Forum
本学では、大学院等の整備を推進し、平成14年度に大学院医歯薬学総合研究科及び大学院教育学研究科附属心理臨床教育研究センターを設置し、大学院生物圏科学研究科を改組再編しました。また、附置研究所の原爆放射能医学研究所を改組再編して原爆放射線医科学研究所へ名称を変更しました。
大学院医歯薬学総合研究科
|
生命医科学の拠点を目指して
|
文・大 濱 絋 三(Ohama,Koso)大学院医歯薬学総合研究科長
新研究科への移行図
|
---|
霞キャンパスを構成する医学部の医学科、総合薬学科と歯学部が基幹として、それに医学部附属病院、原爆放射線医科学研究所(原医研)が協力として、さらに(財)放射線影響研究所(放影研)が連携として加わった、医歯薬学総合研究科が設置されました。このような医学・歯学・薬学の三分野が融合した研究科の設置はわが国初であり、それだけにここで養成される人材や展開される学際的研究に注目が集まっています。
研究科は創生医科学専攻(三講座、定員五十七名)、展開医科学専攻(四講座、定員四十六名)、薬学専攻(二講座、定員十二名)の三専攻から成り、各専攻とも医学・歯学・薬学・病院・原医研・放影研などのスタッフが混在した形で配置されており、学生は自らの目的に沿って各教官が開講する講義や実習、実験の科目を選択し、その組み合わせや内容によって授与される学位の種類(医学、歯学、医薬学、学術、薬学)が決定されます。学生の教育・研究の指導や相談には一名の主指導教官と二名の副指導教官が当たり、高いレベルの専門教育や研究指導を受けると共に、医療人として身につけるべき生命倫理なども学びます。
平成14年4月1日に看板の上掲を行った
|
---|
ヒトゲノムの解明をはじめとして最近の生命医科学の発展には目を見張るものがあり、さらに産学官連携による新技術の開発が進んでいる中にあって医歯薬学総合研究科は、従来の部局の枠を超えた新たな研究者集団を形成し、国際的競争力を持つプロジェクト研究を積極的に推進することになっており、すでにいくつかの研究計画がスタートしています。さらに附属病院も新病棟の竣工や運営組織の改組を控えており、霞キャンパスは生命医科学分野の一大拠点を目指して大きな一歩を踏み出しました。
大学院教育学研究科附属
心理臨床教育研究センター
|
中四国地域の心理臨床研究と実践の中核施設の誕生
|
文・利 島 保(Toshima,Tamotsu)大学院教育学研究科附属心理臨床教育研究センター長
センター看板掲げ式風景
|
---|
いろいろな問題で混迷する現代にあって、学校、職場、家庭において心の健康のサポートを必要とする人たちは、年々その数を増していると言われております。また、そのための相談の場や心理臨床の専門家の数も、相当数必要とされるようになっております。特に、心のケアの専門家としての臨床心理士養成は、愁眉の課題となっております。
教育学研究科前期課程の心理学専攻は、臨床心理士資格認定協会から認定された臨床心理士養成第一種指定大学院であり、臨床心理士養成のための心理臨床実習センターとして、平成十四年四月から附属心理臨床教育研究センターを開設することとなりました。
本センターは、これまで教育学研究科の特別施設であった「心理教育相談室」の機能を発展させ、大学院生の心理臨床の実習・訓練という教育機能だけでなく、高度な心理臨床研究の推進、社会で活躍する心理臨床家の再教育機能、学校・家庭・職場等での心のケアの実践を行う地域社会へのサービス機能の四つを持たせました。その意味で、本センターは医・歯学病院と同じような機能を持っております。
特に、地域社会へのサービス機能は、心理教育相談部門での相談員による面接等の相談活動が有料で行われております。大学法人化を控えた研究科としましても、将来的にセンターの機能を充実することで財政的な裏付けも確保したいと考えております。本センターの活動に、全学的なご理解とご支援をお願いします。
広大フォーラム34期1号 目次に戻る