工学部建物内禁煙の実施について 

文写真・ 山 口 登志子
( Yamaguchi, Toshiko )
工学部助教授


一.経緯

 平成十二年一月より、工学部建物内(共通スペース)での禁煙が実施された。平成十一年五月に工学部長から学生生活委員会に対し、工学部内での禁煙について検討するよう諮問があったため、直ちに工学部建物内禁煙問題WGを作り、検討を始めた(筆者はそのWGの座長であったので、本稿を書くことになった)。
 結局、次のような原案をまとめて工学部長に提出し、十月の教授会で承認されたため、禁煙が実施されることになった。WGの基本的な考え方が、この答申にまとめられているので、全文をここに掲載する。


二.答申「工学部建物内禁煙について」

 受動喫煙に関する認識が社会的にも高まっており、文部省からも「職場における喫煙対策について」という通知が来ています(平成九年五月)。工学部内においても、歩行喫煙や、たばこの吸殻の投げ捨てなど、喫煙者のマナーの悪さが目立つことや、非喫煙者への受動喫煙の影響を排除する目的のために、建物内禁煙を実行する必要があると考えられます。そのため、工学部建物内の禁煙について以下のような原案を学生生活委員会から答申します。

1.建物内の共通スペース(廊下、階段、トイレ、講義室など)では原則として禁煙とする。
2.喫煙場所は、講義棟側デッキとする。
3.各類で建物内に喫煙場所を設置する場合には、 少なくとも換気扇あるいは空気清浄をつけることのできる場所とする。できれば仕切りを付け、部屋とすることが望ましい。また、その際には喫煙場所の清掃は各類で責任を持って行う。
 今回の答申においては、共通スペース以外の場所(各研究室、実験室など)についてはとくに規定せず、各研究室内の禁煙・喫煙については部屋の管理者に委ねるが、居室人の健康に配慮することは当然として、施設・設備は国有財産であるので、それらを良好な環境に保つことは管理者としての責務であると考える。したがって、例えば、煙が悪影響を及ぼすようなコンピュータ、その他精密機器などが設置された部屋は、禁煙とすべきである。また、研究室、教官室内で喫煙する場合には、煙が廊下などの共通スペースに流出しないように配慮すべきである。
 なお、各棟東側の非常階段は一応、戸外ではあるが、廊下に直結しているため、ここを喫煙場所として指定する場合には、必ずドアを閉めて喫煙することを厳守することとする。


三.禁煙の実施と今後の課題

 この原案が教授会で承認された後、工学部の各研究棟に合計十か所の喫煙室(写真参照)を整備し、講義棟側デッキや非常階段部に喫煙場所を指定して、各所に建物内禁煙や歩行禁煙のサインを貼り、翌平成十二年一月から禁煙が実施された。
 現在、禁煙実施から約六カ月経過し、確かに以前より状況は良くなったが、いまだに階段や廊下にタバコの吸いがらが落ちていたり、禁煙のルールを守らない学生や教官がいるのを見かける。全員に禁煙のルールを徹底させることと、答申にもあるように、研究室内の禁煙に対してどのように対処していくか(特に喫煙者と非喫煙者が同居している場合)が今後の課題である。

喫煙コーナー(研究棟内)の使用状況

研究棟玄関付近の喫煙コーナー
 


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