企業及び地域住民との連携深化も視野にいれた外部から求められる大学情報」ということで、大学が情報発信機能を充実させるにはどうしたらいいのか、研究教育をこの西条の地から世界に向けて発信するために助言いただいた。
 当日懇話会では今後の検討事項として次のような指摘があった。


一.広報の窓口について

 難しいとは思うが、縦割りではなく広島大学のどこかへ行くと、今年度行われる学会、ホテルのリストなども含む広島大学の学内情報が定期的に発信される仕組みがほしい。また、分室のようなものが広島市内にもあれば、今まで引き続いてきたことを今後もつなげていける。
 フォーラムも、これだけのメンバーの広報委員が全学的に集まり、顔を作っているのだから大変なことだと思うが、情報発信について、一つの窓口的に常時機能するオフィスが大学事務局の中にあればと思う。(松浦委員)


二.地域との接し方について

 全体的な、具体的な地域へのアプローチというものが、なかなか伝わり難い。(松浦委員)
 大学の人材そのもの、学生そのものが、いろいろなことをやっていれば、それが自然に地域とのパイプ役になる。また、大学の先生方も、機会があれば、どんどん地域に出て行って、いろいろお話をしていただきたい。(井野口委員)


三.高等学校・高校生への情報提供について

「広島大学で何が学べるか」の要約で良いから、高等学校に教えていただければ、生徒の進学指導で非常にしっかりしたモチベーションを持たせて、大学にお送りできるので、これらを含めた大学情報をインターネットでもアクセスできるようにならないか。(山崎委員)


四.人づくりの教育体制について

 一方では専門家を作り、片一方では非常にリアルに対応できる人間を作らないといけないのであるが、人間そのものを、教育そのものを変えていくという点について、今後どう展開するかというような戦略を持つことが望ましい。企業としては、最後は人の心を読める者、判断の早い者、度胸のいい者というようなことが、要素に成りますし、人の顔色が読める人間とか、相手に調子を合わせることができる人間など特にジャーナリストとしては、取材上相手の心を解きほぐす上で非常に大事なので、先生方とお話しする時も、まずこういうことをお願いしている。地域の最大の大学で、他に追従を許さないというような、競争がないというところが、いろいろな面に反映しているのかも知れない。(宮本委員)
 法学部の授業のように、先輩が学生たちに昔話とか、社会の話とかを聞かせることも、情報を豊富にする一つの良い方法ではないか。これも、法学部だけでなく他の学部学科でも実行してはどうか。(石井委員)
 教育の成果が国家社会に帰属するという側面が少し軽くなっていないかということと文化創造の力と、道徳的エネルギーの両方を培うのだということを強く思う。広島大学は東広島市へ移転したが、広島市と東広島市の両方を基盤にしたということと同時に、西日本の大学であり、日本の大学であり、世界の大学であるという視野をぜひ持って頂きたい。大学審議会が、これだけ外在的な要請を出した。これを今まで二十何年、広島大学がやってきたその歩みを基礎に、しっかり受け止め、どう内在的エネルギーに転換していくか。広島大学らしく、ぜひやっていただきたい。(井内委員)


五.少子化問題等について

 少子化の問題ですが、今まで、徐々に膨らんで行くのが当然であった世界から、縮こまってくる世界に入ってくる時に、どういうふうにそれを旨く調和させていくのか。教育行政は規制が多いが、規制緩和というのは、よほど時代の波に沿って考えていかないと、社会とのギャップが知らない間に広がるのではないか。(岸田委員)
 音楽とか芸術とかの面で、刺激となるような素晴らしいものを、たまには、大学の規模で与えるというようなことをやって頂ければと思う。(井野口委員)



 懇話会委員出席者(五十音順・敬称略)

 石 井 茂 樹(いしい・しげき)
  広島大学同窓会連合会会長
 井 内 慶次郎(いない・けいじろう)
  財団法人日本視聴覚教育協会会長
 井野口 慧 子(いのくち・けいこ)
  詩人
 岸 田 俊 輔(きしだ・しゅんすけ)
  株式会社広島銀行取締役会長
 松 浦   亮(まつうら・あきら)
  株式会社中国新聞社専務取締役
 宮 本 克 彦(みやもと・かつひこ)
  日本放送協会広島放送局長
 山 崎 建 郎(やまさき・たつろう)
  広島県高等学校長協会代表

 

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