ニューズ・ダイジェスト 

 


「評議会だより」を読む



学長、新年の抱負を語る

 皆さん、いよいよ二十一世紀の幕開けとなりました。
 この六日から省庁再編で、文部省も文部科学省となり、国立大学も早ければ平成十五年から、独立行政法人化と設置形態すら変わってきます。このように、文部百年の歴史も新たな今世紀の歴史に変わり、皆様方も将来に向けて歩まねばなりません。
 幸い本学では、ハード面の整備はほとんど完了しました。今回の来年度政府予算案、昨年の補正予算でも、皆様方のご努力により立派な成果を上げていただきました。
 早速ですが、この九日には「大学情報サービス室」の看板掛けをいたします。ここには、外部への情報提供並びにシンクタンク機能を持たせ、学長室直属にしました。
 広島大学はどの大学よりも大学改革が進んでいると、かつて我が大学におられた多くの事務官の方が、年賀状に書いてこられました。これも、皆様方の今日までのたゆまぬ思いで、本学の改革の新しい道への方策を立てていただいた結果と思っております。
 特に今回の政府予算案においても、総合研究大学への道として大学院の部局化、純増を含む人的措置、医学部附属病院病棟建設等々、広島大学はいかに発展しているか、よく分かるわけでございます。
 私の在任七年半の間に三十二の建物が完成しつつあり、更に今後二つのものが建つということは、私にとって、本当に広島大学が動き、移転を完了したということです。これも皆様方のご努力によって、完成したと思っております。
 次です。この二十一世紀に大学がどうすれば生き残れるか。国立大学の中でも広島大学は絶対に残らねばなりません。そのために一番大切なものは、ハードは整ったので、今度は魂を入れることです。すなわち、皆様方の意識の改革であり、いかにしてこの大学を世界に発信し、また世間に信用のある大学にするか、ということが皆様方にかけられた命題であります。
 私もこの五月二十日をもって退官させていただきます。この在任中に皆様方からいろいろ教えていただき、私も多くの仕事をさせていただきました。無理も申しましたが、皆様方にはよく支援いただき、おかげで、日本で最も整備された大学になったと、多くの方に言っていただいております。
 三月にはFD(教員研修)をやります。今回で四回目になりますが、私は、いかにして広島大学を「教育・研究」、今までの「研究・教育」ではなく、教育=よい学生を輩出する大学にするという決心をしておりますので、どうかこれを皆様方も継いでいただきたい。立派な学生を社会に送り出していただければ、三十年後には広島大学は名実とも立派な大学ということになると思います。教育こそ大学の命運をかけるもので、研究はあたりまえのことです。どうか立派な学生を世に送り出し、広島大学は、単に広島だけではなく、日本国に役に立つ、世界に発信する大学としていただくようにお願いをいたしまして年頭のごあいさつといたします。どうぞ本年もよろしくお願いいたします。
 


平成十三年度新規概算要求の主要事項

 原田学長は十二月二十七日、来年度政府予算案に盛り込まれた本学の新規概算要求の主要事項について記者発表を行った。
 主なものの抜粋は次のとおり。
○医学部附属病院の病棟整備
 災害・救急医療用の病棟屋上ヘリポートの設置(平成十四年八月完成予定の新病棟の屋上に設置。地上五十五メートル。二十平方メートル。)
○情報メディア教育研究センターの新設
 情報メディア環境を発展強化し、また、教養的教育及び専門的教育並びに各研究分野における情報メディア利活用による教育研究支援、マルチメディア技術を利用した新しい教育法の開発研究や各種教育に関わる教材開発等を行うため、総合情報処理センター等を発展的に転換し、設置する
○高等教育研究開発センターの整備
 (AO入試実施体制の整備)
 平成十四年度導入の「アドミッション・オフィス入学試験(AO入試)」体制を充実するため、同センターに「アドミッション研究部」を設置


大学院理学研究科長に久保教授

 大学院理学研究科は一月十五日、任期満了に伴う研究科長選挙を行い、松浦博厚研究科長の後任に久保泉教授を選出した。
 任期は四月一日から二年間。



文学部長に頼教授

 文学部は一月二十二日、任期満了に伴う学部長選挙を行い、田中逸郎学部長の後任に頼祺一教授を選出した。
 任期は四月一日から二年間。


生物生産学部長に山本教授

 生物生産学部は一月二十二日、任期満了に伴う学部長選挙を行い、宮澤啓輔学部長の後任に山本義雄教授を選出した。
 任期は四月一日から二年間。


「大学情報サービス室」を開設

 広島大学では、地域に開かれた大学を目指し、教育、研究に次ぐ重要な機能として、社会貢献をかかげ、事務局内に大学情報サービス室を開設し、去る一月九日、原田学長、牟田大学情報サービス室長、生和副学長、廣瀬事務局長外関係者が出席して、看板の上掲式を行った。
 この大学情報サービス室は、総合大学として広島大学の持つ多分野にわたる知的資源を活用し、大学と地域社会が相互に交流・連携することにより、大学及び地域社会の発展に寄与することを目的として開設されたもので、地域社会からの疑問や相談に応えるシンクタンク部門、地域との連携のあり方を考える調査研究部門、研究成果などの情報発信を行う学術情報広報部門の三部門からなり、牟田副学長を室長として五名の専任教官が業務にあたる。
 大学内の様々な活動状況を地域社会に発信するとともに、学術総合相談窓口として面談や電話、ファックス、Eメールなどで随時相談を受け付けることとしている。

左から廣瀬事務局長,馬場大学情報サービス室主任,原田学長,牟田大学情報サービス室長,生和副学長
 



河村文部科学省副大臣、東広島キャンパスを視察

 河村文部科学省副大臣は、一月二十三日、合田大学課長・池田秘書官・川崎秘書官とともに、統合移転を完了した東広島キャンパスを視察した。
 この日、学長室で原田学長から、統合移転による大学の発展や大学の概要等の説明を受けた後、事務局棟屋上から単一キャンパスでは国立大学一の広さ(二四八ヘクタール)を誇る同キャンパスを展望。続いて、中央図書館、西図書館マルチメディアフロア、ピア・サポート・ルーム、放射光科学研究センターを位藤附属図書館長及び関係センター長らの案内で視察した。
 特に、教育用パソコンが六四○台設置された西図書館マルチメディアフロアでは、学生の利用状況など熱心に質問され、予定の時間をオーバーする一幕もあった。

西図書館マルチメディアフロアを視察する河村副大臣(左から2人目)
 


研究者交流施設(仮称)の名称 学士会館(Faculty Club)に決定

 中央図書館西側に現在建築中の研究者交流施設(仮称)の名称が、十二月十九日開催の部局長会議で「学士会館(Faculty Club)」に決まった。


広島大学法学部・広島弁護士会共催シンポジウム「広島における法科大学院構想」

 十二月九日、広島ガーデンパレスで、広島大学法学部と広島弁護士会の共催で、「広島における法科大学院構想」と題するシンポジウムが開催された。法科大学院(ロースクール)構想で全国でも最も協力関係が進んでいる両者であるが、大学と弁護士会が共催というのは、全国初の試みであり、県内外から予想をはるかに上回る一五〇名ほどの参加者を得た。司法制度改革の目玉となるテーマだけに、日弁連の川端和治副会長の「法科大学院における弁護士会の役割」と題する基調講演をはじめ、広島大学の法科大学院構想や広島弁護士会の取り組みの報告、さらには法科大学院における教育内容についてのパネル・ディスカッション、いずれにも熱い視線と議論が注がれ、広島県知事や広島市長も参加されたレセプションも含め、大盛況であった。設置に向けて、大いに弾みがついた感がある。

熱い議論が展開されたパネルディスカッション
 


広島大学外国人留学生懇親会を開催

 外国人留学生懇親会が十一月二十八日、東広島キャンパスの西体育館アリーナを会場に、留学生と地域の留学生支援者、大学関係者が懇談する会として、約九百名が参加し盛大に開催された。
 十一月二十六日に東京の中野サンプラザで開催された「国際民族舞踊フェスティバル」に参加したトルコ、ロシアなど十三カ国の二十名が酒だるの太鼓、三味線、唄、踊りによる酒都西条(東広島市)の酒造り唄を披露した。
 また原田学長による「音戸の舟唄」の熱唱に留学生の交流も盛り上がり、広い会場一杯に懇談の輪が広がった。

留学生グループにより初めて演じられた「酒造り唄」

熱唱する原田学長
 


 


外国人留学生等が消防訓練を実施

 春と秋に実施が恒例になっている新規入居者を中心にした国際交流会館入居中の外国人留学生・外国人研究者及び家族の消火意識の高揚と初期消火の修得を図ることを目的とした消防訓練を、十一月十八日、賀茂広域消防署の協力のもとに実施した。
 当日は、先ず入居者の館外避難訓練の後、逃げ遅れたと想定した留学生四名を七階バルコニーから梯子車で救出する訓練が行われた。
 続いて、消火器の構造及び操作方法の説明があり、消火器を使っての消火訓練を留学生五名が行った後、避難梯子を使っての避難方法、屋内消火栓の使用方法の指導があり、最後に、消防署員より火災時における初期消火の方法、避難方法等の諸注意を聞いた。  外国人留学生及び家族三十五名、留学生センター及び留学生課職員三名の参加者が集まり、殆どの者は消火訓練は未経験であったが、参加者全員が真剣に防火に対する意識と火災時における行動をしっかりと身につけて終了した。

梯子車での救出訓練
 



東病棟一階恒例いも掘り・ミカン狩り大会

 十二月二日、医学部附属病院病の東病棟前で東病棟一階に入院中の患者さんと研修医、看護婦総勢約十三名で、病棟前の農園で恒例のいも堀り・ミカン狩り大会が行われた。
 五月中旬に植え付け、大きく育ったサツマイモは、段ボール一箱にはみ出るほどの収穫だった。
 退院前の生き生きとした表情のIさん、やわらかい物腰のKさん。そしてミカンを口にほおばって「あまっい。おいしいよ」と声をあげたSさん。スタッフも患者さんと一緒に周囲も気にせず声をあげ、いも掘りとミカン狩りを楽しんだ。
 収穫した小さないもはすぐにレンジで焼きいもにし、ミカンと一緒に患者さん一人ひとりに配られた。「ほうっ」と目を輝かせおいしそうに口に運ばれていた。
 


医学部附属病院、歯学部附属病院第一回合同教職員研修会を開催

 十二月十四日、医学部附属病院と歯学部附属病院は、(1)それぞれの医療の進歩をお互いに認知すること、(2)患者中心の医療の連携をさらに推進し、医療成績をより向上させること、(3)共同での先進医療の開発の糸口を探求することなどを目的として、「医病と歯病のリエゾン」をテーマに初めての両病院職員の合同研修を行い、両院から二百名を超える参加者があった。


医療事故防止のための他機関による相互チェック

 歯学部附属病院は十二月十一日、鹿児島大学歯学部附属病院と長崎大学歯学部附属病院の相互チェック委員による、医療事故防止のための相互チェックを実施した。
 チェック委員から安全管理体制等について疑問点や問題点の質疑応答の後、現場チェックが行われた。
 チェック終了後の講評では、病院長、副病院長、看護部長、薬剤部長、事務部長をはじめ、各部門のリスクマネージャー等多数が出席し、熱心にメモを取るなど真摯な態度で聴き入っていた。他機関による医療事故防止の相互チェックは初めてであったが大変有意義なものとなった。



附属小学校の武内教頭、教育者表彰

 十一月三十日、附属小学校の武内恒夫教頭が平成十二年度教育者表彰で文部大臣表彰された。
 これは、国立、公立及び私立の学校(大学及び高等専門学校を除く)の校長、園長及び教員であって、学校教育に関し顕著な功績のあった者の功労をたたえ表彰されるもの。


工学研究科小谷さん、学会「ポスター賞」受賞

 工学研究科博士課程前期二年小谷美枝さんが二○○○年環太平洋国際化学会「ポスター賞」を受賞した。
 これは、平成十二年十二月十四日から十九日にかけて米国ハワイ州ホノルルで開かれた同学会での発表が「有機伝導体の開発に関する傑出したものである」と評価されたもの。


附属三原小学校、書道展学校賞部門「優勝賞」受賞

 第五十三回広島県児童生徒書道展において、広島大学附属三原小学校が学校賞部門では「優勝賞」、また、特別賞では広島エフエム放送賞に越智晋平君(五年)、奨励賞に山本侑希さん(六年)、前田紗希さん(五年)、さらに会長賞に八十八名、優秀賞に四名、協会賞に二十一名もの児童が受賞した。これは、日頃より書道教育に力を入れていることが評価されたもの。

授賞式にて 左から武内教諭,前田さん,越智くん
 
師走恒例の「フェニックス駅伝」開催

 今年で三十八回目を迎える「フェニックス駅伝」が、十二月三日(日)、東広島キャンパスとその周辺のコースで開かれた。
 一般の部(八区間、四十一・八キロ)に八十一チーム・六四八名、女子の部(四区間、十二・一キロ)に十九チーム・七十六名が参加して健脚を競った。一般の部はトライアスロンガルズAが、二時間二十六分五十七秒、女子の部は体育会水泳部女子Aが、五十二分五十六秒の好タイムでそれぞれ優勝した。
 二位、三位の成績は次のとおり。
【一般の部】
 二位=広島市スーパースターズ
 三位=ウイズRC
【女子の部】
 二位=RUN2がーるず1号
 三位=俊足友の会

威勢よくスタート!
 



学会賞などの受賞(平成12年1月〜12月)








広大フォーラム32期5号 目次に戻る