学外者にとって、広大イメージは案内・紹介パンフレットを通して形成されることが多いのではないでしょうか。まず視覚に訴え、つぎに手に取ってもらう、つまり表紙のビジュアル・アピールはパンフレットの重要な役目です。そこで各部局のパンフレットの制作担当者に、制作コンセプトを執筆していただき、パンフレットの表紙とともに一堂に掲載し、UI検討の一つの材料となる現在のVI発信状況を検証してみました。(スペースの関係で執筆者名は省略しました。) |
「広島大学要覧」 表紙のデザインは、知の世紀の主人公として自分自身を見つめ、学生を見つめ、世界を見つめ、そして激動の時代の舵取りをし続ける広島大学の熱い情熱と強い意志を、牟田学長の静かな瞳をお借りして表現したものです。それは赤い帯の中に記された「『世界トップレベルの特色ある総合研究大学』を目指します」という言葉にも表されています。制作上最も難しかったのは、控えめなご性格の学長の承諾を得ることでした。「デザインコンセプト上必要不可欠」と強引にお願いしてできあがった表紙です。 |
「広島大学で何が学べるか」 学部入学志願者向け入学案内として、本学への志望度を高めることを目的に作成しています。各学部の案内から1700名全教官の研究テーマ紹介まで、詳しい情報を網羅した編集を行い、大学総合案内としての機能も意識しています。個性ある教育組織と充実した研究体制のもとで、様々な人々が学び合う場であることを、教育への「情熱」、学習支援の「仕組み」、学習の「機会」等の視点で伝えようと考えました。卒業生にデザインをしていただいた表紙は、本学の象徴であるフェニックスをモチーフに「人」の存在感と、本誌が「何の冊子」であるかを明確に伝えることに注力しました。 |
附属図書館 表紙は本館所蔵の「張守校正本六家文選」の巻第一の一頁からとりました。中国六朝文学の泰斗、故斯波六郎博士旧蔵の「斯波文庫」の一冊です。図書館では、このほど「斯波文庫漢籍目録」を編纂・刊行し、同時に画像データベース化して世界に向けて発信しました。図書館電子化の成果はコンテンツの充実があってこそと考えています。貴重文献が最新技術によって蘇る、新しい図書館活動のひとつの象徴としてこれを選びました。 |
総合科学部 表紙デザインの制作意図を端的に表せば、「可能性は蒼空のごとく」です。過去に安住したがる心の雲は、未来を切り拓く自らの可能性に影を作ってしまうからです。 総合科学部の理念は、総合性と学際性と創造性です。言い換えれば、別々に仕切られていた学問を統合し、学問分野の間の交流をどこまでも深め、勇気をもって前例のないことに取り組むことです。この理念に共鳴する若い方々が未来に立ち向かう可能性を拡げるよう、激変の世紀に必要な広い視野を身につけられるよう、手助けをしたいと考えます。 |
文学部 文学部紹介パンフレット「新しい知の探求」は楔形文字粘土板の表紙で長く親しまれてきましたが、平成14年度から装丁・内容ともに一新しました。青い空の表紙は一見お中元の広告のようですが、内容は教員スタッフの紹介を最小限に抑え、受験生や学部生の専門決定に役立つよう、分野ごとに教育の特徴、カリキュラム、卒業論文、卒業後の進路などを詳説しています。コースごとに掲載した在校生、卒業生からのメッセージは担当委員の苦労の成果です。PDF文書で全容をご覧下さい。 |
大学院文学研究科 平成13年度の文学研究科改組を受け今年度から新たに発行しました。人文学の総合性を象徴する格調高い表紙に注目してください。新しい文学研究科の姿を広く紹介し、大学院進学者を募ることが目的です。全六十六ページの情報量は国内他大学院発行のパンフレットに較べても遜色がありません。特に各専門分野に関して、記述は教員の履歴、学位、業績などから院生の具体的な就職先、分野の概要、キャッチフレーズにまで及び、大学院受験の際には大いに参考になるものと自負しています。PDF文書で全容をご覧下さい。 |
教育学部・大学院教育学研究科 今年のパンフレット制作は、研究科・学部の特徴として、1. 高師以来の伝統と実績、2. 学部統合による総合性、3. きめ細かな指導体制、の三点を重視しました。その際「見る人の視点」に立ち、例えば1. は年表ではなく読み物風にし、2. は幼児教育から生涯教育までの包摂を写真を用いて表紙デザインに折り込み、3. は研究科・学部の概要紹介で積極的に取り上げました。学部と研究科を合冊にしているのは、学部選択の際に大学院も視野に入れてもらうためです。なお、パンフレットの読者へのインパクトは、知りたい情報が漏れなく正確に掲載されているかという点にも左右されます。リアリティのある情報提供は残された課題です。 |
法学部 どのようにして法学部にはいるか、そこでどんなキャリアアップができるか、これを具体的かつビジュアルに入学志願者に示すというのが制作コンセプトです。特にゼミ(演習)での少人数教育を強調しました。表紙は、広大中央口に降り立つとまず目に入る法学部の時計台を、玄関屋根の下から見上げて撮影したものです。現実の世界をある視角から切り取るフレームが法学・政治学・社会学等の社会科学の理論ですが、実践の場は無限の広がりをもつものです。枠を自覚し、枠を越える能力の涵養……この広い世界を青空で象徴させています。 |
経済学部 経済学部紹介パンフレットの制作コンセプトは、「広大経済学部への入学に関心のある高校生に好奇心を持たせ、可能性を予感させ、夢を抱かせることのできる媒体となる」というものです。こうした学部の思いは、インパクトのある表紙のイラストでも象徴的に表現されています。オープンキャンパス時の学部説明会では、このパンフレットが最大限に活用されています。なかでも経済学部における四年間のキャンパスライフを説明したページは、「イラストや写真が効果的に使われていてとても分かりやすい」との評価を得ています。 |
大学院社会科学研究科 研究科としては作成していませんが、独立専攻であるマネジメント専攻は独自に作成しています。「マネジメント専攻のブランド戦略―制作ノート」をご覧ください。 |
理学部 高校生や受験生を対象に、理学部がどのような教育を行っているかを、写真や図表を使い分かり易く紹介しています。内容は学科の概要(カリキュラムなど)、理学研究科附属教育研究施設と関連教育研究施設の概要、サークルと行事、大学院の紹介、進路状況及び学生数等をできるだけ写真を多く取り入れて22ページで制作し、理学部入学志願者、来訪者及び他大学等に配布するとともに、理学部主催の行事にも活用しています。表紙は、理学部正門の前で学生が仲良く語り合っているところの写真です。 |
大学院理学研究科 大学院重点化を機に装丁・内容を一新し、読者にインパクトを与えるべくデザインに工夫を凝らし、理学研究科の教育目標並びに研究内容等を紹介しています。内容は専攻の専門分野と教員の紹介、附属教育研究施設と関連教育研究施設の概要、入学状況、修了者の就職状況及び学位(博士)授与件数等を盛り込み35ページで制作し、大学院入学志願者、来訪者、他大学及び企業等に配布しています。表紙は、理学の目的である自然の探求というテーマを図案化しています。 |
医学部 医学部には医学科、総合薬学科、保健学科の三学科があり、多面的な要素をもっています。しかし、全体として人の病気、健康・福祉にかかわっています。そこで、人間・人体をイメージする写真と構成学科の英文表記を控えめに組み合わせて表紙とし、「人」に関わる学部であることを強調しました。 |
歯学部 昨年まで使用していた表紙等に用いられている写真の質がやや赤みがかかることが理由で、本年は応急処置的に表紙も含めてデザインを外部依託しました。歯学部は学部としての改組を行った際にロゴを募集し、HUDの飾り文字を象ったロゴを採用しています。大学全体の紹介冊子が充実したことから、学部紹介の冊子はなるべくシンプルにという希望の基に出来上がったのがご覧の表紙です。ロゴの三文字が黄色く彩られ、DENTISTRYが強調されています。 |
大学院医歯薬学総合研究科 これは今年の四月に新しく発足した全国初の医学・歯学・薬学の連合した大学院の紹介で、表紙にはそれぞれの建物を配しました。以前から、広島大学は薬学が医学部の中にある全国唯一の国立大学でしたが、今度はさらに歯学部と一緒になって同じ大学院になりました。その中には創生医学専攻(三大講座)、展開医学専攻(四大講座)、薬学専攻(二大講座)という三つの専攻がありますが、例えば、総合薬学科の教官は全部、薬学専攻になったわけではありません。この冊子は創設理念とともに、旧制度と新組織との対応を最も重要視して、全ての教官の所属が一目で分かるように最大の配慮がなされています。 |
大学院保健学研究科 作成していません。 |
工学部 広島大学工学部を目指している高校生諸君ら、および広島大学工学部に来訪される特に専門家ではない方々を主対象に、難しい技術用語や表現などはできるだけ避けて編集しています。大学における工学教育システムや先端的な卒業研究テーマの概要を紹介すると同時に、大学に学ぶ若者たちの生活にも焦点をあて、入学希望者には充実した活気ある大学生生活と卒業後の明るい将来を展望する手助けとなるように、また来訪者には学内の教育的雰囲気を容易に理解いただけるように制作しています。また、表紙のレイアウトは、緑豊かなたたずまいの中に整然と並んだ研究棟と建物間の植栽に抱かれた通路を示し、バックデザインとしてレインボウをイメージしています。 |
大学院工学研究科 広島大学大学院工学研究科を目指している大学生・社会人など、大学院工学研究科を訪問される方々及び教官等と共同研究を計画されている企業等に対して、大学院工学研究科の教育研究の概要と実状を紹介することを目的として編集しています。さらに、大学院工学研究科とその学際領域が近い他の研究科の紹介や、工学研究科の教育研究を補完する共同教育研究施設の紹介を行っています。 また、表紙のレイアウトは、大学院工学研究科を構成する五専攻のそれぞれの研究分野の中から、成果などをグラフィックで紹介し、発展する広い領域を示唆する白地をバックデザインとしています。裏表紙は、緑なすキャンパスを表現した工学部パンフレットに対して晴天の下で紅葉した「かえで通り」を配しています。 |
生物生産学部 表紙は本学部が生物とその環境に関する分野の勉学にとりくむことから、そのことを象徴的に示すように森林、草花と、魚の群泳の写真を全面的な背景とし、その上に広島大学の中央口、学部棟、学部玄関のプレートの三枚の写真を左上から右下へ配置し、本学部へのいざないを示したものです。内容的には、受験者をはじめとする読者に視覚的にアピールするように、文章は簡潔にしかも強く訴えるものとし、写真を多く使って学部の教育、卒業研究からキャンパスでの生活、卒業後の進路にいたるまでわかりやすく、興味を持てるように心がけました。 |
大学院生物圏科学研究科 生物圏科学研究科のパンフレットの表紙に掲載されている地球は、本研究科の名称である生物圏そのものであると同時に研究対象でもあります。また、本研究科での研究・教育を通して、地球で活動する人類の持続的発展に貢献しうる高度な専門的技術者・研究者を養成する決意をも表現したものであります。本文では、研究科の理念を紹介した後、教育科目毎に研究内容を紹介しています。特に、学生さんに興味を持ってもらえるよう写真をたくさん掲載すると同時に、たくさんの色を有効に使い、わかりやすいパンフレットに仕上げました。 |
大学院先端物質科学研究科 中央の研究科タイトルの下に平成13年8月に完成した先端科学総合研究棟の正面像を据えてあります。七階建ての建物は北と西側のウイングに先端物質科学研究科が位置し、南側(五階建て)にはインターラクティブラボがあります。右上には研究科の木「月桂樹(ローレル)」を配置しました。月桂樹は常緑高木であり細長い先のとがった(尖端)葉をつけます。春先には淡黄色の花を咲かせ、葉と果実には独特の芳香があります。「生命と物質を研究する」という研究科の特徴を表現したDNAと量子のモデルを研究科タイトルの左上に配置し、また研究科のロゴ「Adsm」を右下に据えてあります。 |
大学院国際協力研究科 大学院国際協力研究科のパンフレットの表紙には、ロゴの「IDEC」の文字がアジアの風景とともに書き込まれています。IDECは、国際協力とくに発展途上国の開発問題という政策課題に取り組んでいます。この問題に取り組むには、多様な学問的アプローチと様々な分野で働く人々のための教育が必要となります。IDECでは、経済、政治、工学、生物、教育、文化などの多様なアプローチによって学際的にこの問題に取り組もうとしています。IDECのパンフレットは、これから国際協力問題に取り組んでいこうという意欲のある日本人学生および外国人留学生に、IDECがどのような知的な枠組みを提供できるかを示すものです。 |
原爆放射線医科学研究所 本研究所が大学附置研究所であることについては学内の人にはあまり知られていません。そこで学内の人に知って貰うために広島大学を入れました。又、学外の人には「放影研」と区別してもらうために(原医研)の文字を加えました。本研究所の目標をアピールするための文章を加えて、原医研の理念を示しました。更にデザインとしてResearchとRadiationの「R」を人文字とし、所員一同が一致団結し、目標に向かって躍進している様を示しています。背景の緑は鳩のRの色を用いました。最後にRIRBMを目立つ色にしました。 |
高等教育研究開発センター パンフレットの基本コンセプトを、「新しい『大学のかたち』づくりを目指すCenter of Excellenceとしての知的集団」と「二十一世紀の新しい大学像を模索して」というキャッチフレーズで表現しています。表紙の写真はイマイチですが、この二つのコピーは、過去三十年の実績と新世紀の活動目標をイメージしています。 内容については、こうしたCenter Identityに則って、国内外の大学・高等教育に関する基礎的研究と開発的研究をスタッフ全員が推進している様子や、文部科学省の「特別研究推進経費」(旧COEプログラム)や「二十一世紀COEプログラム」にチャレンジするセンターを紹介しています。 |