教師山脈 

 落 健一(おち けんいち) 附属福山高等学校

〈部局歴〉
  昭和38・4 (公立学校)
    40・4 教育学部附属福山高等学校
    44・4 教育学部附属福山中学校
    46・4 教育学部附属福山高等学校
    53・6 附属福山高等学校
 
   
 


 今、福山附属の三十四年間を振り返ってみると、先輩の諸先生方の御恩を思わないではいられません。
三十六年前、広島大学大学院文学研究科修士課程を修了し、岡山県立児島高等学校に奉職しましたが、渡辺重吉先生という方との出会いから、僻地教育を目指すようになったのが、私の教職歴の出発点だったように思います。二年後に、ある僻地指定校に転勤希望を出しましたが、なかなか適えていただけず、悶々としていた頃に、故清水文雄先生のご推薦で、福山附属の当時の校長細田鼎先生が、わざわざ児島においでになり、ご招聘をいただきました。その時の「現代は、すべての学校が社会の辺境にある僻地校です」というおことばは、生涯忘れることができません。
 福山附属へ赴任して驚いたのは、当時の福山附属には、広島県はおろか、日本を代表するような先生方が、綺羅、星のごとくにいらっしゃったということです。
 珠山哲弥先生、川崎才太郎先生は、学校の教育理念を高らかに掲げて全体を先導され、檀上信雄先生、服部誠治先生は、生徒指導において情熱を傾注していらっしゃいました。他にも多士済々として、若き教師たちは、峻厳な一大教師山脈を仰ぎ見る思いでした。福山附属は、広島大学本部からは最も遠くに位置している一附属校ではありましたが、先生方は広島大学を愛し、その附属校であることに誇りを持っていらっしゃいました。
 今、福山附属の後輩の教師たちは、気鋭の校長西村清巳先生、副校長長澤武さんを中心に、先輩の諸先生方の遺された伝統を受け継いで進もうとしています。新しい教師山脈が二十一世紀に向かって続きます。


創立40周年記念の校歌碑の前で



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