ネットワーク社会の用語集(5)最終回
サーバー

文・角川 裕次
(Kakugawa, Hirotsugu)
情報通信・メディア委員会



ふだん私たちが使っているパソコンは,ウェブページを見たり電子メイルを送ったりしているだけで,インターネットを単に利用しているだけに過ぎません。これらの機能は,実はサーバーと呼ばれるものがあって初めて可能となるのです。

 世界の各地で日々新しいウェブページが作られています。しかしウェブページそのものは、単なる文書ファイルの一種であり、データでしかありません。あるウェブページを見るには、ウェブブラウザ(Netscape や Internet Explorer など)を起動して URL を入力しますね。そしてしばらく待つとウェブページが画面に表示されます。
この仕組みは、以下の通りです。まず、ウェブページを管理しているコンピュータ(Sとします)がインターネットに接続されています。自分のパソコン(Cとします)で動作しているウェブブラウザは、インターネットを通じてSにウェブページのデータを要求します。Sは要求に応じてデータをCに送ります。最後にCは、受け取ったウェブページのデータを画面に表示します。
 「サーバー」(server)とは、ネットワーク上で何らかの機能を提供するプログラムのことをいいます。一方、サーバーの機能を利用するプログラムはクライアント(client)と総称されます。
 つまり、ウェブサーバーとは、ウェブブラウザからの要求に応じてウェブページを送る機能をもったソフトウエアのことになります。サーバーには他に、メイルサーバー(電子メイルの受信と配信)、ftp サーバー(ファイル転送)、ファイルサーバー(コンピューター間でのファイル共有)などのほか、仮名漢字変換サーバーといったものもあります。
 ネットワークシステムの構築においては、機能を提供するプログラムと、その機能を利用するプログラムの二つに分けて構成する手法がよく採られます。このような構成形態は、サーバー・クライアント・モデル(server client model)と呼ばれています。機能を提供する側と利用する側の二つを分離することで、ソフトウエアの構造がより単純になるという利点があります。
 連載にあたっては、黒川美沙さん(情報メディア教育研究センター)に出来の悪い草稿を見てもらい、改善の意見をいろいろといただきました。 ここに感謝します。



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