ニューズ・ダイジェスト 

 



評議会だより


学長、新年の抱負を語る

 一月四日、事務局四階の会議室において、各部局長をはじめ各部課長、事務長、事務局職員など約二五〇名を前に、午前十時三十分から十五分間にわたり学長の年頭の挨拶があった。要旨は次のとおり。
 平成十一年の年頭にあたり、一言ご挨拶を申し上げます。昨年より短い年末年始の休暇であわただしく迎えた本日ですが、うららかな仕事始めの日となりました。
 昨年は本学にとって大変良い年でした。大学院先端物質科学研究科の発足を始め、大学院医学系研究科博士課程保健学専攻発足、医学部附属病院光学医療診療部が発足しました。また、長年の懸案であった医学部附属病院の病棟の改築が昨年の補正予算で実現し、三月末までには鍬入れの予定です。そのほか、第三次補正予算では東千田町総合校舎、太陽光発電設備、医療情報ネットワークが予算化されるとともに、これらを含め今年度は、他の施設整備を合わせ単年度で総額一四六億円という近年まれにみる大規模予算を頂いております。
 平成十一年度予算の内示については、先ほど、臨時部局長会議で報告したところですが、重要な事項としては、まず、大学院理学研究科の重点化が認められたことです。これからも次々と大学院の重点化を行って行きたいと思います。次に、医学系研究科臨床薬学系専攻、生物圏科学研究科循環系制御学専攻の設置も認められました。もう一つは、医学部附属病院に神経磁気診断装置等の整備が認められました。
 昨年、大学審議会の中間まとめを受け、答申に先立ち「本学の将来構想の策定に当たっての基本的な考え方」三項目を策定しました。また、二十一世紀の広島大学像マスタープラン策定部会を設けました。今後この部会が策定する二十一世紀の将来構想に基づき、大学独自でできる改革のいっそうの推進に本学の未来がかかっております。
 また、中央省庁改革推進本部による国立大学の独立行政法人化については、この大学改革が優先するということで平成十五年までに結論が先送りされただけであり、この面からも教職員全員の意識改革と努力が必要であります。
 特に、外から大学が見えないとの批判は真摯に受け止めなければなりません。教官の研究内容を各方面に提示するなど情報の積極的発信と地域との連携を密にしなければなりません。
 皆さんにおかれては、大学のために存分に頑張っていただき、世界に冠たる広島大学の基礎を築いて頂きたいと思います。  


原田学長、講書始の儀に参入

 一月十二日、原田学長は皇居で行われた平成十一年講書始の儀に陪聴者として参入された。  

大学院理学研究科、重点化へ

 大学院理学研究科が平成十一年度の予算成立に伴い重点化されることがこのほど決まった。
 これは、大学院教育の質的・量的な拡充整備を図るため、大学院の教育研究において基礎となる学部講座を大学院講座に転換するとともに、既存の専攻の見直しを図り、従来の数理計算理学と生命理学を融合させた「数理分子生命理学専攻」の新設を含む、理学研究科を大学院に重点を置いた重点化の整備を要求していたもの。
 平成十一年度は、数学専攻、化学専攻及び数理分子生命理学専攻の三専攻が整備される。
 引き続き、平成十二年度においては物理科学専攻、生物科学専攻及び地球惑星システム学専攻の整備を要求する計画である。


理学部長に松浦博厚教授

 理学部は一月十一日、任期満了に伴う学部長選挙を行い、牟田泰三学部長の後任に松浦博厚(まつうら・ひろあつ)教授を選出した。任期は四月一日から二年間。


教育学部、利島学部長を再選

 教育学部は一月十三日、任期満了に伴う学部長選挙を行い、利島保(としま・たもつ)教授を再選した。任期は四月一日から二年間  

大学改革で講演会

 本学では、大学審議会答申「二十一世紀の大学像と今後の改革方策について」を受けて、「本学の将来計画の策定に当たっての基本的な考え方」を策定し、二十一世紀の「広島大学像」の検討を行っている。
 このほど検討の一環として、十二月四日文部省高等教育局大学課大学改革推進室長の常磐豊氏を講師に迎え、質疑応答形式での「大学改革に関する講演会」を開催した。
 講演会には、学長、副学長、二十一世紀の広島大学像マスタープラン策定部会及び大学計画委員会のメンバーと事務局長をはじめとする関係職員が参加した。
 常磐室長は、大学審議会答申を中心に、国立大学を取り巻く環境、大学審議会答申に基づく速やかな改革の実現についてわかりやすく講演した。
 講演後の質疑応答では、国立大学の存在意義、大学教育と初等・中等教育の連続性、学部の規模と大学院整備、第三者評価機関等について熱心な意見交換が行われた。

講演する常磐室長




講演会「未来を拓く産学連携」開催

 一月七日、文部省学術国際局研究助成課研究協力室長の山田道夫氏を講師に迎え、「未来を拓く産学連携」と題した講演会を開催した。
 山田研究協力室長は、(1)大学と産業界との連携・協力の意義(2)技術移転促進法(3)研究交流促進法等について、OHPを用いて分かりやすく講演した。
 当日は、中国地区五大学の地域共同研究センター長をはじめ、広島県内の産業関係者、中国通産局、広島県、東広島市等と大学の教職員約一五〇名が出席し、熱心に聴講した。講演後の質疑応答も活発に行われ、産学連携の諸制度に対する一層の理解を深めた。


講演する山田室長




図書館前にイルミネーション

 十二月十四日から一月末まで中央図書館前の歩道のケヤキ並木七本と、北第一福利会館前のケヤキ三本に、一本当たり五百球のミニ電球による電飾が施された。
 これは、下見の広大通りには及ばないものの、学生の就職戦線の厳しさを含む国立大学を巡る厳しい荒波の中、学生に少しでも明るい話題を提供するため、学長からプレゼントされたもの。

学長からの「明るい」プレゼント




西図書館にオープンスペースラボ開室

 十一月十一日、「西図書館オープンスペースラボ」が開室した。
 この「オープンスペースラボ」は図書館および情報教育研究センター利用者の自習室と、教材やプレゼンテーション資料などの作成に使えるマルチメディアラボからなっている。特に自習室の端末は授業時間中でも自由に利用でき、開室時間中には利用者が絶えない。
 また、十一月二十日には原田学長をはじめ関係者を集めて開室披露が行われた。原田学長は挨拶の中で「このようなオープンスペースをさらに充実させたい」と情報環境整備への意気込みを述べた。

利用者の絶えない自習室





「波の会」作品展と学長コンサート

 難波平人学校教育学部教授が主宰する絵画グループ「波の会」の第七回作品展が昨年十二月十二日から二十三日の間、東広島市立美術館で開かれた。また十二月十九日には原田康夫学長によるミュージアムコンサートも同会場で行われた。
 「波の会」は市民と学生、大学の文化交流を目的として結成されたグループで会員一二四名。今回は絵画、彫刻、陶芸などの作品を会員が一人一点ずつ出品した。風景や静物、花などを題材にした力作に加え、難波教授は昨春訪れた南米ペルーの空中都市マチュ・ピチュの町並みを描いた油絵「遙然U」(百号)を賛助出品した。
 コンサートは元中国放送井尾義信アナウンサーの司会で始まった。原田学長は「イタリアを歌う」をテーマに「サンタルチア」「遙かなるサンタルチア」「帰れソレントへ」「カタリ カタリ」「オーソレミヨ」など七曲をご自慢のテノールで熱唱した。今回のコンサートでは、教育学部卒業生でギタリストの難波英子氏によってギター伴奏が行われたが、これは原田学長にとって初めての試みであったとのこと。原田学長はまた、曲の合間に楽しい語り口調で歌唱歴を披露するなど、聴衆約三百名が楽しいひとときを過ごした。  


理学部ロゴマーク決定

 九月十四日に理学部ロゴマークが決定した。理学部の印刷物、レターヘッド、パソコンのアイコンなどに使用される。


パーソナリティーで盛り上がった理学部公開

 本年度の理学部公開は十一月一日に行われた。内容は、放射光についての講演と実験装置の見学、中・高校生による研究発表、理学部各学科等のパネル展示の三本立てであった。
 講演会・発表会はフリーパーソナリティーの玉田陽子さんの司会で進行した。谷口雅樹放射光科学研究センター長との息の合った軽妙なやり取りで進められる平易な解説に、一般参加者からも熱心な質問が相次いだ。講演のあと放射光科学研究センターの実験装置を見学した。
 また、次代を担う中・高校生による科学シンポジウムでは、生徒による発表と市民とのディスカッションが和気あいあいのうちに行われ、発表者全員に理学部長から科学研究奨励賞が授与された。
 


生物生産学部でクローン家畜シンポ

 生物生産学部で第三十回山陽地区畜産談話会が十一月二八日に開催された。この会には、広島県と岡山県内の大学や畜産試験場関係者など約五十名が参加し、畜産分野の先端技術として最近注目されている「クローン家畜」を主題とするシンポジウムが行われた。
 岡山県総合畜産センターの野上氏は、「クローン牛の作出技術と畜産現場への応用」と題する講演で、クローン牛誕生の成功例などを紹介した。生物生産学部の寺田教授は、「クローン動物作出の倫理問題と将来展望」と題して、動物の福祉問題を中心に話題提供した。
 クローン技術は有能な家畜を飛躍的に、効率よく産出すると期待される技術。人工授精や受精卵移植などの非常に有用な技術を開発してきた畜産科学であるが、「クローン家畜の作出と応用」という新たなる画期的な技術の確立を求めて熱心な討論が展開された。

学校教育学部の小林講師に奨励賞

 学校教育学部の小林秀之講師が九月九日、日本特殊教育学会研究奨励賞を受賞した。
 これは、学会機関誌に掲載した論文「弱視者の線の認知に関する基礎的研究」が審査の結果優秀と認められたもの。

工学部の佐藤助手にポスター賞

 工学部の佐藤善之助手が十一月五日、プラスチック成形加工学会第六回秋季大会ポスター賞を受賞した。
 これは、学会ポスターセッションにおいて行った研究発表が極めて優れたものと認められたもの。


  学校教育学部の山田助教授に田邊尚雄賞

 学校教育学部の山田陽一助教授が十一月七日、東洋音楽学会第十五回田邊尚雄賞を受賞した。
 これは、九七年に発行した著書「Songs of Spirits:An Ethnography of Sounds in a Papua New Guinea Society」に対し、優れた業績と認められたもの。

国際協力研究科の中山教授、教育研究表彰

 大学院国際協力研究科の中山修一教授が十一月二十七日、日本教育研究連合会平成十年度教育研究表彰を受けた。
 これは、長年にわたってアメリカ合衆国の地理教育に関する論理的・実践的研究を行い、わが国教育の進展に大きく貢献した功績が高く評価されたもの。

大学院生李さんに新人賞

 大学院工学研究科博士課程の李さんが十月三十日、平成十年度軽金属論文新人賞を受賞した。
 これは、アルミニウム複合材料の靱性改善方策を新しく見いだした研究業績が認められたもの。

大学院生佐々木さんに優秀講演賞

 十一月二十一日から台北市で開催された第三回アジア・太平洋矯正歯科学会において、大学院歯学研究科の佐々木彰子さんが優秀講演賞を受賞した。
 学会では、大学院生の発表を対象とした審査があり、佐々木さんは優秀講演者十名のうちの一人として選ばれた。

懸賞論文制度開始─法学部

 法学部法学会はこのほど、今年度から新たに、法学部の学生・院生を対象とする懸賞論文制度を始めた。
 第一回目は「現代社会と職業倫理」というテーマで論文募集を行った。応募者十九名のなかから、厳正な審査の結果、優秀賞には法学部三年の大山由紀さんの論文「生殖医療におけるインフォームド・コンセント」が選ばれた。
 表彰式は十月十八日、法学会の秋季大会の一環として行われ、水上法学部長から、優秀賞・入選・佳作の八名には賞金と賞状が、また応募者全員に記念品の印鑑つきボールペンが贈られた。
 懸賞論文制度は、来年度以降も継続して行われる。できるだけ多くの法学部生からの応募を期待している

文学部生福井さん、ドイツ語スピーチ一位

 十二月十二日、第一回全国ドイツ語スピーチコンテスト決勝大会(日独協会主催、朝日新聞社など後援)が東京・築地の浜離宮朝日小ホールで開かれ、本学文学部三年の福井明子さんが第一位に選ばれた。

全国広報紙コンクールで本誌が最優秀賞受賞

 全国の国立大学及び高専が発行している広報紙を対象とした平成十年度の優秀広報紙コンクールで、本学から推薦していた「広大フォーラム」が最優秀賞を受賞した。最優秀賞受賞は四年連続通算五度目の受賞となった。
 審査は、私立大学教授やデザイナー、フリーカメラマンなど五人の審査によって行われ、大学・短大(応募数八十六校)から一紙、高専(応募数四十八校)から一紙が選ばれた。
 一月十八日行われた祝賀会で、原田学長から井上研二広報委員長に表彰状並びにトロフィーが手渡された。

左から西村事務局長、井上広報委員長、原田学長



米国人教員が広島大学訪問

 平成八年四月の日米首脳会談のメッセージに盛り込まれた「日米国民交流」の一環として、フルブライト・メモリアル基金教員プログラムにより米国人教員の受け入れ事業が平成九年から開始された。このプログラムにより現職教員二十名が十一月二十四日本学を訪れた。
 学長を表敬訪問した後、三グループに分かれて、本学の教職員や大学院生と活発かつ熱心な意見交換などを行った。

熱心な意見交換が行われた(事務局2階会議室にて)



深夜を想定した消防訓練実施

 医学部附属病院では、職員の防火管理の徹底と防火意識の高揚を図ることを目的として,広島市南消防署の協力のもと、十二月四日に深夜を想定した消防訓練を実施した。
 当日は、午前二時に病棟から出火と想定し、消防庁の「病院等における夜間の防火管理体制指導マニュアル」に基づき、総合訓練を行った。
 訓練に当たっては、参加者全員が終始真剣な態度で臨み、防火に対するより一層の心構えと意識の高揚が図られた。

消火器による操法訓練を行う職員



附属病院でクリスマス会

 入院患者さんのための恒例のクリスマス会が、十二月二十二日医学部附属病院の外来棟一階ロビーなどにおいて盛大に行われた。
 第一部は、外来棟一階ロビーで入院患者さんや職員約四百人の参加を得て行われ、梶山病院長の挨拶の後、授乳所「たんぽぽ」の乳幼児による遊戯で始まった。続いて、同所職員による劇、院内学級の児童・生徒による歌と合奏、看護婦によるダンス、霞室内管弦楽団による弦楽合奏、霞合唱団ペガサスによる合唱などを多彩に行い、途中、ビンゴゲームもあり、クリスマスムードを大いに盛り上げた。
 引き続き、各病棟では第二部が行われ、医師や看護婦が扮するサンタさんが、クリスマスカードやプレゼントを持って病室をまわり、患者さんを感激させていた。
 また、病棟前の中庭にある大きなヒマラヤ杉に職員が飾り付けをした巨大なクリスマスツリーに灯りをともし,クリスマス会の夜を明るく照らした。

衣装をまとってジングルベルを踊る看護婦たち



「中国五大学」で総合優勝

 昭和二十五年に広島大学主管で開かれた中国五大学学生競技大会も四十九回を迎えたが、今年の冬季大会は十一月二十七日から三日間、島根大学主管で開催された。
 昨年度は冬季大会で二位となり、惜しくも総合優勝を逃したが、今大会で広島大は一位となり、夏季と冬季を合わせた総合成績でも島根大を抑えて第一位となり、総合優勝を奪還した。
 種目別では、サッカー、ラグビー、バスケットボール(男子)、柔道(女子)、剣道(男子)、アーチェリー(男女)が一位となった。
 今大会には、広島大から教職員六名、学生一四七名が参加した。


老若男女が走り抜いた「フェニックス駅伝」

 師走恒例となっている「フェニックス駅伝」は、宮島口―広大間で始まり、昭和四十二年からは音戸―広大間、統合移転した平成五年からは東広島キャンパス周辺へと変遷してきたが、学生たちの走るエネルギーは変わることなく続いてきた。
 十二月六日に開催された今大会では、一般の部に九十チーム、女子の部に二十六チームが参加し、八区間四一・一キロ(女子の部は四区間一一・九キロ)で八二四名が健脚を競った。
 入賞者は次のとおり。

◎一般の部
順位 チーム名 所 属 タイム
広島市スーパースターズ 広島市スーパースターズ 2:26’44
トライアスロンGulls トライアスロン同好会Gulls 2:30’46
緑翠A 生物生産学部 2:37’32
おさるのかごや 海上自衛隊 2:38’24
俊足ホモの会Part XV 医学部硬式庭球部 2:38’32

◎女子の部
順位 チーム名 所 属 タイム
うふふふふ 体育会陸上競技部 0:48’47
広島市スーパースターズ 広島市スーパースターズ 0:49’48
広大テニス部(女子) 体育会硬式テニス部 0:50’17
恋の暴走特急1号 医学部硬式庭球部 0:50’42
体育会水泳部D 体育会水泳部 0:56’00


連合演奏会と連合美術展を開催―中四国国立大学で

 中四国の国立大学九大学で持ち回り実施している演奏会と美術展覧会が、今年度は徳島大学主管で実施された。
 十一月二十一日、二十二日の両日、鳴門市文化会館で開催された連合演奏会(聴衆約千人)には、広島大から吹奏楽団、交響楽団、室内合奏団の三サークル一八八名が出場した。
 吹奏楽・オーケストラ部門に出場した吹奏楽団は、J・V・デル=ロースト作曲の「アントワープ讃歌」など二曲を、オーケストラ部門に出場した室内合奏団と交響楽団は、B・ブリテン作曲の「シンプル・シンフォニー作品4」とP・I・チャイコフスキー作曲の「バレエ音楽『くりみ割り人形』作品71」をそれぞれ演奏した。
 十二月四日から六日までの三日間、徳島市の徳島県郷土文化会館で開催された連合美術展覧会には、広島大から、美術部、アクリル水彩同好会、写真部、学校教育学部美術研究室の四団体二十四名が参加し、三十二作品を展示した。美術展の延べ入場者数は約二五〇名であった。

寒中水泳大会に水泳部員参加

 広島藩伝来の古式泳法を受け継ぐ神伝流広島游(ゆう)泳同志会の寒中水泳大会が一月十五日(成人の日)、原爆ドーム横の元安川で開かれた。この寒げいこに体育会水泳部から川本君(理・化学)ら六名が参加した。水温七度の川から上がってきた部員の一人は、「来年は見る側になりたい」と白い息を弾ませていた。

副学長、米加の大学等を訪問

 茂里一紘(もり・かずひろ)副学長は、十二月五日から一月七日にわたってアメリカ合衆国とカナダの大学や関係機関を訪問し、学生のメンタルヘルスケアを中心に短期留学プログラムの実態について調査研究を行ってきた。
 大学キャンパスにおける学生のメンタルヘルスケアは、ひとり広島大学のみならず、日本の大学の極めて重要な問題になって久しい。行政や教育専門家による多くの努力にも関わらず、事態は複雑かつ深刻になっている。
 その意味で、マサチューセッツ工科大学のほか、メリーランド大学、全米大学協会、アメリカ合衆国教育省、フロリダ州立大学、ミネソタ大学、アイオワ大学、カルガリー大学、ブリティッシュコロンビア大学など、多くの大学・関係機関を訪問し、メンタルヘルスケアや障害学生に対する対応、留学生交換プログラム、ボランティア活動などによる学生の活用、大学入試、インターンシップ、大学行政などについて幅広く行った調査は、今後の本学の取り組みを考える上で意義がある。
 副学長はその中で得たこととして、メンタルヘルスケアについては初期段階での対応や予防に力を入れる必要があること、具体的には、グループ討論、ピアカウンセリング、学生仲間づくりの制度などの導入などで、そのほか、学生の国外学習派遣の充実、学生協議会の設置、学生協議会を主体にしたボランティアグループの組織化、入試の改善など、たくさんのみやげを抱えて帰国した。
 特に「競争的環境」の中で教育や大学の在り方について深く考えさせられたようで「今度は、アメリカの大学の管理運営や工学系の教育に関して本格的に調査してみたい」とは副学長の率直な弁。

留学生懇親会に八百人出席

 広島駅北口にあるホテルグランビア広島で十二月十七日、外国人留学生懇親会が開かれた。
 この懇親会は、世界五十九国からの留学生六百人や指導教官など約八百人が出席するという盛会ぶりであった。
 学生ボランティアによるトランペットのソロ演奏で幕を開けたアトラクションでは、のど自慢やお国自慢の踊りなどの留学生による「隠し芸」に盛んに拍手が送られていた。
 会場にはたくさんの家族連れも訪れており、子どもと料理を分け合ったり家族と一緒に記念撮影に収まるなどのほほえましい姿も見受けられた。
 ちびっ子たちが一番楽しみにしていたのはビンゴゲームのようで、ゲームが始まると、最前列にはちびっ子たちの人垣ができ、一喜一憂する声が会場いっぱいに広がっていた。
 母国を離れての留学生活は楽しいことばかりではないものと思われるが、この日ばかりは母国語が飛び交い、どこか異空間にまぎれ込んだような感じであった。
 最後に、会場の全員で「オール・アラウンド・ザ・ワールド」を歌い二時間余りの宴は終了した。

談笑する参加者たち



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