フォトエッセイ(52) キャンパスの植物


文写真 北川 隆司・地下まゆみ
(Kitagawa Ryuji : Jige Mayumi)
大学院理学研究科地球惑星システム学専攻
           


 ルビーとサファイア 
Rubby and Supphire
 

ルビー(タンザニア)

ルビー(中国)

ルビー(マダガスカル)

サファイア(ウラル)

サファイア(勝光山)

サファイア(スリランカ)
  
 
 皆さん、宝石と鉱物の違いをご存じでしょうか。宝石(Gem)とは、鉱物(Mineral)のなかで、特に美しい色や硬さ、希少価値をもった鉱物をカットし、研磨後、鑑賞やアクセサリーとして利用されるものです。ですから研磨やカットをする前には単に鉱物なのです。それを原石と呼びます。ジュエリーとは貴金属で製作された装身具を指し、宝石を装飾用にしたものはジュエルと言います。宝石にされる鉱物には数十種類ありますが、一般に宝石店で見られるのはそのうち二十種類くらいでしょうか。例えば皆さんが直ぐに頭に浮かべる宝石としては、ダイヤモンド、エメラルド、アクアマリン、ルビー、サファイア、オパール、ガーネット、ペリドット、アレキサンドライトといったとこでしょうか。このシリーズの最初は皆さんになじみ深く、ダイヤモンドに次ぐ硬さを持っているルビーとサファイアの話をしましょう。
 宝石名としてのルビーやサファイアは前者が赤、後者は赤以外(ただし青色が一般的)であることは皆さんもご存じだと思います。でも両者は同じ鉱物(原石)であることをご存じでしょうか。いずれも鋼玉(コランダム)という同じ鉱物なのです。化学的に言えば酸化アルミニウム(Al2O3)です。なぜ色(艶)が違うのでしょうか。ん〜、色(艶)の話は古今東西不可思議で、難解ですね!。それは微量な元素がアルミニウムに置き換わっているからです。ルビーはクロムで、その量によりピンクから真っ赤な色に変わります。一方青いサファイアは鉄とチタンです。鉱物としてのコランダムは純粋に酸化アルミニウムだと無色透明ですが、一般にはさまざまな不純物を含んでおり、さまざまな色を示し不透明で、ほとんど宝石にはなりません。
 産地としてはインド、スリランカ、タイ、ベトナムといったアジア地域の変成岩分布地域が有名です。しかし、残念ながら我が日本では宝石になるようなコランダムは産しませんが、身近なところでは広島県の庄原にあります。ロウ石鉱床(粘土鉱床)には青色不透明なコランダムが沢山産出します。ロウ石鉱床を研究している我々にとっては、宝石にはなりませんがなじみの深い鉱物です。それではルビーとサファイアの原石である我々のコレクションのコランダムを写真にて鑑賞下さい。



   

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