大学に期待される第三の機能

広島大学長 牟田泰三(むた たいぞう)


東広島市中央公民館での天体教室
(平成13年7月)
 大学では、教育と研究が密接な関わりを持ちながら行われていることは言うまでもありません。この教育と研究という二つの機能に加えて、近年特に大学に期待が寄せられている第三の機能は、「地域社会や国際社会との連携」という機能です。広島大学では、教育と研究という第一、第二の機能に加えて、社会との連携という第三の機能を、大学に本来備わったものとして、より強化したいと考えています。この第三の機能を生かすために、広島大学には、大学情報サービス室、大学情報室、地域共同研究センター、地域経済システム研究センター、ベンチャービジネスラボラトリー等が設置されています。将来的には、これらの施設は、外部から利用しやすい形に組織として統合する事も考えられます。
 大学はこれまで、どちらかというと社会との連携に対して受け身であったということができます。外部から頼まれればやるけれども、こちらから進んでやるという雰囲気では必ずしもなかったと言えるのではないでしょうか。これからは、大学側から社会との連携に乗り出していくべきだと考えます。
 国の施策としても、「学」から「産」への技術移転戦略の構築、産学官連携サミット、「大学発ベンチャー」を三年間で千社、競争的資金倍増、大学発の特許取得件数を十年間で十五倍、地域のイニシアティブの下で知的クラスター構築など、大学を起点とした社会の活性化策が、いろんなキーワードと共に打ち出されています。これらの施策を待つまでもなく、広島大学では、教官によってすでに会社が三社起業されており、また、最近、ベンチャービジネスラボラトリーのインキュベーション(孵卵中)計画に三件が採択されています。TLO設立に向けても、県と連携して準備が整えられています。特許申請件数も最近飛躍的に伸びています。
 地域社会への貢献として、これまでも行ってきた公開講座や地域の活動への参加は、ますます活発化したいと思います。学生のボランティア活動も、より多様な形態で推進したいものです。
 学内の皆さんの協力と努力に期待すると共に、学外からの呼びかけもお願いしたいと思っています。



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