定年を迎えて

 片岡 水枝(かたおか みづえ) 歯学部総務課

〈部局歴〉
  昭和33・4 (民間)
    42・9 医学部附属病院
    43・10 歯学部
 
   
 


 定年まであと五か月を残した小春日和の午後、広島大学に在職した日々を振り返ってみました。今年は例年になく暖かい日が続き、霞キャンパスに唯一現存する赤煉瓦前の木々も、まだ種々の色に染まっています。同じ桜の木だそうですが、なぜか色はそれぞれ異なり、それが一段と目を楽しませてくれます。このフォーラムを手にする頃は、木々も芽吹く準備をしているのでしょうか。
 三十年前は現在噴水のある辺りがグランドで、先生方がソフトボール、サッカーなどに興じておられるのを、歯学部A棟四階口腔外科学教室からよく眺めておりました。
 平成十年四月からはA棟五階事務室で執務し、この眺めも今年が最後かと思うと、些かの感傷はありますが、四月からの時間の自由と開放感への期待で喜びがいっぱいです。
 口腔外科学教室から口腔外科学第一講座へと、三人の教授と多くの先生方の下で二十九年間という長い年月を過ごし、その間には喜び、驚きなど多々ありましたが、すべて時の流れが解決してくれるでしょう。それを心から願っています。
 そして、楽しかった日々のみが私の中で生き続けることでしょう。
 世の流れのはやさに戸惑いつつ、これからどんな日々が始まるのか自分でも想像がつきませんが、まだ踏み込んで日の浅い六十歳代を時間に縛られないで自由を満喫した生活にしたいものです。
 多くの周りの人々のお陰で、長い年月を平穏に何とか勤めさせていただき、今日を迎えることができましたことを心から感謝すると共に、皆様のご健康と広島大学のご発展をお祈りいたします。

白島会館で(筆者右から3人目)



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