武者修行また楽し
井上 正
(いのうえ ただし) 大学院先端物質科学研究科
〈部局歴〉
昭和35・4 (民間)
44・4 (福井大学)
57・4 理学部
平成10・4 大学院先端物質科学研究科
本学理学部物理学科で故辰本英二教授のもとで厳しくて優しい研究指導を受けた卒論時代を振り出しに、九年間の松下電器産業(株)無線研究所時代、十三年間勤めた福井大学時代。その間一年余りの通産省工業技術院電気試験所田無分室での内地留学時代、米国ケース・ウェスターン・リザーブ大、英国ケンブリッジ大、独国ブラウンシュバイク大での在外研究時代等々。いろいろのところで大変素晴らしい人々と出会い、多くのことを学び教えを受けました。
まさに、武者修行また楽し。
本学では、幸いにも有能なスタッフと卒論生・大学院生に恵まれ、国内外の研究者との共同研究も合わせて、地味ながらも広い意味の半導体の基礎的な物性研究を行うことができました。
流行を追うことはやさしい、なぜならすでに人が道をつけているから、しかし流行の芽を生むことは大変難しい、と常々思いつつ十七年が経過。海辺で小さな貝殻を拾う童にすぎず、足らざるところ多々ありますが、大変充実した人生を歩ませていただきました。
現役を離れるに当たり、先輩からいただいた次の言葉をこれからの支えにしたいと思います。それは、平成元年四月二十七日に、九十四年の生涯に幕を閉じられた故松下幸之助氏が生前に書かれたものです。松下電器と松下グループによる氏の合同葬儀が、五月二十五日、枚方市の松下電器体育館で執り行われ、社内外から約二万人、小生もその一人として参列しました。その折りに配布された色紙。肝に銘じたい。
青春
青春とは心の若さである
信念と希望にあふれ勇気に
みちて日に新たな活動を
つづけるかぎり青春は永遠に
その人のものである
松下幸之助
これからますます厳しい状況に置かれようが、本学が一層発展することを祈りつつ。
英国ケンブリッジ大学キャベンディッシュ研究所St Johns College Hall, Dinner Partyの前祝い(Dr. H. P. Hughes宅で)。左から正装したDr. Howard P. Hughes,筆者,Dr. Richard A. Friendほか大学院生,外来研究員
広大フォーラム30期6号
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