大学院社会科学研究科



「到達点からの出発」

大学院社会科学研究科国際社会論専攻 博士課程前期二年 管野 正之


趣味の吹奏楽仲間と
(筆者左端)
 朝比奈隆氏のエッセイで、それまで総譜に書き込んできた「長い年月の迷いや苦心の跡」を消しゴムでした、という話があります。タイトルは「わが音楽人生の『到達点』」ですが、この到達点から出発し、ベートーベンやブルックナーの交響曲を「楽譜通り」演奏し続け、まさにマエストロとして名声を博したのは周知のとおりでしょう。昨年末、ちょうど修論を書いているときに氏の訃報を知り、この話を思い出しました。大学院での研究とその集大成である修論は、朝比奈氏がたどり着いた「到達点」には遠く及ばないものかもしれません。しかし、それでも一歩、踏み出す必要があります。書き込みがなければ消すことすらできないのですから。



「自分探しの五年間」

大学院社会科学研究科経済学専攻 博士課程前期一年 八田 泰典


授業直前に仲間たちと
(筆者右から4人目)
 私の中に自分自身の方向性を表すような「矢印」があるとすれば、それはこの五年の間、勉学や将来の展望、友人に関すること等の様々な対象の中でその向きを決め、その軌跡を増やしてきました。最初のうちはぼんやりとしていた「矢印」も、それぞれの道の途中で喜びや楽しみ、葛藤や挫折、ときには回り道を経験することで、少しははっきりとしたものとなったように思います。
 また、この時間のなかで、何より多くの人と触れ合うことができました。腹を割って話し合えた人、共に切磋琢磨した人、叱咤激励してくれた人、支えてくれた人。彼らと出会えたからこそ、消えることなく今の私の「矢印」があることを痛感します。
 今春、私はまた大きな転機を迎えますが、社会という大きなフィールドの中で納得のいくまでこの「矢印」を進め、大きくしていこうと決意を新たにする想いです。最後に、今まで暖かく見守ってくれた両親に感謝します。ありがとうございました。 (二〇〇二年四月広島県庁に就職)


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