2000字の世界(36)

うまくいくときはうまくいく

文・ 戸 田 勝 仁(Toda, Katsuhito)
法学部法学科夜間主コース2年

 

サークル活動:うまくいく

 昨年から、司法試験や公務員試験を目指している十一生有志数名でサークル活動として勉強会を行ってきました。東千田キャンパスでは、講義が終わるのは夜九時。講義後は施設の都合で一時間ほどしかできませんが(近くのファミリーレストランに場所を移して、深夜まで続けたことがしばしばありました)、「今年は、せっかくだから新入生も勧誘しよう」ということになりました。他のサークルも活発に勧誘活動を行っている時期に、モタモタしてはいられなかったのですが、やっぱり、楽観的な性格です(根拠なく自信がある、というのとは違うと思っています)。きっと何人かは参加してくれるものだと思っていました。大急ぎでビラを作って、翌日、講義室の前で配ってみたら、予想以上に大勢の皆さんが関心を持って、説明会に集まってくれました。
 まだ法律を勉強したことのない新入生の皆さんには、少し難しかったかも知れないとは思っていますが、現在も数人の新入生の方が、毎日参加してくれています。おかげで自分自身、昨年以上にすごくいい勉強になっています。「話す」ということは、頭の整理が必要なんだということ、簡単に解りやすく説明するには、きちんとした知識が必要なんだということを改めて思い知らされました。二年目の学生生活もなかなか好調です。
 うまくいくときは、うまくいくものです。


検定試験用の写真:うまくいかない

 しかし、ダメなときはやっぱりダメです。先日、ある検定試験を申し込もうと、講義が始まる前に大学生協に寄りました。やっとバイト代が入って受験料を用意することができたのですが、その日は申込みの締切日。ぎりぎりになってしまいました。「すみません、この検定試験に申し込みたいんですけど。」「はいはい、じゃ、この願書に記入して、ここに写真を貼って・・・」「えっ、写真?!」写真がいるんだ・・・。
 その日は、携帯電話を買うという同級生を、近くの商店街のショップまで案内する、という約束をしていたので、まずそこへ行き、そのあと写真を撮って戻ろうと考えました。ショップへ行ってみると、なんと売り切れ。同級生は残念がっています。その商店街にも写真屋さんがありましたが、結構高いんじゃないかと思ったのと、別の携帯電話ショップに案内するついでに、少し遠かったのですがインスタント証明写真があるところまで行くことにしました。このあたりで、正直少しイヤな予感はしていました。
 なんとか今度のショップには、お目当ての携帯電話があって、ホッとしましたが、何やら登録手続にモタモタ・・・。講義もすでに始まってしまいました。(遅刻だ・・・)
 ようやくインスタント証明写真が置いてあるスーパーの二階に来てみると、店員さんが何やらゴソゴソやっています。「すみません、故障です。あと三十分くらい使えないんですけど・・・」「えっ! 他に証明写真撮れるところはないですか」「この店の向かいに白黒のヤツならあります」ちゃんとありました。故障もしていないようです。じゃ急いで撮ろうと千円札を入れようとしたら、・・・ないんです。硬貨しか使えないのです。いつもはジャラジャラしているポケットには、その日に限って百円玉どころか小銭が一枚もありませんでした。
 「こんなにうまくいかないということは、何かがあるにちがいない。逆らってもロクなことにはならない。うまくいかないときは、うまくいかないように守られているんだ。」こんなとき、いつも都合よくそう考えるのですが、少し思い直してみました。
 あらかじめ願書だけでももらっておけば写真が必要なことぐらいわかったのに。少しくらい高くついても近くの写真屋さんで撮ってもらえばよかったのに。最初からあまり受けるつもりもなかったじゃないか。無理をして受けることもないんじゃないか。準備を万全にして、また次の機会に挑戦すればいいじゃないか。
 その場であっさり願書の提出を断念しました。

楽観主義でいこう!

 うまくいかないときには、そのたびに冷静になって考え直すチャンスが与えられていると思うのです。「うまくいかないように守られている」というのは、うまくいかないことが、それが自分自身のためになる、それは、反省することができる機会が与えられるから。こんなふうに理解することにしました。
 「うまくいかないんじゃないか」と不安になっても、それは頭の中にあるだけでいまだ現実ではない。とりあえず行動してみよう。うまくいかなかったり、何をやってもダメだったりしたら、そのときは、冷静になって考えてみよう。原因を見つけ出せたら、最善の方法でまたやり直したらいい。
 うまくいくときはうまくいく、ダメなときはダメなんだと、これからもやっぱり、持ち前の楽観主義でやっていこう、そう思いました。


勉強会(筆者中央)
 


プロフィール        
外資系ホテルに約十年勤務した後、社会人入試で、昨年(一九九九年)法学部法学科夜間主コースに入学。現在、司法試験目指して勉学中。一九六五年生まれ、三十五歳、独身。






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