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平成13年6月1日,牟田新学長の体制のもと副学長に就任された山教授(大学院先端物質科学研究科)と前川教授(経済学部)に,副学長就任に臨んでの抱負等を語っていただきました。
智に働き過ぎず情に流されず
牟田学長から副学長(研究、大学院、国際交流、IT担当)に就任要請の話があった時、牟田先生が常日頃おっしゃっている「五十歳までは研究・教育に打ち込んでください。そのかわり、五十歳を過ぎたら大学のために働いて、研究・教育に打ち込める環境を与えてくれた大学に御恩返しをしてください」との言葉が頭を過りました。三十八歳で本学に着任以来、五十五歳頃までは、本当に自由に研究(半導体量子井戸構造を舞台とした光物性と量子光学の分野)に打ち込ませていただけたことを思い出して、就任を決意しました。もっとも、本当の意味での御恩返しと言えるような仕事ができるという自信は今以ってないのですが、私なりに前川先生と協力して精一杯努力するつもりです。
折しも国立大学の独立行政法人化に関して文部科学大臣による「遠山プラン」(注)なるものが発表され、独立行政法人化は当初予想の平成十六年より早まる可能性すら噂されています。今後、全国の国立大学は全く未経験の問題に対し、さまざまな切り口で早急な対応をせまられることになると予想されます。こうした難問解決に向かって、牟田学長の意のあるところを汲んで、できるだけ定量的な分析結果をもとにした論理構築の手助けができればと思っております。ことに、研究をはじめ、さまざまな局面で、本学の生き残りをかけた戦略的な取り組みの一助となるような活動をするつもりです。その際、夏目漱石の「草枕」の名文の一部を拝借して「智に働き過ぎず、さりとて情に流されず」をモットーに、勇気を持って事に当たりたいと思います。 この先二年間、「二十一世紀の広島大学像マスター・プラン」にあるような総合研究大学として本学が世界に冠たる大学となるための基礎固めに微力を尽くしたいと思います。教職員・学生の皆様のご協力の程、どうぞよろしくお願い申し上げます。
開かれた一つの大学
この度、副学長(教育、学生、五〇周年記念事業、同窓会 担当)を拝命しました。私は、本学の出身者で文科系の学部に所属し、経済学部という地域社会との繋がりが比較的強い立場にいます。牟田学長も山先生も理系ご出身ですので、右に述べた私の文系的な立場を活かしつつ、山先生と協力しながら牟田学長を補佐していきたいと考えています。
また、就任と同時に教養的教育委員会委員長、アドミッション・センター長に就くことになりました。私はこれまで教育・学生関連の全学委員の経験は少ないのですが、学部長や評議員の経験を生かし、経験豊富な委員の諸先生方のご意見を参考にしつつ、精一杯取り組んで参りたいと思います。 幸い本学においては諸改革も他大学に比し、進んではおりますが、特に教養的教育については、委員長としてこれまで以上に力を注いで参りたいと考えております。 一方、就任して間もなく「国大協の法人化案」、「遠山プラン」(注)、「骨太の経済改革」などが次々と明らかとなり、文部科学省が設置した「国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議」における中間報告のとりまとめの方向も大筋が示され、大学の法人化の流れは急加速し、待ったなしの状況といえます。 一昨年わが大学は、新制大学として創立五〇周年を迎え、さらに来年は、本学の最も古い前身校である広島高等師範学校が一九〇二年に設立されて以来百周年に当たります。 これら節目を契機に、東広島へ統合移転をしたメリットを生かし、今こそ一つの大学としてのアイデンティティを確立する時期であると思います。 そして、現役の学生や教職員だけの大学ではなく、卒業生及び地域住民まで含めた、真に開かれた「自由で平和な一つの大学」つくりが大切だと考えています。 このため、微力を尽くしたいと思いますので、ご協力をお願いいたします。 (注)「大学(国立大学)の構造改革の方針」で述べられている国立大学の改革構想を「遠山プラン」と呼んでいます。 詳しくは http://www.bur.hiroshima-u.ac.jp/~koho/ontohym.html をご参照ください。 広大フォーラム33期2号 目次に戻る |