退官にあたって

 熊丸 尚宏(くままる たかひろ) 理学部分析化学講座

〈部局歴〉
  昭和34・4 (民間)
    40・7 理学部
    51・10 総合科学部
    61・4 理学部
 
   
 


 昭和四十年、三井化学の研究所から、当時、山本勇麓先生が担当されていた理学部化学科分析化学講座に着任しました。そこでの十一年間は、理学部一号館から新営の二号館への引っ越しに始まり、学園紛争の混乱を経て、理学部棟の東千田での高層化案から一転して統合移転の方向に向かうなど、実に起伏の多い時期でしたが、仕事の方は原子吸光法の研究をひとまとめできたのは幸いでした。
 昭和五十一年、修士課程が整備されようとしていた総合科学部の自然環境研究講座に移り、松尾博先生とご一緒してプラズマ発光分析の研究を始めていたころ、幸運にもハーバード大学でそれに関連した研究を深める機会を与えていただきました。
 昭和六十一年もとの分析化学講座に移り、東広島キャンパスへ移転、そして念願の機器分析センターが竣工して一段落したところで、停年退官を迎えることになりました。
 まがりなりにも大過なくここまで来れましたのは、師と弟子に恵まれ、事務官の方たちに支えられてのことであります。ありがとうございました。これからも与謝蕪村の「百歩尚百歩」の言葉を思い、気力を持ち続け第二の人生を歩みたいと思います。
 終わりに、機器分析センター等のセンターが設立の趣旨にそって充実し、また本学すべての大学院が重点化されて、ますます発展していくことを祈ってやみません。

化学科ソフトボール大会で研究室の諸君と(筆者前列右から2人目)



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