地域により根ざした中核病院を目指して

医学部付属病院


文・生田 義和
(Ikuta,Yoshikazu)
医学部附属病院長

 医療におけるサービスは、一般的な疾患や怪我に対して各診療科が行っております診察や治療のほかに、内科や産婦人科、あるいは整形外科などでの糖尿病や骨粗鬆症などに関する医療相談、あるいは今年四月に新設された医療福祉相談室での医療、社会福祉に関する相談や家庭から近い医療機関の紹介などを一般の方々を対象に行っています。
 一方、一般の方々による院内でのボランティア活動は、活動していただく機会をつくるという形での地域サービスであり、現在二十数名の方が登録され、院内図書館での本の貸し出し業務、病院玄関での案内や手続きの補助、あるいは子どもの入院患者さんに対する絵本や童話の読み聞かせなどの活発な活動を行っていただいています。 
 また、地域の医療機関に対しては、重症救急患者の受け入れと高度な技術が必要な疾患に対する先進的な治療を通して、あるいは病院で得られた医療情報を地域の医療機関に提供することを通して地域サービス活動を行っています。
 教育では、本学に所属する学生は当然ですが、そのほかに地域の医療関係大学等の理学療法、作業療法、看護業務、薬剤業務などの実習病院として、多大のサービスを担っています。
 また、各診療科の多くの方々が、広島県医師会、行政、大学等の連携により組織されている広島県地域保健対策協議会に委員として参画され、活躍されていることも特筆すべき事項です。
歯学部付属病院

文・赤川 安正
(Akagawa,Yasumasa)
歯学部附属病院長

 歯学部附属病院では、地域歯科医師会からの強い要望に応え、中核病院としての機能をより明確化して地域の歯科保健活動の後方支援をこれまで以上に積極的に行うため、昨年八月より院内に地域支援医療部を設置しました。地域支援医療部では、地域の開業歯科医の相談窓口、紹介窓口となることで、専門化・高度化した大学附属病院をもっと有効に利用してもらうこと、さらに、現在盛んに行われている要介護高齢者等に対する訪問歯科医療において、全身的合併症や環境的な問題等から訪問診療のみでは十分な治療が行えない患者さんの紹介を受け、入院も含めた集中的治療を行うことで地域の先生方の訪問診療に伴う負担や不安の軽減を図り、口腔の健康を通して生活の質の維持・向上に努めたいと考えています。
 開設一年間で既に三十件にのぼる地域からの紹介があり、このうち、歯科医院からの紹介が十六件、医科病院や施設からの依頼が十件、患者や家族からの直接問い合わせが四件でした。本院での実際の治療は七名が入院下で、十三名は外来通院で行いました。本年三月にはこのような全身管理を必要とする患者を外来でもより安全に診療できるよう、本院一階に全身管理のためのモニター設備等を完備した第三総合診療室を新たに設置し、受け入れ体制をさらに強化しています。また、文部科学省が定める診療施設としてもらうため、現在概算要求も行っています。
 このように、地域支援医療部は地域のニーズにまさしく応えるものであり、地域における歯学部附属病院の役割の一つを具現化したサービス活動であるといえます。

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