退官にあたって
木坂 基
(きさか もとい) 教育学部日本語教育学講座
〈部局歴〉
昭和35・4 (公立学校)
42・4 (新居浜工業高等専門学校)
51・4 (公立学校)
55・4 (佐賀大学)
62・4 教育学部
この三月で、停年を迎え本学を退くことになりました。教師として三十八年の歳月を勤めたことになり、この間広島大学では、十二年間お世話になりました。種々な学校で、その土地独特の自然、風土、文化があり、多くの人々との出会いがあり、その交流を通じて、私自身の欠けた部分を自己点検しながら、補って生きることができた、という思いを抱いております。
広島大学は、私にとって密度の濃い教育環境であったと思います。大学移転問題にしろ、日本語教育学科の大学院設置の問題にしろ、精一杯やってきたつもりですが、不十分な部分もあったかもしれません。
しかし、大学のめざましい飛躍と発展のなかで充実した毎日を過ごさせていただいたことに感謝しております。
経験はいくら年齢を積んでも、その都度磨かなければ役に立たないということを実感しておりますが、その中で、私が今日まで自分史あるいは個体史の信条的言葉として、心中に温めてきた大切な言葉が三語あります。それは、「勘」と「リズム」と「忍耐」の三語です。
「勘」は、一般的に非理論のひらめき、という意味で使われますが、もっと広く、人の心持をいちはやく正確に読みとることも含みます。「リズム」も、調子や韻律の意味から、波に乗る、生活習慣がバランスよく行われる、などの意味で使います。「忍耐」は、一般的意味とほぼ同じです。この三語が語る行動体系を信条として、今後も努力していきたいと思います。
長い間御指導、御鞭撻をいただいきましたことに厚く御礼申し上げます。終わりに、広島大学の学生、教職員の皆様の御健勝と御発達をお祈り申し上げます。
教え子たちと(筆者中央)
広大フォーラム30期6号
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