平成十三年度定年退職者

退職者から広大へのメッセージ


 本年度は教員三十一名、附属学校教員一名、事務・技術系職員十八名、計五十名の方々が広島大学を定年退職されます。このたび退職される方々は長年にわたり、本学の教育・研究、また管理運営にご尽力下さいました。本当にご苦労さまでした。皆様は、それぞれのお立場で大学紛争、統合移転、さらに昨今の大学改革など本学の課題に立ち向かわれ御苦労いただいたことと思います。ここでは、この度退職される方々より広島大学へのメッセージをお願いしました。後に残るわれわれ後輩は先輩諸氏からのメッセージを貴重な糧とし、本学のさらなる充実・発展に努めたいと思います。
 五十名の退職者の皆様のご健康とさらなるご発展を祈念してやみません。



退職者を送る言葉

「変革の中で」

広島大学長 牟 田 泰 三





 戦後、大学改革の大きな波を幾たびかかぶりながら、大学は変容を遂げてきました。平成三(一九九一)年の大学等設置基準改正を契機として始まった新たな改革の流れは、その後、ますます深く広い流れとなって、止まることがありません。すでに十年に及ぶ大学改革の連続は、かつて例を見ないものだと思います。
 この間、広島大学では、自己点検・評価の実施、教養的教育改革の推進、重点化を伴う大学院の整備、第三者評価への体制整備、独立行政法人化への対応など、重要な改革に取り組んできました。
 特に、二年前に始まった国立大学の独立行政法人化の動きは、国立大学を根底から変える可能性を孕むものです。現在、国立大学法人という形で文部科学省内の調査検討会議で検討が進められており、先般中間報告書「新しい「国立大学法人」像について(中間報告)」が公表されたところです。この中間報告書は、今年度内に最終答申にまとめられることとなっています。平成十四年度から法整備が進められ、平成十六年頃に法人化が実施されることになるでしょう。
 一方、本年六月の国立大学長懇談会では、「大学(国立大学)の構造改革の方針」が、文部科学省から提示され、国立大学の改革が更に加速されることになりました。
 この「方針」に示されている事項の中で、本学では、いわゆる「トップ30」問題を、当面最優先して検討しているのはご存知の通りです。上記「方針」では、「大学に第三者評価による競争原理を導入して、国公私「トップ30」を世界最高水準に育成」と述べられています。本学は、「トップ30」の中で発展し、世界トップレベルの総合研究大学となることを目指しています。そのためには、本学の全ての大学院専攻が「トップ30」として位置づけられる必要があります。広島大学は、激動の時代を乗り越えて、目標達成のために邁進します。
 さて、今年ご退官の教職員の皆さんは、その在任期間の最後の十年間を、大学改革と共に過ごされたことになります。皆さんの中には、大学改革の真っ直中にあって、全学の委員会などを通して大学運営に携わられた方も多いと思います。他方、われ関せずと、教育研究に打ち込まれた方もあるでしょうが、それでも、改革の波は、研究科・専攻の改組、外部評価の実施、カリキュラム改革、学生による授業評価等々という形で、皆さんに等しく打ち寄せ、無関係ではあり得なかったのではないでしょうか。皆さん一人一人のお力が、広島大学をいろいろな形で支え、大学の発展の起爆力になったのだと思います。皆さん、本当にご苦労さまでした。
 新たな場所での皆さんのご活躍を祈念するとともに、今度は外部から広島大学を支えて頂くよう願っております。




(配列は五十音順)

【部局歴】は、広大内の異動歴のみとし、同一部局内の連続した異動及び他機関歴は不掲載としました。


広大フォーラム33期5号 目次に戻る