ストップ!ザ交通事故(1)

 西条警察署からみた広大生の交通問題 

取材・文 ・ 内 野 悌 司
( Uchino, Teiji ) 広報委員


 広大生が関わった交通事故は、深刻な人身事故や広大生同士の事故が相次いで発生するなど、現在もなお厳しい状況にある。この問題に関し、広大フォーラムでは、これまでにも何度か特集として取り上げ、様々な方面や角度からの提言を行ってきた。交通事故非常事態宣言が出されている今、広報委員会では、交通事故撲滅のための緊急特集として、本号より毎号、交通事故に関わる状況、各種の情報、意見・提言を取り上げていく予定である。
 本号では、西条警察署交通課長にインタビューを行い、最近の広大生の交通問題についてお話を伺った。



交通事故非常事態宣言が出される背景

 今年一月二十五日に交通事故非常事態宣言が出された。その背景には、平成十一年中に広大生がかかわった事故が合計一二五件あった。この四月から五月末までにも十三件の事故が発生している。最近の事故には、未だに意識が回復しない重大事故が含まれている。
 そして広大生同士の事故は昨年が二十六件、今年に入って六件起こっている。このように死亡には至っていないものの、重大事故や広大生同士の事故が相次いでいる。


信号機の設置

 五月に入って広大中央口西側でも、右折時の自動車が原付バイクを、巻き込む事故があった。このような事故が続くために、六月一日より広大中央口西側に信号機が設置された。


事故が起こりやすい状況とは

 西条警察署交通課長千日一也さんにお話を伺った。そこで大学生の交通事故発生状況を示す資料をいただいた。時間別発生状況が図1、形態別発生状況が表1に示してある。学生の皆さんもそれらを踏まえて、交通事故に気をつけてほしい。特に交差点では左右の確認をしっかりし、車に乗っている時は車間距離を十分とるように心がけてほしい。
表1. 形態別発生状況
区分 人対車

車 両 相 互

 
横断中 正面衝突 追突 出合頭 右折・直進 左折巻き込み その他
第1当事者 2 1 9 3 1 1 7 24
第2当事者 1 1 4 6 2 5 3 22
合計 3 2 13 9 3 6 10 46


西条警察署からみた広大生

 千日さんに広大生の印象をお伺いしたところ、二つの側面の印象が語られた。まずは無謀運転をする学生像で、これは事故の多さが示すように、言うまでもないことである。その一方で、さすがに広大生は捨てたもんじゃないという印象である。
 それは二年前の春の交通安全運動期間中のことである。広大キャンパス内で地元住民のボランティアが、交通安全を呼びかけるチラシを配られていた。その時に自転車に乗った学生が、チラシを受取らないように肘で拒否することが何度かあった。そして遂に自転車に乗った学生がボランティアの方にぶつかって、持っていたチラシを全部落とされる事件が起こった。そこで広大キャンパス内での交通安全運動はやめようという話が持ち上がったそうだ。
 その後、千日さんが広大で講演された折りに、その事件について話されたところ、その年の夏には学生自らがボランティアとなって、交通安全運動に加わるようになった。それ以来、毎回五十名の学生がボランティアに参加しているそうだ。そして広大生の交通事故件数も減ってきたとのことである。
 そうしたエピソードを交えながら、千日さんは広大生に対して、これから社会で活躍していく若者なのだから、交通事故で一生を棒に振るようなことはなくしてほしいと暖かい眼差しで語ってくださった。


交通ホットラインの設置

 西条警察署では、大学生の交通等にかかわるホットラインが設けられ、常時電話相談を受け付けている。 交通事故等で困ったときには、二二-〇一一〇(ニィニィゼロ百十番:西条警察署)の交通課へ相談してほしい。

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