理学部・大学院理学研究科





私が大学生活から得たもの

大学院理学研究科 数理分子生命理学専攻 博士課程前期二年 須藤 祥一


ゼミの仲間と共に(筆者中央)
 この広島大学に六年間もいたのか・・・というのが、今の正直な気持ちです。学部生として四年、そして大学院生となって二年、長いようで短い六年間でした。
 この六年間を振り返ってみたいと思います。化学科に所属していた学部時代には、先生方にも大いに助けられて多くの化学の知識を得ました。入学当初は大学の勉強を甘く見ていて、試験の時に苦労しました。二年、三年と学年が進むにつれて講義の内容も複雑に、そして専門的になっていきました。講義内容を理解することは簡単ではありませんでしたが、いろいろな講義を受けていくうちに自分の中で体系的な化学の知識が組み立てられていくことを感じることができ、充実した時間を過ごすことができました。研究室に配属になってからは毎日の実験によって実験操作に習熟することができました。自分の実験テーマに関する知識を深め、かつ、教科書に載っていない先端の技術を使って実験するという研究室での生活は、勉強とは教科書を元にした講義を受けるだけではなく自ら必要なことを探して学んでいくことこそが肝心だということを教えてくれました。『独学に勝るものなし』です。このような六年間の学生生活によって、私は理学・化学を学ぶ学生として様々なことを身につけることができました。
 そのなかでも自分が一番成長できたと感じるのは、知識を活用する知恵を身につけたことです。私は四月から就職が決まっていますが、そこでは大学で得た化学の知識を全くといっていいほど必要としません。しかし、知識を身につける努力を今までしていなかったら、知識の生かし方を身につけることもできなかったでしょう。入学前に祖父から「大学は教養を身につけ、人間性を高めるところだ」と言われました。その当時は、「大学は知識を身につけるところだ」と心の中で反発しましたが、祖父の言葉を今深く実感しています。
 この広島大学で得た経験が社会にでたときにどのような場面で役に立つのかはわかりません。しかし、広島大学で過ごした六年間は私を大きく成長させてくれたことは間違いありません。



卒業生・修了生の方々へ

大学院理学研究科 地球惑星システム学専攻 博士課程前期一年 村上  龍介


敦煌の砂漠にて
 卒業生・修了生のみなさん、本当におめでとうございます。卒業生の方は四年間、修了生の方は六年・九年間の大学生活を終えられた事と思います。現在は論文を提出してほっとしている所でしょうか。新しい生活に向けての準備に忙しい方、卒業旅行を考えて荷造りにいそしんでいる方、またまだまだ論文の手直しを続けている方などさまざまな方がいると思います。今はゆっくりと次の目標や生活に向けて歩き出す力を貯めてください。
 高校の卒業の際、担任の先生から「高校卒業から就職するまでの時間は自分が自分になる為の時間だ」と言われました。当時はわからなかったその言葉が四年間の学部を卒業し、大学院に所属している今ならわかるような気がします。教科書や本や先生の言葉で知ってきた知識を実際に経験し自分の目でとらえる事により本物の知識とする事、他人からのうけうりや借り物ではない自分のものさしで物事をみつめる事、大学生活で学んだ「理学」とは自分自身を創り出すことと直接つながっていると思っています。
 これから社会に出て働かれる方、就職した私の先輩はいつも「つらい〜」「きびしい〜」と愚痴っております。これからいろいろな事、本当につらい事もあると思いますが、そんな時は大学に遊びに来て初心を思い返してみるのもいいのではないでしょうか。大学ではみなさんと同じ道を通り、同じ苦悩をかかえた学生が大勢いるのですから。
 また、これから院生として進学される方は大学生として学徒としてまだまだ時間があります。学部の時はh真理を理解するf事に大きな比重を置かれていたでしょうが、大学院からはh新たな真理を創造するf事が大きな目的となります。本当に大学院での生活はあっという間に時間が過ぎてゆきます。研究にも大学生活にも悔いの残らないように頑張ってください。
 最後になりますが、お世話になった先輩方、本当にありがとうございました。広島大学に残る後輩としてみなさんが新たな舞台でご活躍される事を心から願っています。


広大フォーラム33期5号  目次に戻る  特集1に戻る